表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

『最後のチャンス』

 アパールから少し歩いて、わたし達はボーク・スネールチへつきました。


『ボーク・スネールチへ行ってね。念のために、部下のクリョシタ・サチェルドーテもつけるから』


 そうご主人様から聞いたこと、とても不安でした。


 わたしは気がついたときには、アットリーチェのお店でいました。そこでの仕事ができなくなって、アットリーチェをおいだされて、ご主人様にひろわれました。


 だからわたしは、ご主人様の命令にしたがうほかはないのです。


 そこでわたしはクリョシタさんと一緒に、ここボーク・スネールチへきたのです。


「ボーク・スネールチへ来て、何をするのか聞いていますか?」


 クリョシタさんは不安そうに、周りを見ます。


「何も聞いていません。ただボーク・スネールチへ行きなさいと、指示がありました」


 わたしは首をかしげます。


 そもそもわたしはアンドロイドです。アンドロイドは人の命令に従う以外、できません。そこで指示されたこと以外、何も分からないのです。


「ボーク・スネールチから、いつかはフォルムラに帰らないといけません。私は早くフォルムラへ帰りたいです」


「どうしてですか?」


 ご主人様からの命令以外に大事なことなんて、あるわけありません。そこでわたしはクリョシタさんの考えていることが分からないのです。


「やっぱりフォルムラが一番なんです。食事はフォルムラの方が比べものにならないくらいおいしいですし、それ以外のことだって外は劣っています」


 クリョシタさんはそう答えて、ボーク・スネールチのあちこちを見ます。


 ボーク・スネールチは木が多く、草花もたくさんあります。フォルムラでは見かけないよう光景ですし、この旅でも縁がありません。それほど豊かな自然です。


「確かにそうです。フォルムラではアンドロイドであることを言っても問題はありませんが、フォルムラの外ではそうではありません。そこでわたしもフォルムラのことが好きです」


 この旅でわたしはアンドロイドでなく、人として扱われていることがあったでしょう。


 アンドロイドがいるということ自体、フォルムラの外の人は知らないのです。そこで当然かもしれません。


 何よりもフォルムラにはご主人様がいます。わたしのことを、アットリーチェから追い出されたわたしのことを、勝ってくれたご主人様。もう一度会いたいです。


「フォルムラに帰ったら、やっぱりアイスクリームを食べたいです。ミルククリームと小豆のアイス、それが食べたいです」


 うきうきとフォルムラに帰ったら、したいことを語るクリョシタさん。


「わたしはご主人様のために役立ちたいです」


「アンドロイドだからって、人に尽くさなきゃ駄目ってことはないと思います。あっなんか黒いもやがでてきていますよ、チェネレントラさん」


「本当です」


 わたしの体から、黒いもやがでてきます。なんでしょう、このもや? 不気味ですし、なんか機械とは無縁って感じがします。


「これはのろいだ、しかも強い」


 クリョシタさんの声が聞こえます。


 でもなんだかわたしは眠くなってきました。わたしアンドロイドは充電のとき以外はねないのですが、一体どうしちゃったんでしょうか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ