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3:クニーガ・マーギイにつく

「ここら辺にいる人は、フォルムラとは感じが全然違います」


 クリョシタが珍しそうに、周りにいる人を見ている。


「そうですね。フォルムラは機械が発達しているのですが、ここら辺は違います」


 チェネレントラとクリョシタは珍しそうに、周りを見渡している。


 クリョシタとチェネレントラが身につけている物は、全て機械が作った物じゃ。服に使われている布は合成繊維を織った物だし、染料だって鮮やじゃ。


 それに比べて、この辺りに歩いている人は手作りの服を来ておる。服の素材や色、それから作り方はクリョシタ達が着ている服とは全く違う。  


 そういうこともあってこの辺りを歩いている人は、クリョシタ達よりも素朴な感じをする服を着ているのじゃ。


「ここがクニーガ・マーギイ。ボーク・スネールチまでまだまだ遠いです」


 フォルムラのコンクリート造りの門とは違う、手作り煉瓦の積まれた門を通ったあとでチェネレントラが説明する。


「遠いって、どれくらいですか?」


「少なくとも一睡しなければ、明日着く程度です」


 人はよく眠らなければならない。となればチェネレントラの言うことは非現実的だ。


「1日でボーク・スネールチへ着けって話ではありませんから、今日はここで泊まりましょう」


 クリョシタはそう言って、クニーガ・マーギイを見る。


 クニーガ・マーギイはコンクリートや鉄筋などのフォルムラとは違って、漆喰や煉瓦の使われた小さめの家が多い。


「マンションやアパート、高い建物がなくて新鮮です」


 クリョシタは珍しそうに、歩きながらクニーガ・マーギイを見る。


 そりゃあフォルムラの家や建物は機械が作っているから、いくらでも高くできる。でもクニーガ・マーギイでは人が手作りしているから、あまり大きくはできない。


「ねえお姉さん達、宿屋探しています? セールイがおすすめですよ」


 クニーガ・マーギイの住民らしい、少女がクリョシタ達に話しかけてきた。


「そうですか、教えていただきありがとうございます。セールイはどこですか?」


 チェネレントラが冷静に尋ねる。


「クニーガ・マーギイで一番大きな建物です。真っ直ぐ歩くと、つきますよ」


 住民らしい少女は、道を指さす。


「ありがとうございます」


 クリョシタはお礼を言い、チェネレントラと共にセールイへ向かう。


「ここがセールイみたいです」


 チェネレントラは看板を見て、クリョシタに報告する。


「そうみたいですね。では行きましょう」


 クリョシタはチェネレントラと共に、セールイの中へ入る。


 セールイは小綺麗で、素朴な雰囲気がある。チェネレントラがなれたように、チェックインしてから、部屋へと入る。


「魔法を前提とした道具があります。こーいうのはフォルムラにはほとんどありません」


 うきうきしたように、クリョシタは部屋にある道具を触る。


「わたしはアンドロイドですから、機械ではない物に馴染みはありません」


 チェネレントラは道具に全く興味がないようだ。


「私は食事しに行きます。チェネレントラはどうしますか?」


「わたしはアンドロイドですから、食事はいりません」


 ということでクリョシタは1人で食堂へと向かうことになった。


 食堂の中はざわざわしている。メニューは1種類しかないらしく、みなきびやあわのまじった玄米のおかゆを食べている。


 フォルムラではきびやあわを人は食べない。そのうえフォルムラで玄米を食べる人は少なく、クリョシタは白米以外の米を食べたことがない。


「お連れ様は食事しないのですか?」


 セールイの従業員らしき人が、クリョシタに聞く。


「はい、いらないそうです。ですから私の分だけお願いします」


「かしこまりました。少々お待ち下さい」


 従業員は手早く、クリョシタにも周りと同じようなおかゆをもってきた。


「クニーガ・マーギイでは定番のおかゆです。きっとフォルムラ出身の人でもおいしいと思いますよ」


「ありがとうございます」


 木を加工して作ったらしい、おわんにそそがれたおかゆ。それをクリョシタはおわんと同じような木で作られたスプーンで食べる。


 普段は食品添加物のたっぷり入って、味の濃い料理を食べることが多いクリョシタ。でもセールイのおかゆには食品添加物が一切使われていない上に、味付けはわずかな塩ととり肉の出汁だけ。そこで絶対クリョシタはこのおかゆのことを、物足りなく思っているはずだ。


「お嬢さん、お名前は何ですか?」


 身長が高く、顔のほりも深い。そんなルッキズムの勝者になるかもしれない男が、クリョシタに話しかけてきた。


「クリョシタ・サチェルドーテです」


「クリョシタさん、俺と結婚して下さい。俺、クリョシタさんが運命の人だと思ったのです」


 クリョシタは絶句したらしく、黙って話しかけてきた人のことを見る。


「名前すら知らない人と、私は結婚したいとは思いません」


「俺はアットーレ・カンツォーネです。クニーガ・マーギイで農業をしています。クリョシタさんのことが好きなんです、本気なんです」


 当然のことながら、クリョシタは答えられない。


 初対面の相手と結婚なんて、フォルムラではありえない。いやここクニーガ・マーギイでもありえないだろう。


 というかわしはこんな結婚認めん。わしの妹の生まれ変わりであるクリョシタ、そんな彼女を訳分からない男に嫁がせることができるわけないって。


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