デス・イーターの章10
食は力。あと補足
後日、アッシュがあのタイムマシーンの手直しが終わったと報告してきた。戻ってくることは可能になったが、代償に戻るためにこの時代に自分の名残を置いて行かなくちゃならなくなったらしい。俺の場合はあかきにも説明したが、力を置くことにした。その替わり、手足の機械をチューンナップさせた。戦いに付いていくために。ちなみに、俺はその意味で力を置いていくことにしたが、感情、肉体・・・何を置いて行ってもいいらしい。自分の名残でさえあれば。一度だけ、感情を置いて行ってみたが、廃人のようになってしまった。よもや帰れないぐらいに。どうやって帰ったかは忘れたが、念のために持って行った名札と裏にこの装置の説明を書いといたおかげの可能性もある。とにかく危なかった。
アッシュ曰く、過去への侵略はもう始まっているらしい。でも、デスたちは本当にランダムに過去に戻っているらしく、ピンポイントで見つけるのは難しいとのこと。そこで、しんごがそれこそランダムに過去に行って情報を得て、どの時代にやつらが現れたのかを報告することになった。内心どう思っているのかはわからんが、安全と言えば安全だ。過酷ではあるが。
アッシュがタイムマシーンを手直ししている間に、俺たちはもう一つタイムマシーンを奪っていた。そういえば、アッシュは宇宙船の操縦もできるようだ(というか、操縦はすこぶる簡単で、言葉が話せればいいだけ。デスなら誰でもできるみたい)。ただ、そこまでの協力はできるかどうか、分らないと言っていた。アッシュとしては、あくまでも囚われだから仕方なく協力している立場でいたいらしい。でも、言語は教えてもいいというので、一人、勉強させることにした。後々には全員で話せるようにはするが、難航していた。ようは難しい。人間で発音するのがむずかしいらしい。その点では、アッシュは天才だ。逆にデスたちにとっても、人類の言葉はむずかしいということだ。
「試しに、完成したタイムマシーンを使ってみたいんだがいいか?」
アッシュは驚き、不思議そうに見てきた。そして言う。
「当たり前じゃないですか。試してもらわないと成功したかわかりませんよ」
アッシュは半笑いを浮かべ、俺は少しだけむっとした。そのときに俺は、色々と試したのかったのだが、あまり試せなかった。アッシュに「1度言った過去の歴史を変えられなかったら、もう二度と、その歴史は変えられないよ」と言われたからだ。
「じゃあ、しんごが戻ったからもう侵略される歴史は変えられないのか?」と聞くと、アッシュは「たぶん」と答えた。「僕たちの時はそうだったから」と言われ、納得した。でも今更そんなことを言っても仕方がない。俺は、とにかく過去に行ってみた。歴史を少しでも変えてみたかったからだ。
初めてなので適当にスイッチを押すとそこはあかきの時代だった。このことは今さら深く語ることは不要だろう。
余談だが、あかきにも説明したが、その時代に行ったのは本当に偶然だし、そのあとに戦国時代に行ったことも偶然。行く時代、時代の調節はできるようにしてもらっていたが、今回は、まるで、あかきに引き寄せられたとようだった。初めは純粋にデスに引き寄せられたのかと思った。その時代に付いた途端、デスどもの宇宙船を上に感じたし、攻撃しようとしていることが分かったからだ。止められなかったが。ただ、デスどもに引き寄せられたというのなら、そのあと、戦国時代でキジンたちに出会ったのは説明ができない。あの時代には、別のデスどもはなかったからだ。一緒にあかきがいたから、としか言いようがない。きっと何らかの波長が合ったのだ。だからキジンたちに出会えたのだ。それと、これはどうでもいいことだが、戦国時代であかきが眠っている間に遊び回っていたのは本当だ。ある意味、平和な時代だった。そのぐらいさせてくれよ。
最後に、あかきを先に現代に戻した理由は、あのとき俺は、宇宙船をついに、奪取したのだ。未来に、あの宇宙船を届けていた。そして、デスを食っていた。遺伝子レベルで中毒かしてしまった体はデスを前にして抑制が利かなくなっていた。周りは、デス・イーターと密かに呼んでいるようだが、本当はデス・ジャンキー。言いにくいのでデス・イーターでいいと思っている。アッシュはもう治せないと言っているがとんでもない。これは俺に与えられた宿命。いい意味で天命なのだ。こいつらを一掃するという更なるカンフル剤にもなった。しかも、食えば食うほど俺に力が湧いてくる(気がする)し、宇宙船を奪ったことによって俺の手足の性能は飛躍的に向上した。
本当に読んでくれたらありがとう。次もよろしく!




