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デスの章5

何だろうか?

質問したのは20代の男。妙に冷静な感じだ。心拍数なども調べているが変動なし。何者なんだろう?人間にしてはいい度胸だ。ふふ、何様だって感じだな。自分でそう思う。

「とりあえず、この拘束具を解いてくれないか?これじゃあ窮屈で答えられない。会話もできやしない」

「・・・」

「逃げられやしないだろう?なあ、いいだろ?足がしびれてきて痛くなってきた。これじゃあますます話なんかできやしない」

デスの一人と総長が互いに顔を見合わせた。まあ、確かにこの20代の男の言うとおり、逃げることなんかできやしないし、こんな奴は珍しい。面白そうだから言うとおりにしてみた。拘束が解かれると、男は何もしていない手首を回してみせた。手首は本当に何の拘束もしていないというのに、元々なのかなんなのかわからないが、わざとらしく手首をいじっている。なぜか、拘束を解くと心拍数が上がってきた。変な奴だ。

「手首、どうかしたのか?」

思わず尋ねてしまった。男の答えは、「別に・・・」だった。まあ、当たり前のことなのだが。だって、ワレワレは何もしていないのだから。それでも男は、さも、今拘束されたからだと言いたげな感じだが、本当に何もしちゃいないんだ。もうどうでもいいが。

「もう一度問う。お前はワレワレを見てどう思う?どう感じる?」

男は、何もない手首からようやく目を剥がし、ワレワレを少しだけ一瞥すると、目を上に向け、考えるようにわざとらしく口を尖らせた。何も考えてないようにも見える。気のせいか?でも、待ってみた。すぐに、答えてきた。

「そりゃー怖いよ。怖いに決まってるじゃないか。だって、あんたら宇宙人だろ?見りゃわかるよ。で、逆に聞きたいんだけど、あんたらは俺を捕まえてどうする気だ?そもそも、この星に何しに来たんだ、あんたら?」

ワレワレは少し驚いた。怖いとか言っときながら、全然怖がってない。怖がった様子もない。でも心拍数は跳ね上がっている。器用な奴だな。それに、やたら捲し立てる。よくしゃべるやつだ。一番驚いたのはこいつの目。瞳だ。怒りに似た・・・いや、どう見ても怒りの感情が強烈に宿ってワレワレを見ていた。睨み付けていた。妙に挑戦的な奴だ。やっぱり怖がってないだろうか。それとも、本当に怖がっているから、そんな目をしているのか?

「ワレワレは、この星を侵略しに来た」

どんな反応するのか確かめたくて、本当のことを直接言ってみることにした。男はぴくっと反応したきり、それ以外の反応は見せなかった。なんか、知っていたようだ。予測でも当たったのか?少し待ってみたが、何の反応も見せない。なので、こちらが言葉を続けた。

「でも、ワレワレの船員は戦闘も戦争も好きじゃない。なので、武道派とは別行動を取ることにした。今は、暇つぶしに地球観測をしている」

それにはこの男も少し驚いたようだ。動揺の色がその挑戦的な瞳に宿っていた。男の口が開いた。のどが渇いたのか咳払いをしていた。それから、言葉を続ける。

「ち・・・地球観測?な・・・それは何をしているんだ?具体的に教えてく・・・くれないか?具体的に、より詳しく、教えて・・・くれよな」

男の動揺は本物だ。おもしろいな。でも、なんでこんなにこの男は動揺してるんだ?不思議なやつだ。そもそも、なんでこんな男を連れてきたんだ?ほかの奴らは、言い方は悪いが誘拐した。歩いているところを不意に襲って。でも危害は加えてない。優しく、丁重にこの船に招待したから。しかし、この男はどうやったんだ?思えば、おかしなことだらけだ。道に、この男は立っていた。間違えなく突っ立っていた。ほかの奴らは歩いていた。確かに歩いていた。歩いているところを・・・だ。なのに、この男だけは違っていたんだ。そう、そうだ。この男は空を見上げていた。今思うと、不自然極まりない。この男は何を見ていたのだろうか?まあ・・・後で聞こう。


読んでくれてありがとう。次もよろしく!!

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