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第13話 裏の顔

 俺は副会長こと泉 遥人に連れられ、道へと出た。

「グループのメンバーはどうしたんだ?捨てられたのか?」

 俺がそう聞くと、前を歩いていた副会長が後ろを振り向いて俺にこういった。

「君じゃないんだからそんなわけないだろ?スマホが落ちてたから俺だけ離れてスマホを届けに来たんだ。そんなことよりも単刀直入に言う、もう会長とは関わらないでくれ」

 さっきまでニコニコして優しさの妖精だった副会長の顔つきが変わった。まるで怒りの妖精のように。いま、俺をディスる必要あった?まぁこんなことを言い出したのは俺だし、仕方ないか。 

「なんでだ?副会長?」

「会長に君のような人間は不釣り合いだ」

「不釣り合いもなにも会長は不真面目な俺を生徒会長として取り締まってるだけだ。その関係に不釣り合いも何も無い」

 俺がそう言うと、副会長はさらに眉を上げた。なんならこんな会話はもう一度や二度じゃない。俺が会長に目をつけられてからだ。そう、これがみんなのアイドルである副会長の裏の顔。というか真の顔だ。実際のところは結構キレやすく俺によく突っかかってくる。しかも誰にも見られないようにだ。ほんとたちが悪い。

「君は会長がそんな感情だけで君と関わってると思うのか?」

 そんな感情だけ、と言っても俺は会長と友達でもなければそれ以上でもない。ただ席が隣で、要注意人物に指定されてブラックリスト入りしている俺を会長が取り締まっている。ほんとそれだけの関係だと俺は思っている。俺がもう一度意見を述べると、副会長はまた眉を上げて話した。

「君は会長に何をしたのか分かってるのか?去年の9月下旬!忘れたとは言わせないぞ…」

 …あぁ覚えているさ。あんなの忘れようがない。流石に俺も出しゃばり過ぎたと思っている。まさか俺にあれだけの度胸があったなんてな。

「忘れるわけ無いだろ、珍しく俺がいいことをしたんだからな。それよりなんで怒ってるんだ?まだ会長に振られたことを根に持ってるのか?それにあれは副会長の協力あってのことだ。」

 俺がそう言うと、副会長は限界まで眉を吊り上げた。これは誰がどう見てもイライラしているな。

「あれは俺が解決したのではない!君がいてこそ解決できたんだ!それに告白のことはどうでもいいだろう!そんなことより、僕は君が会長と関わり、これ以上親交を深めるのは解せないと言っているんだ!」

 こいつは何を言っているんだ?会長の感情やら俺が不釣り合いだとか、やっぱり振られた腹いせとしか思えないのだが。俺達の会話がヒートアップしてきた頃、交番の方から大きく、元気な声が聞こえてきた。

「おーい!2人とも!手続き終わったよー!」

 説明する必要もないと思うが朱里の声だ。どうやら手続きが終わったらしい。

「話はまた今度だ」 

 副会長は俺を朱里に気づかれないよう睨みながらそういう言った。

「良かったね、見つかって」

 副会長が朱里にそういうと、朱里も副会長に、頭を下げて礼を言った。その後、副会長は自分の班員の所に戻ると言って俺達と別れた。

「ねぇねぇ網代?泉くんとなに話してたの?」

「秘密だ。男同士のお約束ってやつだ」

 俺はそう言って、横から未だに教えてとねだってくる朱里を振りほどき歩き始めた。


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