デス・イーターの章3
反撃開始
その結果、今のありさまなのだが、仲間はまだ、当然俺が死にかけていることを知らない。万が一にも、俺が死にかけているなんて思ってもいないだろう。
俺たちはまず、奴らの宇宙船を一つ奪うことにした。ひたすら、地下にいながらも奴らの生態をとことん調べた。奴らにも眠りが存在するようで、あまりいない時間帯も分かった。午前4時から8時までの間。
俺たちの戦いは、初めは順調だった。それもそのはず。やつらは人間なんかに反撃されるなんて微塵にも思っていなかったからだ。そんな単純な理由だ。でも宇宙船を奪うことはなかなかできなかった。これまた当たり前なのだが、誰も操縦ができないのだ。奪えるはずもない。けど代わりに、俺たちは順調に、ひとつひとつ宇宙船を落していった。だが、やはりというべきか、徐々に俺たちの存在は奴らにばれてきていた。それでもやめはしなかったが。ばれようがなんだってよかった。むしろ、知らしめてやるつもりでもいた。
「へ、人間の力を思い知ったかってんだ」
人間が地下に逃げて、ある意味平和だった。ある意味な。奴らも地下には干渉はしてこなかった。地上が支配できれば良かったらしい。それでいいと言うなら、もしかしたらそれでよかったのかもしれない。何も人間が地球の代表というわけではない。でも、人はこういう風に進化してしまったのだ。俺もその一人。あとから来た不届きものを許せなかった。ただのエゴだ。それは人間にもやつらにも言える。これはまさにエゴの戦いだ。
俺は、今回もいつものように宇宙船に忍び込んだ。午前4時・・・奴らが寝静まった頃だ。その時間帯を狙うのは当然だ。だが、今回はいつもと違っていた。なぜか、奴らのほとんどが起きていたのだ。俺は、地下にいるときのように息を殺して待った。だが、なぜかやつらは交替していつまで経っても眠りにつかない。いつの間にか警戒されていたのだ。
それから何時間経ったのか?宇宙船はかなり上空に昇ってしまったらしく、俺は地上に戻ることもできずに、不安と恐怖で限界に達していた。怖くて、流れない汗で全身は痒くなり、脂汗で気が狂いそりなっていた。乾いた瞳と唇。唇からは血が出ていた。噛んでいたことにも気づかず、痛みは感じないほどの緊張と恐怖に支配されていた。気が付いたら理解不能な言葉を叫びながら、奴らに立ち向かっていた。立ち向かうというと聞こえがいい。正直に言うと、わけもわからず走っていただけだ。怖かった。怖かったんだ。
「その結果がこの様だ」
結果、簡単に奴らに捕まり、俺は拷問を受けられそうになった。俺のことはどうなってもよかった。だが、仲間がばれるのはまずい。地下に人間がまだいるのがばれるのもまずい。だから俺は、潔く、自爆することにした。しかし、手に爆弾を持っていたことをあっさりばれて、めんどくさかったんだろう。やつらが爆弾を目にした瞬間に、俺はその腕を失った。痛みも感じないほどの一瞬の出来事。その数瞬後に俺は痛みよりも早く、自爆できなかったことを理解した。けど、ご安心を。爆弾はまだまだございますよ。すかさず、残った左手に隠し持っていた爆弾を掲げる。奴らの顔が微妙に困惑したように変化した。ように見えた。ざまあみろと俺は得意げににやける。分かっていたよ。残った左手も飛ばされる前から、左手が飛ばされることぐらい。分かっていたよ。でもな、スイッチは押してあるんだよバーカ。爆発しろ。ははは。みんな道ずれだ。
「死ねよ。お前も」まだ生きている自分にそうつぶやいた
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