第20話 朱里の本意と鎌倉の終わり
「あーん!」
朱里が少しづつ俺の口へとフォークを近づけてくる。
「ちょっとトイレ!」
俺は結局ヘタレてしまった。まぁ間接キスもファーストキスに数えるからな、ファーストキスは好きな人とって決めてるから。
一方朱里は。
やっぱり嫌だったかな、網代。流石に強引すぎたよね…まだ私とは間接キスもしてくれないのかな…
小学校のときの網代は女の子となんて私以外仲良くしてなかったのに…今は会長や中村さんやあきちゃんみたいなかわいい女の子と一緒にばっかりいるし…
え?あきちゃんは男の子だって?あきちゃんは女の子より女の子してるから女の子だよ?
あれ?私、なんでこんなこと考えてるんだろう…網代はただの友達なのに…これって嫉妬?網代に恋愛感情?ないないそんなの…ない?
「ただいま」
俺はトイレに数分こもって朱里のところへと戻ってきた。
「おかえり…」
朱里がいつもみたいな元気な声ではなく、小さく覇気のない声でそう言う。
「その…ごめんね網代…嫌…だったよね」
どうやら朱里はさっきのことを気にしているらしい。流石にあの話題の逸らしかたは強引だったか…
「あの…なんだ?別に嫌って訳じゃなくてな…ただビックリしただけだ」
俺は少し朱里から目線を逸らしながらそう言う。
俺はこういうとき、気の聞いたことは言えないからな。どっかのラブコメ作品で聞いたことあるような慰めかたをしてみた。相手を傷つけずに平和的におわらせる。結構使い勝手の良い言葉だと思う。
まぁ人生に一度使うか使わないかだが。
こういうシーンってラブコメでは結構ありがちだよな。
「嫌…じゃない?それって嬉しいってこと!?」
「嫌じゃないってだけだから!うれしいってわけではないから頬にケーキを擦り付けないで!?クリームついてる!ついてる!」
まぁそんないざこざはあったが、俺たちはケーキを食べ終えて店を後にした。
あぁやっぱり俺には恋愛適正がないんだと改めて実感した。それより、問題なのは俺の恋愛適正ではなくヒロインたちの方ではないのかとも同時に思ったのであった。
どうも久しぶりのあとがきです。
これで鎌倉校外学習編は終わりとなります!それでも、
網代と朱里がこうしている間に水上や会長、中村達は何をしていたのか、その辺もいずれ書く気でいます!
これからも「恋愛適正ゼロの俺に、世界は手加減しない」改め、「コイゼロ」をよろしくお願いします!




