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キジンとデス・イーターの章14

VS

「あー、もう無理」

口を開けると、ぼたぼたと唾液が垂れ流れた。なぜか涙もこぼれ落ち、声にならないうめき声のようなものまで出た。キッピーはそれを拭いもせず、瞬間にダッシュした。そのダッシュのゴールは、当然デスの2人のうちのどっちかだ。どっちでもよかった。どっちから行こうが、最後には両方食べるのだから。しかし、そのどちらのデスに到達する前に、キッピーの進行は妨げられることになる。思いっきりぶち当たったので、2人とも吹き飛ばされた。キッピーの突進を止めたのはもちろんあかきだ。デスたちに、そのタックルを止める術はない。反応すらできていなかった。

いくら鬼神の力を使ったとはいえ、あかきはもろに受けとめたので2~3メートルほどのところまで飛ばされてしまった。そこは、奇しくもデスたちの目の前だった。デスたちが敵である自分たちを、あかきがかばってくれたことに対してひどく驚いていた。

「どうして?ですか?」

あかきは刀を杖代わりにして立ち上がり、デスたちを一瞥するも、キッピーのことが気になり、標準をキッピーに定めた。定めながらも、デスたちに答えた。

「なんでだろう?俺もあんたらが憎いんだが、今のキッピーには何もない。何も感じられない。正義でも、悪でも、憎しみも、感情そのものがないから。あんたらも、今のところは無抵抗だし、そんな奴をこっちが一方的に攻撃するのはおかしいだろ?だから止めただけだ。勘違いはするな。それに・・・今言ったように、今のキッピーはどこかおかしい」

キッピーは怒りに満ちた・・・どこか悲しみに満ちた表情であかきを睨んでいた。もうキッピーからはよだれも出ていない。出しすぎてのどがカラカラに乾いてしまっていた。それがさらに禁断症状を巻き起こす。キッピーの唇が動いた。言葉にはならないが唇が「どうして?」と動いたのは分かった。どいつもこいつもどうしてどうしてって。同じこと聞き過ぎだろ。あかきはニヤッと笑った。キッピーにはそれが、挑発していると捕らえられた。キッピーが臨戦態勢に入っていく。

「おい、キッピー?違うぞ。おい?」

言っても無駄か。でも、どうしようか?とりあえず、デスたちに避難するように伝え、刀を構えた。おっと、真剣でやり合うわけにはいかないよな。鞘がない。鬼神め、役に立たないぞ。と思っていると、ガランと何かが落っこちる音がした。目をやると、そこには鞘が落ちていた。まったく。気が利くじゃん、鬼神もさ。刀と鞘を左右の手で持ち、ゆっくりと体の前に突出し、ゆっくりと刀を鞘に納めた。そして、ゆっくりと構える。キジンとデス・イーターが対峙してしまった。対峙してしまった。

あかきにはひとつ、不安があった。キッピーはどうだか知らないが、さっきの(そういえば本当にチュカカブラってデスも呼んでたな)チュカカブラとの戦いで、キジンの力を使ってしまっていた。ちんたらやっていたらキッピーを鎮静できない。と思っていたら、さきにデス・イーターが攻撃してきた。走りこんできて殴りかかってきただけだが、受け止めたらまたもや吹き飛ばされてしまった。今さらだが、割とシールドは打撃に対しての防御力は紙だ。

「全然元気じゃねーかよ、キッピー。少しは手加減しろっての」

不安は、今の一合で大きく膨れ上がる。デス・イーターは何の言葉も発しないが、二―――と不気味に笑った。すぐに起き上がらなくちゃと思っていると、腕を掴まれ、引き起こされた。なんだ、手伝ってくれるのか?と思っていたら、デス・イーターはゆっくりと大口を開け始めた。いつのまにか、両腕を両腕でホールドされ、しかも、その力は岩にくくり付けられたように動かない。びくともしない。

「おい、キッピー。まさか、噛みつきゃしないよな?まさか、まさかだが、俺を食おうなんて思っていないよな?まさかな。まさかな」

二―――――と、デス・イーターは今日一番の長さで笑った。そのまま口を大きく開き、ガブリ。キター!!!

「いってーーーーーー!!!!」

腕に噛みついてきた。噛みちぎろうとするも、鬼神化状態の皮膚は固く、なかなか噛みちぎれないでいた。噛みちぎれずも、痛みは強力だ。

「ぎゃーーーー!!!!」と叫び声が上がる。デスたちも、この光景には恐怖していた。同時に祈っている。変身のほうに勝ってもらはないと、次はワレワレだからだ。変身の方が負ければ、不気味は容赦もなんもせずにワレワレを食べるだろう。あんな死に方は嫌だ。ワレワレのことを思い出されると厄介なので声には出さないが、心の中で、がんばれー。と応援だけはしておいた。


読んでくれてありがとう。次もよろしく!!

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