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デス・イーターの章11

用意しとけよ

持って帰った宇宙船は、収納場所を用意するのを忘れていたので、すぐに解体してしまったのが後悔で残念だった。まあいい。すぐに別の物を用意すればいいだけの話だ。笑いが止まらない。まあ笑ってばかりじゃいられないけど。

「アッシュ、じゃあまた行ってくるわ」

「ああ、行ってらっしゃい」

俺はまた、アッシュに別れを告げ、仲間にも別れを告げた。彼女は、少し心配そうに、お別れのキスをしてくれた。最高のお守りだ。

晴れた、本当によく晴れた日だ。こんな日は、自分の時代では久しく見ていない。俺は、雑踏の中、一人流れを止めるようにあの優しい空を見ていた。未来では(俺にとっては現代だが)もう見れないと思っていたこの空。そして、恐怖で、もう見上げることができないと思っていたあの空を、俺たちが守ったんだよな。なあ、あかき。俺は本当にいい気分になってしまい、時間を忘れ、人を忘れ、自分を忘れ、あの空と一体になった。透明になった。何かが俺の中に流れた。目を開けているのか閉じてるのか、何が何だか分からなくなってきていた。俺は、・・・俺は。一歩、一歩歩くのももったいないようで、うれしかった。これを、取り戻すための戦いなんだと初めて実感できた。

俺は、静かに、でも力強く歩く。そこに、あかきの姿が見えた。この時代に来た時は、あの姿がなんでか妙に、守りたくなった。惹かれるものがあった。ほかのものを犠牲にしても、命に代えても・・・と言うと大袈裟だが、俺はこんなところじゃ死ねないから、あながち大袈裟じゃないけど。俺は、来た時と同じ格好で椅子に座っているあかきに近づいて行った。あかきの前に、何も知らずにいるあかきの知り合いたちが集まってくる。俺は、その間に割って入った。

「悪いな。こいつはこれから忙しいんだよ。遊ぶのはまた今度にしな」

今思うと、ちょっとがら悪かったかなと反省したが、まあどうでもよかった。俺は、自分の腕が、勝手に目の前に伸びていたことに気が付いた。あかきがその手を取ったから気が付いた。その手を引き、俺は適当に歩いた。あかきが怪訝そうにこっちを見て言う。

「って、どこに行くんだよ?」

「当然、あのデスたちを一掃しに行くんだ」

あかきは、腑に落ちないのか眉間にしわを寄せた。俺は、そんなじっとしていられない奴に「ただ、ちょっと待ってろ」と言って手を放し、制した。会わなきゃならない奴がいる。そいつはもう少しでここに現れる。どんな結果であっても。今後、そいつは必要不可欠の存在になるだろう。もうなっているが。

俺たちは、渋谷駅のすぐ目の前のスクランブル交差点の前に止まった。別に信号待ちをしているわけではない。一応言っておくが。そいつは、そのスクランブル交差点の中から現れた。ゆっくりと、人々の合間を潜り抜けながら。もっとも、言いておくが、そんなのはただの演出だ。わざわざ、そんなところから現れる必要はない。少し待って、多分俺たちの姿を確認してから、わざわざ出てきたのだろう。かっこつけすぎだ。そのかっこつけの名前はしんご。俺たちにデスどもの情報を教えてくれる男だ。というか、しんごだ。


読んでくれたらありがとう。次もよろしく!

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