デス・イーターの章12
いざ!!
「待たせたかい?そんな演出までさせて」
しんごは「はは」と笑い、肩をくすめて見せた。図星だろ。図星なんだろ。あかきが「はじめまして」とあいさつした。しんごは「その節はどうも」と意味わからんことを言って応じる。俺は、つい、「知り合いか?」なんて間抜けなことを聞いてしまった。そんなはずがない。だって俺もしんごも、言ってみれば未来人だ。出会っているはずがない。でも、どういうことなんだ?俺とあかきは二人してぽかんとしている。
「俺の先祖は、与作だ。あの与作。これでもわかんないか?んなこたないよな?」
しんごの調子に乗った顔はさておき、俺たちは同時に顔を見合わせた。しんごが与作の子孫!???
「うそだろ!!!????」
あかきよりも、俺のほうがそのことに驚いてしまった。しんごがその予想通りの驚き方に、大声で笑い出した。この様子を、周りの人たちが白い目で見る。てか、ずっと白い目で見られていたけどね。そんなことは当然気にするはずがない。しんごが説明してくれた。
「俺の家には代々、受け継がれてきた言葉があるんだ。あかきとキッピーという二人の未来という場所から来た若者の助けになりなさい。とね。その未来がいつなのかはわからなかったが、俺たち一族はそれを何年も守り語り継いできた。そしたら、本当にこんなことになってしまった。ある意味、呪われてるぜ。でもな、俺はお前たちの力になると誓ったんだ。それが、俺の英雄に対する気持ちだから。お前たち二人は、本当に俺にとっての英雄なんだぜ」
俺はしんごの顔の前に手を挙げた。しんごはその意味を読み取ってくれたようで、がしぃぃぃぃぃと力強く、俺の手を力強く握った。あかきも拳を強く握り笑った。ここに、何人にも壊せない結束力が生まれたのを感じていた。3人とも、一緒に。
「ところで、しんごは何しにここにきたの?」
と、あかきが聞いてきた。そういえば、全く説明してなかったな。しんごは過去に行ったデスどもの所在を調査していることをあかきに伝えた。あかきが納得したようでしんごにまた聞く。
「なら、ここに来たということは、デスを発見したということなの?」
しんごが得意げにうなずく。これからその時代に案内するという。分かったといった後で、俺はしんごに用事を一つ頼んだ。とても重要なことだ。
「案内した後、未来の地下に、宇宙船を収納できる場所を作っておいてくれ。今、宇宙船を奪ったんだが、収納できなかった」
しんごが、なんだそんなことかと笑って見せた。そのことはもう解決しているとのこと。アッシュがそのあとですぐさま作ったらしい。軽く50隻は収納できるそうだ。、誰か初めに気が付けっての。どうでもいいことかもしれないが、一応説明しておくと、なんで過去に来ている宇宙船を捕ろうとしているのかというのは、未来の宇宙船は奴らの管理下にあるから俺たちがパクったことがすぐにばれてしまうらしい。過去に行ったのは奴らもそこまでは把握できていないらしくパクってもばれないらしい。だからまだ、過去の物にすがるしかないらしい。その一隻を、せっかく手に入れた一隻を、はい、大破させました。もっとも、あかきも半分(というと大袈裟だけど)破壊したけどね。まあ、あのときは時間がなかったから仕方がないけど。
「で、しんご。奴らがいた時代はいつなんだ?」
「やっとか。早く聞いてくれよ。俺のセリフそんぐらいしかないんだからよ」
しんごは軽く咳払いをしてのどを整える。「それはな・・・」
気持ちのいいほどに青い空だった。こんな時代が、こんな時間が確かにあったんだ。俺は思わず、未来のことを忘れそうになってしまった。そんな自分に、俺は2人には黙っていたが怒りを覚え、嫌悪感を感じていた。俺は、過去に逃げてきたのではない。俺は未来と今と過去を守るため、奴らから奪還するためにここにいるんだ。この空の色は未来であり希望だ。だから、俺は無意識に青い服を選んでいたんだ。風も人も草も木も。このままの未来に戻すんだ。この二人といると、そんな大それたことが、ものすごく簡単なことに思えるから不思議だ。俺は、2人から顔を背け、笑った。いや、微笑んでいた。心臓の音が高鳴り、デスどもの血肉を食い散らかしたい衝動に駆られ始めていた。中毒衝動だ。この時だけは本当に神様ってやつに感謝したくなる。
「じゃあ、行こうか」
この日は本当に青い空だった。
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