デス・イーターの章4
奇妙な友情はここにもあるよ
でも、いつまで経っても爆発しない。「あれ?」と思ったのもつかの間。爆弾が爆発した。スイッチでは起動しなかったが、地面に落ちた衝撃で奇しくも起動したのだ。おかげで、少しでも遠くで爆発が起こってくれたのだ。爆弾は、2つ投下されたので、宇宙船にドでかい穴が開いてくれた。その穴に、何匹かの奴らが落ちていった。それはそれは愉快だった。失った元両腕が痛みの歌を歌うが、俺の口からは笑いが溢れ出てくる。もう死ぬんだ。最後は笑って死のう。そう決めていた。夢が叶った。まさかこんなところで。落ちていく宇宙船。俺は、天井になった壁に押し付けられながら、最初で最後のダイブを味わう。こんなに心地よいものはない。天国に先に行くぜ。
でも、まだ行けなかった。地面に落下した瞬間、俺は空中に停止していた。落ちる前に風圧で吹かれて衝撃が緩和された。まるで、天使に抱きかかえられたようだった。それでも、現実はそこまでやさしくない。地面に落ちた時、その衝撃は緩和されたけど、片足から落ちてしまい、千切れとんだ。でも生きている。
「これは、勝利なのか?」もうじき死ぬのに、なぜ、この数時間俺は生かされているのだろうか?わからない。分かるはずがない。奴らの死骸の目の前で俺は最後の問いかけをした。
思い出していた。こんな世界になる前は、世界中を回りながら、俺は世界中の食べ物を食い漁っていた。俺はこう見えてグルメなんだ。いろいろなものを食べてきた。もうこの世に食ったことのない生き物植物etc.はないはず。でも・・・そうか。俺が芋虫みたいに這いつくばってまで前に進んでいた理由がやっとわかった。このにおいだ。この宇宙人の焼けたにおいに惹かれてきたのだ。俺はもう死ぬのだ。周りには誰一人としていない。
俺は、それこそ一心不乱にかぶりついた。いかれたのかな?こんな状況だからか、もしくは、これが最後の晩餐になるからなのか?奴らの死骸は今までに食ったことのないほどにうまかった。だから、俺にはこんなあだ名が付いたのだ。今はまだ、誰も知らないが、いつしかこう呼ばれていた。
デス・イーター。死神を食うもの。喰らうもの。俺が宇宙人どもを殺す理由はそれだ。あかきは俺のことをヒーローに見えないと言っていたが当然だ。俺はヒーローじゃない。ただ食いたいだけだから。
デスの死骸が骨だけになった頃、俺はいよいよ最後を迎えようとしていた。ゲップが出て、もう動けなくなっていたし。何より出血がひどい。やれやれだ。ふと、右側を見た。なんか気配があったからだ。動くものがあったからだ。食うことに夢中になってて今の今まで全然気が付かなかったが、それは炎のような単純な動きじゃない。生き物のように意思と思考を感じさせる複雑な動きだった。そこあったのは、まさかの生き残っていた宇宙人だった。
「デス野郎。生き残りがいたのか」
そいつをよく見ると、ほかの宇宙人よりいささか小さく、まるで子供のようであった。しかも、傷だらけで、俺ほどではないが、何やら必死に生きようとしているのがわかる。死にかけの2人。ここにはこの2人しかいない。死の世界に異端同士が2人。異端同士だが生きることに関して、2人ともに必死だった。
妙な感じだが、奇妙な感情が湧いてきた。互いが互いに感情移入したのだ。そこにはみじめさも多かったが励ましも存在し、何も言わずして友情のような感情が湧いてきた。でも、もうそんな感覚もなくしてしまう。俺もこのデスも、もうすぐ死ぬんだ。そっと目を閉じると、思い出すことが多かったが、思い出を邪魔するかのように何かが近づいてくる音があり、パッと目を開けると俺の近くにそのデスが寄ってきていた。殺すわけではないことは肌で感じていた。
分かったことは、奴らにも心があるらしい。いや、奴らではなく奴には…だ。もしかして、こいつがおかしいのか?わからんが、俺は抱きかかえられ、眠った。そんな姿を見たら俺の仲間は、さぞ驚くことだろうな。
デスが何かを囁き、俺はそれに答える。なんて聞かれたのかはいまだに思い出せないが、そのあと仲間たちのところに、デスは俺を運んでくれたようだ。俺は一切、本当にその時のやり取りなんか覚えちゃいない。なんせ寝ていたから。
こんなにも読んでくれたら、マジうれしいす
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