第2話 まるでラブコメのよう
反省文を受け取った俺は、その足で教室へと戻っていった。教室の扉を開けると真っ先に1人の女の子が俺の方にすごい勢いで向かってきた。
「おはよう!網代!」
俺のことをこのクラスで下の名前+呼び捨てで呼ぶようなやつは一人しかいない。
「おはよう、朱里」
こいつは斎藤 朱里、俺の幼馴染だ。少し茶色がかったショートヘアーで、元気が有り余ってる子だ。おまけにとても高い顔面偏差値を持ってるときた。「愛嬌がある子」の代表例みたいな奴だ。朱里は小学校中学年くらいに転校してしまい、こっちの方へと引っ越したらしい。俺も父親の仕事の都合でこっちに引っ越してきたんだがまさかこんなところで出会うとは。
朱里とは物心つく前から一緒に遊んでいた正真正銘の幼馴染だ。
もう既にラブコメのような展開だが朱里との感動的かつラブコメの模範解答のような出会いを聞けばさらにラブコメ度が上がるだろう。
あれは高校2年に上がった時の始業式の時に、転校生として朱里は来たのだ。
「すぐ近くの牧部高校から転校してきました!斎藤 朱里です!よろしくね!」
転校初日から大きすぎる声で朱里が挨拶したあと、時間があるという理由から1人1人、軽く自己紹介することになった。…そんなことするならとっととホームルームを終わらせて、家に返してくれよ…
出席番号順に1番から順々と回ってきてとうとう俺の番になった。
「去年は2組でした。萩原 網代です。部活は…」
「あぁ!!!」
俺が話し途中だというのに朱里が大声をあげて割って入ってきたのだ。
「え?まさか網代!?私のこと覚えてる?物心つく前から遊んでた朱里だよ!朱里!」
その時の俺は一瞬だれか悩んだがすぐに思い出した。朱里に久しぶりと告げ自己紹介の続きをした。
とまぁまるでラブコメのような衝撃的な出会いだったのだ。
時は戻って現在、俺は2限目の用意をし終わり、席へと着いていた。俺が授業が始まってもいないのに寝ようとしていると、後ろから肩をトントンとたたかれ、名前を呼ばれた。
「萩原くん?ちょっといい?」




