表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Real Game  作者: 片倉葵
25/32

19章・とりあえず・・・誰?パート2








ぜぇはぁぜぇはぁと息を切らす青年は窓の外に浮かんでいた(ちなみにここは2階である)

滴り落ちる汗。汚れきった衣服。

あきらかに怪しい人物だがぴーちゃんの知り合いっぽかったから騒ぎ出す人物はだれ一人としていなかった(それにこの国には悪意を持った人物が侵入できないようになっている)

代わりに『また出た』という呆れきった空気が部屋中を満たしていく。


とりあえず、


「どちらさん?」


その言葉に赤髪の青年はこっちを向いてギッと睨んだ。

正確にはあたしを抱き締めているぴーちゃんを。

洒落にならないぐらい怖い。目つきが悪いからさらに。


「エイリス、てっめぇ、こんな所に居やがったのか!!!」


「・・・・・・・あ、アール。久しぶり」







































アールメス・・・通称、アールと呼ばれる少年は短い赤い髪をした青年だ。

スッとした、つり目。その下に埋め込まれた大小3つの赤いドロップ型のタリスマンは日の光を受け金色に発している。


う~ん・・・顔はそこそこなのにその目つきだけで初対面の相手に悪印象あたえそう。

しかも今はつりあがっているから怖さ倍増中。


「あ、久しぶり。じゃ、ねぇ!!エイリス、無事ならさっさと連絡よこせよ!お前が連絡怠ったおかげで俺の方にとばっちりがきたじゃねぇか!!」


「それはすまなかったな。忘れてた」


「忘れてたって、これで何回目だと思ってんだよ・・・」


少し彼の目が潤んだ。


「・・・苦労してるね」


「分かってくれるか・・・って」


こっそり呟いたのにどうやら聞こえてしまったらしい。

呆れたような顔をした彼は不意にあたしの方へと視線を向けた。

良く見たら猫みたいな目をしている。金の色をして、縦に線が入ってる。

彼も竜になれるの?


「えっと、お前は・・・」


戸惑う彼。

そりゃ知り合いの腕の中に女の子がいれば驚くか。事情を知らなければ。

とりあえず、自己紹介。


「藍。藍・神楽よ」


「そして我の主だ」


時間が止まるという事を始めて体験した。


ぴーちゃんの発言に固まったアールメスは目を開き、おそるおそると指を前に出してきた。

口がパクパク開き、言葉なき言葉を紡ぐ。

あぁ、ちょっと大丈夫?


「お、おま・・・」


「昨日正式に契約した。我のこの姿を見て気づかなかったか?」


「てめぇは気が向けば人型になってんだろうがぁぁぁああーーー!!!」


この人苦労人決定。

絶対貧乏くじ引くタイプの人だよ。


「なにをそんなに怒っておる。少し落ちつけ」


「だっれが怒らせてんだよ!!」


「我だな」


「分かってんじゃねぇかよ!!!」


アールメスの手が、手近な壺へと伸びる。

・・・それ、超高価な青磁の壺じゃなかったっけ。


「って、ストップですよ」


当たっていたらしい。

ギョッと目を開いたレガード慌てて壺を取り上げる。

間一髪。


「だから少し落ち着けというに・・・」


「・・・大体、契約したって・・・どうすんだよ!!どう国に報告すれば良いんだよ!!」


こんちくしょー!!!


「・・・リア、契約結ぶのってヤバイ事なの?」


「そういうわけではありません。ただ、少し特殊なんです。竜族との契約って」


マズイわけではないらしい。安心した。

今度からはもう少し考えてから行動しよう。


ぐでんと垂れたアールメスの前に瑞々しい果物で出来たジュースが差し出された。

リア、ナイスタイミング!!


「まぁ、一杯どうぞ。甘いものを飲んで心を落ちつかせてください」


「・・・サンキュウ」


「それで、そろそろ説明してくれないか。いい加減に」


現状を。

そして、お前は何者だと。

きちんと全て説明して欲しいと。


「そもそも、なぜ竜族がこの国に現れた。竜族は自国から出る事を基本的に禁じ、同盟を結んだ国にしか現れないはずだ」


ほんとーにセリオス機嫌悪いね。やつ当たりはやめて欲しいって・・・触らぬ神に祟りなしってね。


「・・・きちんと説明する。まずは、自己紹介をさせてくれ。

俺の名はアールメス。予想ついているかもしんねぇが見ての通り竜族の、赤竜だ」


ぼつりぼつりと、言葉が出た。

始めはみんな真面目に聞いてたんだよ。本当に。

でもさ、半分位になったらンバーが頭を抱えて、話が終わったらもう脱力。

誰もが聞いた話を脳裏から別世界へと追いやろうとしていた。

苦笑したメイドさん達があま~く入れてくれた紅茶を飲んで心を落ち着かせる。


ハッハッハ・・・ハァ(苦笑)


なんのことはない。つまり、こうだ。




一ヶ月前の事だった。

ぴーちゃん達の住む竜族や亜人の国『フォルティウス』で大人しくして仕事をしていたぴーちゃん・・・もとい、エイリスは息抜きにと散歩に出かけたきりもう二週間も帰ってこなくなってしまった。


普段は真面目に仕事をする彼だがとてつもない好奇心の持ち主で、一度気に入ったものを見つけると連れて帰る、もしくは帰って来なくなるという厄介な性質の持ち主であった。

一応人間で言う貴族の地位にいるエイリスが行方不明とあってはまずい。

しかも彼は白竜だ。人間に捕らえられても不思議じゃない。


この世界で白竜は貴重だ。

100年に一頭、生まれるかどうかと言われるほどの希少種でその麗しい見た目も伴い、500年ほど前には白竜狩りが頻繁に行われていた程だと言う。


現在でもその名残があるらしい。

白竜の魔力は竜族の中でも特に高い。

それゆえ白竜の目玉には魔力が宿り、加工すれば最高級の魔水晶になる。

他にも角には薬、鱗は装飾品。

骨は武器とし血は不老長寿の元にもなると言われ裏の世界では今でも取引されるほどだ。


とはいえ、心配はない。

エイリスはこの国で常に上位に位置する実力者。

簡単に捕まる・・・なんてことはないはずだ。

けれど、けれど万が一、がある。

エイリスって結構抜けているし・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・抜けているし・・・


・・・直ぐに探して連れ帰らなくては・・・!!

貴重で美しい白竜。

殺されてなるものか!!


そこで白羽の矢が立ったのはエイリスの親友であり腐れ縁の幼馴染アールメスだった。

彼は竜族と人間のハーフゆえ長時間契約者がいなくても人間の姿を取っていられた。

これほど相応しい人間・・・否、竜はいないだろう。


まぁ、予想通りだなと彼は思った。

またいつもの通り、同盟国に連絡を取り、迎えに行くんだろう。


前回はシャルティスで禁書を読み漁っていた。

前々回はユーフィ二ウスで貴重なセリシウスの花を育てていた。

今回は・・・今の時期だからどっかの国の祭りにでも参加してやがるか・・・


そう軽く考えていた。

けど、現実は甘くはなかった。


『エイリスの事なんだがなどの国からも見かけたという連絡がない・・・すまんがアールメス、お前ちょっくら山降りて探してきてくれ。1人で』


『はい分かり・・・ハァ!?お、俺1人で、ですか!?』


たた一人で探せと王様に命じられてしまった。


もちろんあの好奇心旺盛のエイリスが1つの場所に留まっているわけがない。

1人じゃいくらなんでも無謀すぎる!!


そう王様に願い出たが帰ってきたのは非道な言葉。


『だってお前以外に外の世界で長時間人間の姿取れるやついないし~契約者持ちの竜は出払ってるし~なによりいざって時に力ずくでエイリス連れて帰れるのお前だけじゃねぇ?』


理不尽だ。

けれど悲しいかな。王命には逆らえない。

だって俺庶民だし。


せめてもの抵抗と、王様の隣に座る王妃様に眼を向けた。

・・・微笑んでいる。


ならばと、王子へと顔を向けた。

・・・すまんという顔された。


最後の望みと、左右で立つ貴族を交互に見た。

・・・・・・・・・・・・顔を背けられた。


そうだな。エイリス探しって、かなりランクの高いミッションだもんな。アハハ!!

・・・・・・・・・・・・・・・俺、泣きたい。


『・・・・・・・謹んでお受けいたします』


その代わり、無事に帰ってきたら長期休みくれよなーーー!!!


それからの3週間。アールメスは世界の半分を飛び回った。

エイリスが好む場所を特定して。


時に山脈を囲まれた町に

時に湖に沈んだ国に

時に寒く凍る雪の中を


そしてやっと、やっとの思いで見つけた。

この国にいる、不思議と魔力の増えたエイリアスを。


あれっと、首を傾げたがとりあえずアールメスは安堵した。

帰れるって。やっと帰れるって。


でも、現実はまたもアールメスを裏切った。

エイリスは、契約を、契約者を得ていたのだ。

竜族にとって(というか神族)契約は重要な意味を持つ。

自らの全てを捧げ、また、相手の全てを得る関係。

なにも魔力だけではない。

魂の契約は文字通り、『魂』を縛るもの。

相手が望めば、命すらも奪える危険な契約。

ゆえに、魂の契約を得るには念入りな準備が必要だった。

契約をする人間の、身辺調査や深層心理を探り何ヶ月も掛かって初めて出来るもの。

そもそも契約には王族の許可が必要なはずだ。

・・・・・一応エイリスも王族の血が混じってるけど。

つーかこれ、国家レベル問題入っちゃってきてるよ(泣)





号泣するアールメスを前にエイリス・・・ぴーちゃんはあいかわらずあたしを抱き締めて頬ずりしている。

交互に見るお馴染みメンバー。


『哀れな・・・』


レガード以外に同情の言葉を貰いました。


「そんなに気にすることはない。アイは女神だ。やさしいぞ」


「優しいとか、優しくないとか、んな問題じゃねぇだろう・・・大体、なんでこんな国にいるんだよ。同盟国以外に入国するのは硬く禁じられてんだろ・・・」


「気持ちよく散歩していたら女神の気を察してな、気がついたらこの国にいたのだ。しかたあるまい」


「しかたなくなんてねぇし・・・あぁどうせまた俺の責任になるんだ・・・グッバイ、俺の給料。俺の連休・・・」


「あぁ。頑張っておくれ」


「お前のせいなんだからなぁぁぁあ!!!!!」


反省しろよ少しはさぁ!!!!!


ぴーちゃんとアールのメス会話は噛み合っているようで噛み合っていない。

まるでこの世界に召喚された頃のあたしとレガードの関係に似ている。

あ、ほろりと涙がこぼれそう。かわいそうすぎて。

マジ同情するよアールメスくん。


「で、これからどうするつもりだ」


セリオスの言葉にアールメスは顎に手をあてて考えた。

答えは直ぐにでたらしい。

彼はしかたがないと呟き腰にある皮袋から1枚の紙を取り出した。


う、わ~~高価そうな紙。

しかも中心には羽を広げたドラゴンの紋章が金色に輝いてるし、なんか見慣れない文字が紙いっぱいに書かれてるし。

どう見ても、誓約書っぽい


「まずは、俺達の国と同盟を結んでもらう。事故(?)とはいえ、正式な契約が結ばれてしまったようだからな。知っての通り、本来、俺らは同盟国以外に姿を現すのは禁じられている。理由はこれ以上竜の乱獲を防ぐためなんだが同盟を結んでいない国に契約者が存在する。これが外部の人間に知られると、まずい」


例外を作っちゃうと色々厄介だからね。

特に、竜族とパイプを作りたい国に知られればこんな風になる。


『○○○国は同盟を結んでいないのに契約者が存在するそうではないですが。我が国ともぜひ、お願いいたしますよ』


みたいな。

可能性は非常に高い。


「・・・いかがします、殿下」


「・・・・・・・」


しちゃえしちゃえ!!

竜族ってめったに同盟結ばないんでしょ。この機を逃すでない~


「・・・アイ、お前はどう思う?」


「もち、するべき」


んでもって、遊びに行く。

本で読んだのだ!

『フォルティウス』は猫耳生やした少年に下半身がお魚な美少女がいるファンタジーメルヘンな国なんだって。

行ってみたかった!!

でも入国は、不可能。

同盟を結んだ国の偉い人しか入れないって書いてあって泣く泣く諦めたのだ。

でも、セリオスが同盟結べば一気に解決。

しかも、あたしは契約者とやら。ぴーちゃんに会いに来たって言えば中に入れて貰えるかも!!


うふふのふ~


「・・・・・・・・・・・分かった」


重い腰を上げたセリオスはレガートと話し、アールメスを連れて出て行った。

ぴーちゃんはあたしに夢中なためもう放置。居ても意味がないらしい。

むしろ精神的安定を保つため捕らえていろとまで言われてしまった。


・・・・・・・・・・・・・


「・・・・・・ぴーちゃん」


「なに、アイ」


「あたし、お腹空いたからそろそろ離して」


この腕を・・・って、なにしてるの!?


「はい」


器用に腕の位置を変えたぴーちゃんはフォークにパブトンを刺してあたしの前に差し出した。

恋人同士が良くやる【あ~ん】だ。


「・・・・・・・・離せよ」


「はい。あ~ん」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


リディ、リア、涙目になってる。笑い堪えすぎて。

ついでにシリウス、腹、震えてるぞ。

もう、いっそ笑えよみんな!!


「あ~ん」


ぴーちゃんはあたしを離す気はないらしい。

汗がツーと流れ、一秒が一時間にも感じる。


あ~もう!!食えばいいんでしょ、食えば!!!


パックンと、口に放り込む。

噛めば程好い酸味が甘さを引き立て果汁が喉を潤わした。

・・・美味しい。


「アイ、もっと食べる?」


「もう、どうにでもしてください」


その行為は皿の上のパブトンが無くなりセリオス達が戻ってくるまで続けられた。

そしてその夜、同盟を結ぶためフォルティウスに向かう事を聞いた。

出発は3日後。

















区切る場所なくて長くなりました。補足ですがセリオスの機嫌が悪いのはただたんに嫉妬です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ