第22話 会長からのお誘い
あれから数時間、学校は終わって、下駄箱前へと来ていた。
「萩原君、この後って暇ですか?」
下駄箱で靴に履き替え、帰ったら買うだけ買って読み切れてないラノベでも読もうかと考えてた俺に、声がかかった。
振り返るとそこには会長の姿があった。
「珍しいですね会長。なんですか?デートのお誘いですか?」
会長を少し茶化しながら俺はそういう。
会長は少し考えてから「まぁそうですね」と言った。まさか会長からデートのお誘いが来るなんてな。
でもなんで急に?俺となんて学校で少し話すだけの仲なのに…
俺があれこれ考えていると、会長はそんな俺を無視して口を開いた。
「そんなのいいじゃないですか、少し付き合ってください」
会長は俺と違ってかなり頭がいい人だ。俺とは真逆だと言ってもいい。
何か裏がありそうで怖いな…ここは断っておくか。
「あの、会長。俺この後少し用事があって今日は無理なんですよね、すみません…」
俺は頭を少し下げながらそういうと、会長は少し悩むような表情をしてから、口を開いた。
「誰かと遊ぶ予定でもあるんですか?水上君は部活がありますし、中村さんや斎藤さんも今日は委員会で遅くなるみたいでしたし…ほかに誰がいましたっけ?」
会長は俺にそれぐらいしか友達がいないと思っているのか?そんなことよりも早く言い訳を考えなくては。
「えっと、あれですよ。今日は早く帰って宿題をして勉強をしなきゃいけないので…」
「萩原君が勉強ですか⁉そんなわけないですよね、じゃあ行きましょうか」
「え?いや、ほんとに勉強を…」
必死の抵抗は虚しく、俺は会長に強引に連れられて学校を後にした。
「会長、結局どこに向かっているんですか?」
俺は隣を歩いていた会長に向かってそう聞いた。
「うーんそれは着いてからのお楽しみってやつです」
なんだよそれ。気になるじゃないか。
「いいじゃないですか勿体ぶらないでくださいよ」
俺がそういうと、会長はぼそりと小さく呟いた。
「言ったら萩原君はついてこないと思いますので」
何それ?俺、今からどこに連れていかれるの?俺はこの先、何が起こるんだろうというワクワク感と、俺は会長に何をされるんだろうという恐怖心でいてもたってもいられなかった。
あれから歩いて20分ほどで、会長の足が止まった。
「どこですか?会長?」
俺は会長にそう聞くと、会長は俺から見て右側にある建物を指さした。
「目的地はここですよ」
俺は会長が指をさす方向を向くと、そこには予想外で、思っていたものとは全く違うものがあった。




