デス・イーターの章9
伝えたいことは、伝えておこう
大きさは手のひらサイズ。一見するとガラクタ。もっとも、デスどもの持ち物は全部、一見するとガラクタにしか見えないが。そのガラクタはなんと、タイムマシーン装置だと言う。あかきと使ったのはこれよりも最新だが、これはまだ何の手直しもしていない。デスたちが使っていた純正。使うともう同じ時代には帰れない・・・ってやつだ。俺は、一切信じられなかったが、アッシュが「使って証明しようか?」というので「逃げるのか?」と聞くと、「じゃあ自分たちで使ってみなよ」と言われた。ほんじゃあと、俺は大広間に戻ってそのことを言った。この装置の説明と、使ってみたい者はいるかと?
ざわついたが、なんと一人、手を挙げる者がいた。しんごだ。でも、しんごはまだ10代だ。俺は一応確認した。一応というのも、もうなんと言われてもやってもらうつもりだからだ。しんごはそれでもやはりというべきか、こくりと頷いた。その装置の使い方は、アッシュに聞いたので簡単だった。ただ、なんと、いつの時代に行くかはわからないらしい。なんつうタイムマシーンだと思うが「それでもいい」としんごは言う。
なので、さっそく使ってみた。すると直後にしんごは光の中に消えた。必ず生き残り、どんなことがあってもここに戻ってきて、そのタイムマシーンが本物であると証明しろと伝えたかったが言い損なった。
「ま、いいか」とぼそっとつぶやくと、物陰から一人の男が出てきた。どこかで見たことあるその顔は・・・あれ?しんごだ。でも・・・なんか老けてる。なんか老けてるぞ、このしんご!?今の今まで10代だった。それは間違いない。今は「26だ」と言っている。どうやら約10年前に戻ったらしい。再び、あの最悪な日を体験する羽目に会い、かなり怒っていた。一応、ずっとこの日のこの瞬間に出てくるために、俺たちから隠れて生きてきたらしいが、この日のためにいろいろ用意していたらしく、生活には苦労しなかったようだ。むしろいい生活をしていたらしい。気の毒なんだか、うらやましいのかわからんなあ。よく考えたら自分でわかってて過去に戻ったんだから、怒るのはお門違いも甚だしい。
「しかし、今のままだとこの装置も使うのが難しいな。戻ってこれなきゃ意味がない」
そう思っていたが、その問題も意外と簡単に解決した。アッシュが手直しをしてくれると言ってくれた。みんなは、アッシュはこれで逃げるつもりだからそんなことはやめとけと言っていたが、俺はみんなを無視して頼んだ。どうなろうが、このままでは使えない装置を持っていても意味がない。それ以上に、奴らがそんなものまで持っていることに恐怖を感じた。過去までも、奴らは手中に収めようと企んでいるのか?もしかしたら、この星の根底から奴らは自分の物にしようと。やはり・・・必ず、殺す。ほかに、あのガラクタの中にシールドがあった。もっと早くに使いたかったが、まだ、遅くはない。これらは確かな収穫だ。
こんなものだけ振り返っても、俺はよく一人でデスどもに挑んでたと称えたいと同時に、なんて間抜けだったと反省したい。昔、誰かが武器うんぬんが戦力の差じゃないと豪語していたが、俺の場合はもう少し、現実を見ておくべきだった。まあ、もはや後の祭りだが。しかも成功してきたんだ。俺の口角がグググと上がってきた。ああ、よだれが垂れる。
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