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第16話 網代の決意

「失礼します。1年、萩原です」

 俺は職員室のドアを開け、まだ数人しか先生のいない職員室に向かってそういった。

「萩原君⁉なんでここに⁉」

 俺と面識がないはずの若い女の先生が俺に向かってそういう。なんだ、俺ってそんなに有名人だったのか?あとであの先生にはサインでも書いてあげよう。それにしても俺がここにいちゃまずいのか?

「萩原がこんなにはやく学校に来るなんて、明日は大雪でも降るのか?電車が止まるのか?」

 俺の担任である男の先生がとなりの先生とそんな会話をしている。俺が早く来ただけでそんな大騒ぎになるのか...余計なお世話だ!

 「すみません、選挙管理委員長から立候補者の書類を持ってきてほしいと頼まれたのでもらえますか?」

 俺がそういうと選挙管理委員会担当の先生が「萩原君か~」などといいながら頭を抱えて自席で悩んでいた。なんだ?俺じゃ不満か?ここの教員は生徒のことを日常の態度で差別するのか?そう思ったが、まぁ俺の日常の態度だとそうなるのも無理はないか。

「ごめんね萩原くん。選挙管理委員長がじきじきに来てくれなきゃ渡せないの」

 それって本当か?俺だから渡せないとかだろどうせ。まぁ俺も先生と同じ立場にたったら確かにこんなやつ信用ならんよな。仕方ない…のか?

 俺はここで歯向かったところでどうせ渡してくれないと思い、職員室を後にした。


 さて、どうしたものか、いっそのことここであきらめてしまうというのも1つの手だが…ていうか、なんで俺はこんなことしてるんだ?別にあの人に何かしてやる義理なんて1つもないのに…

 俺はそのまま1日悩み続けた。そして、1つの結論に辿り着いた。

「デメリットを受けたくないからだな」

 『デメリットを受けたくない』だ。

 会長を助けないと俺の良心に傷がつくという、とてつもないデメリットがある。俺が傷つくことだけは許されないのだ。

 俺はメリットがあるから会長を助けるのではない、デメリットがなく、なおかつ俺自身もデメリットを受けないから助けるのだ。

 会長を助けることにはなんのデメリットもなければメリットもない。そもそも、俺は会長に俺がお前を助けた。などと言うつもりはない。まぁただの中二心だがな。いいだろ?影から支えるって。なんかかっこいいじゃん。言うつもりはないから会長に知られることなく、感謝されることもないなんのメリットもない。

 デメリットを取るか、なんのメリットもなければデメリットもない方を取るか、もちろん何もない方がいいに決まってる。

 俺は、そのクズなのかいい奴なのかよくわからない結論に落ち着き、ある人のところへと向かった。

 

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