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Real Game  作者: 片倉葵
27/32

21章・とりあえずめっけ

久しぶりの更新になります。










「怖い、アイ?」


「・・・うん」


なにか得体の知れない恐怖が体を包む。

それをぴーちゃんは抱き締めることによって消し去ろうとしてくれた。


「大丈夫。アイを危険な目にはあわせない。開けて、アイ」


「うん」


宮殿の高さは推測2階建てぐらい。前に立つと扉がない事に気がついた。

ぴーちゃんに聞くと女神の私物が高額の値段で取引されたためにこの宮殿にしまわれたらしい。

入る事は『女神』にしか不可能。

故にこの建物への侵入は実に400年ぶりとなる。


「ぴーちゃん、これどうやって開ければ良いの」


「そこにある窪みに手を入れれば開く」


あ、これか。

言われたとおりに窪みに手をかざすと今まで見えなかった扉がフッと姿を現した。

あたしの身長より少し高め。結構小さい。


「お邪魔~って、ぴーちゃんは?」


「我らはこの宮殿に入ることが許されていない。入れるのは、アイだけ」


・・・超不安なんですが。


あたしの表情でそんな考えを見破ったのかぴーちゃんがまたあたしを抱き締める。


「アイ、この宮殿は女神に関する全てのものを守ろうとする。だから女神であるアイには危険はない」


「・・・それは分かったけど・・・」


暗いんだもん。この建物。

しかもぴゅーぴゅー風吹いて今にもお化け出てきそうだし・・・


・・・ぞわ


「・・・やっぱやめたい」


マジでほんとヤバイって!!

リアルお化けがこんにちわする。


逃げ出したいとばかりにぴーちゃんにしがみついた。

するとぴーちゃんの目が鋭くあたしの目を捉えた。

美形ってなんでこんな顔しても美形なんだろう。

なんかずるい。


「アイ」


「ん?あ、あぁ!!なに?」


ヤバッ、真剣な話の予感。

こういう雰囲気苦手なのに~


「この場所は多くの秘密が眠っている」


「・・・・・・」


「アイが、本当に元の世界に戻りたいと願うなら真実を知るべき」


「・・・・ぴーちゃん」


「アイ、行って」


・・・うん。分かった。

あたし、やるわ!!

女神の秘密、見つけてきます!!


意を決して中に入る。

カツンと靴の音がなりそれがまた恐怖を引き立てた。

中は外の外見と同じで白一色で彩られていた。

不思議な感じ。

壁に触れば陶器のように滑らかな感触が伝わってくる。


不安、恐怖・・・好奇心。


これからどこに行けば良いんだろう?

この建物、広そうなのに部屋が1つもなかった。


・・・とりあえず前に進もう。


道は一本だったから迷いはしない。


結構長い時間歩き続けているとやがて1つの広い部屋に出た。

なにもない部屋。

でも奥の壁にとてつもなく大きな絵画が飾られている。


描かれている人物は5人。

中央にはどこかの高校の制服を着た茶色掛かった黒髪のショートカットの少女が微笑んでいて、その隣には赤いマントを着けた美女が右手でピースを作って大笑いしている。

左右には少女を守るかのように立つ青い髪をした美少年と緑の髪の筋肉マッチョが佇んでいて少女の後ろには優しい微笑で笑う白い髪の美青年がいた。


青い髪の青年、なんかセリオスに似ている。

それになんかこの絵・・・おかしくない?


フッとそこで絵画の下に書かれた文字を見つけた。


『私の生まれ故郷である星に捧げる』


なんの事?

星って地球の事だよね?

この人なにが言いたいの?


いや、待って。

なんでわざわざ『故郷の星』なんて単語を残したの?

なにか、意味があるんじゃないの?


と、絵画の少女が見につけているネックレスが青と白で描かれていることに気がついた。

どことなく、地球に似ている。

ゆっくりと、それに触れた。


カコン


「うわ!!!」


変な音がして床が光った。

び、ビックリしたビックリした!!

あ~もう。いったいなんなの!?


あまりの眩しさに目をつぶってゆっくり開けばなにも変わってなかった。


夢だった?


そう結論付けてとりあえずなにもなかったとぴーちゃんの所に戻ろうとして驚いた。

絵画のあった広い部屋から出れば建物の内部が変わっていた。

人が住んでいた形跡が一切なかったのに、今にも誰か出てきそう。

いくつもある部屋。通路に飾られた壺には新鮮な花が飾られている。


転移魔法・・・失われし古代魔法か。

それに時空関係の魔法もかけられているみたい。400年経っているのに飾られている花が散っていないのはおかしすぎる。

・・・本当に誰もいないっていうんならね。


つーか、どこよ、ここ。


慌てて外に出ればレンガに囲まれた庭園に綺麗な花が咲き乱れ、隣には花を咲かす為に用意された噴水が惜しみなく水を振りまいている。


風がそよそよと頬を撫で、その風に乗ってタンポポのような綿が体に付着する。

どこからか漂ってくる草の香りは心を穏やかにし、荒れた心を癒す。


ふらふらと途切れた大地に近づけば遥か下にフォルティウス国が見える。

女神の書に乗っていた。

かつて400年前、フォルティウス国を訪れた女神様に贈られた地。


―――空中庭園『クリスタルリリー』


あの本に書いてある通りだ。

ならこの先に・・・


「あるはず」


女神と呼ばれた少女の、遺産が。


目的の場所はあっさりと見つかった。

今まで見てきた建物とは比べ物にならないほど小さいけれどなんか温かみがあるっていうのかな。

クリーム色の日本風の家。


「・・・すみません~誰かいますか?」


扉をノックして家の中に入ろうと問いかけたが返事はない。

すんませんと頭の中で謝罪して家の中へと入る。


部屋の中は特に何もなかった。

ただ唯一、あたしの目を釘付けにしたものがある。


―――キャリーバッグ。


底に車輪のついた鞄で通常は旅行に行く際に使われる。

それがなぜこの国にある?


そう。絵画を見たときからなんとなく気づいていた。

前回の女神とやらは間違いなく『地球』の女子高生だ。

そう。女子高生。


・・・おかしいだろう。

400年前に召喚されたという。

400年前に制服・・・しかもミニスカなんかあった?

あるわけない。

ミニスカートが日本でブームになったのは1967年。

400年前に召喚されて、召喚された時の服装で描かれた絵画なら女性が着ている服装はゆかたや着物のはず。

制服なんてありえない。

もしかして時間がずれているとか?


「・・・・見てみるか」


ごめん!!と心の中で叫びキャリーバッグを開けた。

中から出て来たのは衣類数点に壊れた時計、歯ブラシ、お風呂セット、財布、旅行のしおり。

そして・・・青い日記。

裏にはしっかりとマイ・クザナギと書かれていた。

始まりは・・・2009年。

あたしがこの国に来た年が2010年。

正確にはマイという人物がこの国に来たのが2009年の7月22日。

あたしが来たのが2010年7月11日。

この2つの数字が意味するのはたった1つ。


『皆既日食』


古代より、月には不思議な魔力が宿っていると信じられていた。

月が人体や気象に影響を及ぼし狂人が満月になると異常行動を起こすとも言われている。

驚くべき事はこれらの推測が実証されていると言う事だろう。


こんな話を聞いた事はないだろうか?

満月の時は殺人事件がピークに達し、また新月の時には第2のピークに達すると。


他にも満月の夜には自殺者が多い、興奮して交通事故が多発するなど月に関わる伝承は数多く存在する。


この異世界『ルース』にも似たような伝承がある。

私とセリオスが暴漢に襲われた日も『赤き月』の夜だった。

(ちなみに赤き月が満ちる・・・即ち赤い満月の日は年に一度だけ)


昔からルースでは赤き月が満ちる時出来た子供は例外なく神の祝福を受けるという。

有名な話だ。

他にも、月が満ちる夜は魔力が高まるとか、異界への扉が開きやすいとか。


となれば帰るのに必要な『鍵』の1つは『月』で間違いなさそう。

後は・・・


息を吸う。吐く。


スーハー

スーハー


・・・なんかとてつもなく悪いことをするような気分。

でも見なくちゃいけないような気がする。

そうしないと取り返しがつかなくなりそうで・・・


何度目の謝罪か分かんないけど、マジごめん!!


あたしはそっとページを捲った。



















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