第11話 いつも通りのポンコツ具合
「なぁ、朱里。なんでお前電話に出なかったんだ?」
読者の皆様も俺も不思議と思っていることを朱里へと聞いてみた。俺達は朱里に電話を掛け続けたがなかなか出ず、こうして探す羽目になったわけだ。
「電話?とくに鳴ってなかったと思うけど…?」
朱里はそう言いながら着信履歴を見ようと、スマホが入っていたポケットに手を入れた。
「…どうした?」
朱里はポケットに手を入れたまま微動だにしない。少し嫌な予感がしたから俺は声をかけてみた。…まさか落としたとかじゃないよな、?
「…スマホがない…」
まじかよ当たって欲しくない予想が当たってしまったな。
「鞄の中とか別のポケットに入ってたりしないのか?」
朱里は、他のポケットや鞄の中を漁ってみたがやはりないらしく、とりあえず交番に行くことにした。
「あのー?スマホの落とし物とかって届いてませんか?」
朱里が警察の人にそう聞くと、「あぁー沢山ありますよ」と言って一箱の段ボールを机の上に置いた。その中には数十台にもなるスマホが入っていた。流石観光地だな。
「…違う、これも違う……ない!!!!」
朱里は箱の中をゴソゴソ漁っているようだがどうやらないようだ。結局見つからなかったので、書類を書いて俺達は交番を後にした。
「うぅ…私のスマホ…」
いつもハイテンションでうるさい朱里が今日は珍しく落ち込んでるな。まぁスマホを無くしたらそうか。
「そう落ち込むなよ。ジュースでも飲むか?」
「飲む!」
朱里は元気いっぱいの笑顔でそう言ってきた。こいつ…飴とかで知らない人についていきそうなぐらいチョロいな。
「ほらよ」
俺達は一度落ち着くために近くのベンチに座って飲み物を飲むことにした。
「もう一度思い出せ。お前はどういうルートでここまで来たんだ?」
朱里はジュースを飲みながら少し考え、ここまで来たルートを話した。
「じゃあこのルートに沿って探してみるか」
俺達はベンチから腰を上げ、朱里が通ってきたルートに沿って歩き始めた。




