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キジンとデス・イーターの章8

戦いの始まり

言葉を残して、キッピーが消えた。同時にチュカカブラが1匹、キッピーごと宙に浮く。キッピーはチュカカブラの首と思われるところを握り潰しながら、天井(10メートルほどの高さの)に押し付け、頭を、体を押し潰した。まずは1匹。と言いたいところだが、キッピーは「ちっ」と軽く舌打ちし、顔をしかめた。あかきは気が付いていないが、今の1撃でキッピーは2匹いっぺんにチュカカブラを殺そうと思っていたのだ。

「意外と素早いな」殺したチュカカブラを天井にへばり付けて、キッピーは地面に飛び降りた。天井が高くて、怖かったし、着地した時、足がしびれた。

「さすがだね、キッピーは」

すでに鬼神化しているあかきだが、チュカカブラの動きの速さに手を焼いていた。初めの1撃はキッピー同様、油断していたチュカカブラの首をたやすく跳ね飛ばした。そのままの流れであと2~3匹殺したかったが、刀はチュカカブラの体に触れることなく、空を虚しく斬るだけだった。

「消えた?」斬り飛ばしたチュカカブラの頭が地面に着く前に、今までいたチュカカブラが全部、視界から消えてしまった。

「完全に気配が消えたぞ。においは残っているけどな」

この部屋には大した明かりもない。キッピーはにおいで奴らを追いかける。あかきは奇神化し、火を灯す。しかし、これじゃ鬼神にはなれない。さてどうするか?奇神じゃ奴らのスピードについていけない。「さて、どうしよう?」

奥まで行こうとするも、意外とこの部屋は広かった。奥がさらに暗かったために狭く感じたが、部屋の壁までは15メートルほど続いていた。キッピーは、においを頼りに奥に進む。ただ、数が多すぎて翌場所が特定できない。後ろをさささと1匹のチュカカブラが通ったが、キッピーは気が付かない。チュカカブラはすでにキッピーを取り囲んでいるが、キッピーは気が付いていない。そして、気が付いたときには遅かった。チュカカブラの武器は、なんと言っても吸血に用いられる長い舌と、尋常じゃない力の足(と腕)。チュカカブラにチームワークや連携といったものはない。もし仮に、それらが奴らにあれば、この場でキッピーは間違いなく死んでいただろう。

1匹が目の前から来た。気が付いたのはそのスピードでもろとも吹き飛ばされた瞬間だった。その1撃で意識が飛びかけたが、すぐさま胸をその舌で突き刺され、飛びかけた意識が戻ってきた。舌を突き刺されながらも、体を思いっきり殴りつける。その体は見た目は昆虫のようなのに岩よりも固く、簡単にはじかれてしまった。だが、あきらめるわけにはいかない。舌が胸に突き刺さっているということは、どう考えても血を吸われるだろ。それに、今は吹き飛ばされているからほかのチュカカブラたちも手が出せないでいるが、止まった瞬間、袋にされるぞ。

とにかく、キッピーはその突き刺さっているくそったれな舌を思いっきり掴むと、へし折ろうとしたが、弾かれ、仕方なく両手を使ってへし折った。そのまま頭を両手で掴み、縦に180度回し、殺した。

「こいつ、血ぃ吸おうとしたぞ」

キッピーは叫びながら、慌てて辺りを見渡した。チュカカブラのことも心配だが、もっと心配なことを思い出したのだ。あかきだ。あかきはどこに行った?いくらキジン化できるとはいえ、このノミの数。俺は一人で突っ走り、何をやっているんだと、後悔し始めた。出入り口のほうで、うっすらと火のような明かりが見える。

「あれは、あかきの仕業か?」

しめたと思った。ノミどももさすがに火は苦手だろう。火を盾にして逃げていてくれよ。

「俺が、こいつら全部ぶっ殺してやるからよ」

と・・・言ったものの正直、そんなに自信がない。くそ。どこにいるんだあかきは?あの火のそばには人影は見えなかった。

キッピーの姿は、すべてのチュカカブラたちに監視されていた。というのも、思いっきり部屋の真ん中にいるのでバレバレだった。もっとも、キッピーは自分に注意を向かすために隠れる気はさらさらないのだが。

チュカカブラは、実のところ、キッピーやあかきの姿を視力では捕らえていない。汗や、においで場所を認識している。なので、キッピーの思いはむなしくも叶ってはいなく、チュカカブラたちにはあかきの居場所も完璧に分かっていた。分かってはいたが、あかきには不用意に近づけない理由があった。なので、本能的にキッピーをまず殺そうとしている。本能で、2人揃ったらやばいと、ノミながらに分かっているのだろう。ではその、話の軸になっているあかきは今どこにいるのか?何度も言うがチュカカブラどもは知っている。


読んでくれてありがとう。次もよろしく!!

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