第5話 1人も案外悪くない
とまぁ今日も色々なことがあったが今は家の帰路へとついている。
実のところを言うと中学のボッチ癖が抜けなくて、今でも帰るのは1人なのだ。
まぁ、一人というのも静かで悪くないけど、やっぱり少しさみしくなるものだ。
「お、自販機発見」
俺は近くに自販機を見つけ、微糖のコーヒーを購入した。
俺がベンチに座ってコーヒーを飲んでいると、1人の女の子が俺の方へと向かってきた。
「お兄ちゃんまた1人で学校から帰ってる。友達居ないの?」
初っ端から俺をディスってきたこの少女は現在、中学3年生の萩原 茜である。お察しの通り俺の妹だ。
「俺は友達がいないわけじゃない中学の時とは違うんだ。それと一人で学校から帰ってるのはお前も一緒だろ?それならお前もボッチだ」
俺がそう言うと茜は顔をしかめ、口を開いた。
「別に私はボッチってわけじゃないの!今日はたまた友達に用事があっただけでボッチとかじゃないから!お兄ちゃんと一緒にしないで!」
茜はそう言ってくるりと後ろを向き去っていった。
その後、俺はコーヒーを飲み干してまた歩き出していた。
俺はそのまま家に向かうのではなく、近くの書店に寄ることにした。
「お、新刊出てる」
俺は新刊コミックコーナーの一番上にあった本を手に取った。この本は、俺が憂鬱で何の面白みもなかった中学時代に出会った本なのだ。この本は俺の中学時代とは違う、キラキラとした青春学園ものだ。
…当時の俺は心の奥底でこういったキラキラ学園ものに憧れていたのだろう。
俺は本を購入し、書店を後にした。
「ただいま〜」
書店からあるいて5分ぐらいで俺は家へとついた。…誰からの返事もないな。親はまだ仕事なのだろう。そして、茜もどこかで寄り道しているのだろう。
…ってことは…!この家には俺1人!誰にも邪魔をされないというわけだ。
俺は鼻歌を歌いながら、リビングへと向かった。
「お兄ちゃんうるさい」
俺が豪快に扉を開け、部屋の中に入るとそこには茜の姿があった。
「茜!?居たのかよ!」
俺がそう言うと茜は呆れ顔で
「居たよ。そもそも玄関に私の靴あったでしょ?」
確かに、あったようななかったような…
俺は冷蔵庫から麦茶を取り出し、一気飲みをして茜にこう言った。
「挨拶ぐらい返せ」
と。そしたら茜は適当な返事をし、まだもやもやするが俺は残りの麦茶を持って、2階にある自室へと足を運んだ。




