【プロットタイプ】人形の覚悟を買ってやる
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
でも手は出さないと思うんですよ。
愛欲という言葉さえ消し飛ぶ程に、創作に向いてるから。
愛欲がないから持ちかけない。
だから拮抗状態。
俺が創作をしている理由というのは、生きた証を残す為だ。痕跡を刻み付ける為だ。それは、ある意味、生き様と称しても良いかも知れない。
だから、今よりも自分の作品を良くしようと思っている輩、全てを捨て去ってもこの作品を残したいという奴以外、興味はない。
創作部のガチ勢のグループに入部した後、何ともトンチキな女に出会った。そいつは会う度に人の呼び名、性格をコロコロ変える様な奴だった。あまりの主人格の無さに、最初は目を見開いた事を鮮明に覚えている。
何でもこうやって人格をコロコロ変えるのは、登場人物の心理をより深く理解する為、つまり演じる事で、内情を理解する為であるらしい。
そいつは部活時間外に自席に座っていた。顔は能面の様で、だらりと下がった手足は幸江一号の様に生気が無かった。
俺も自席に着いて紙とペンを用意すると、僅かに顔を動かして、此方を見る。
「瑠衣くん、あのね、私、空っぽなんだぁ……何もないの。
主人格という物がなくて、知らなくて、其れを学ぶ為に沢山の人を観察した。沢山の物語を読んだ。でもどれだけ取り繕っても、中身は伽藍堂のまま。
……だから、登場人物の人格作る為だけに、私は生きる事にした。存在する事にした」
俺は生き様を此処に記す為に物を書き続けている。いつ死ぬか分からない。明日死ぬかもしれない。けれども、生れ落ちた物語は誰かの記憶に留まって、生き続ける。其れだけを頼りに物を書いている。
けれども此奴は、鏡花という女は、死んでいるのかも知れない。いや、生まれてさえ居ないのかも知れない。其れでも、俺と同じ様に、生き様を、死に様を残そうと藻掻いている。
「お前にとって、人生と言うのは比喩でもなんでもなく、舞台の一つなんだな」
そう言うと、僅かに口角を上げた。なけなしの人格が少しだけ浮き彫りになった気がした。
「ねぇ、瑠衣くん、私と取引しよう?
私は私の作品を作る為に、私の全てを犠牲にした。けれどもまだ足りないの。他人という部分が足りないの。だから其れを君が補って。私という舞台に付き合って。
その代わり、瑠衣くん。君も物語を完成させる為に、私を好きに使って良い。生の女の体が見たいなら、服を脱いであげる。性交渉の感情が知りたいなら付き合ってあげる。肉を裂く感触が知りたいなら、私の肉を切れば良い。
ねぇ、瑠衣くん……先坊瑠衣……お願いだよ……」
女は……生き人形は……静かにそう懇願した。懇願のあまり、一筋の涙が頬を伝った。だから俺は彼奴の胸ぐらを掴んで、はっきりと言ったのたのだ。
「上等だよ。鏡花。お前のその覚悟、買ってやる」
瑠衣てぃゃはガチでやってる人以外の顔と名前を覚えません。興味が無いから。
反面、ガチでやってる人をがいて、協力を願い出されたら全力で応えます。
覚悟を買ったんです、キョーカの。
でもキョーカは、主人格はなくても、良識はあります。
だから相手は結構選別してるし、大丈夫な相手しか取引もダル絡みもしません。
瑠衣っぺが『鏡花の体を使う』と持ちかけない限り、自分も持ちかけません。
※キョーカちゃん、おにーたまには絶対ダル絡みしません。
其れを見越して瑠衣たん、『服脱げ』とか『ヤラせろ』とか『お前の腕借りるわ』とは多分言いません。
いわゆる、瑠衣ちゃんにも、ギブアンドテイク、等価交換の概念があるんですよ。
『俺がお前を使った分、お前も俺を同様に使え』という精神。
つまり、互いが互いに拮抗の関係。
ダル絡みした分、殴りはするけど、それ以上はしないという関係。
でも覚悟の絆はガチで深い。
恋愛感情は持たないと思います。
でも生涯を掛けたビジネスパートナーとして、結婚はあると思います。
※この間の『if』の言い訳をしたい人。