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Real Game  作者: 片倉葵
23/32

17章・とりあえずドラゴン




ヒートアップする2人を放って、あたしはこっそりと部屋を出る。

護衛をしていたユーリがギョッとした顔をしたが無視だ。

あ、こら!!そんなに慌てるとまた転ぶ……って、あ~あ。


哀れな美少年は自分の足を絡ませて頭からすっころんで気絶してしまったのです。

ちゃんちゃん♪・・・なんちって。































まぁ、丁度良いところにいたという事でユーリを捕獲。あたしを部屋まで送ってといえば送ってくれた。


時刻はもう夜の時間帯に差し掛かる頃だった。

結構な時間、お茶会をしていたらしい。

だから食事は部屋に用意されていた。

メニューは軽めのサンドイッチっぽいものとシチュー。

美味しいと感想を浮かべながらあたしは今日会ったレオナさんの事を思い浮かべた。


あたしの、義理の家族。

義姉あねとなった人。

綺麗でカッコよくて、憧れの『お姉様』って感じ。

でもどこか変で・・・リディの友人。


『我が兄上と付き合ってみたら』


「・・・・・・・・無理無理無理」


唐突に思い出すレオナさんの言葉。

レオナさんの兄ってことは、次期当主。公爵家を継ぐってことじゃん。

そりゃ、王族であるセリオスより身分は低いし義妹いもうとになったんだから近づきやすいかもしれないけど・・・元庶民のあたしなんかに興味持つわけないじゃん。

むしろ放って置かれるって。

レオナさんもリディもどうかしてる。

ありえない。絶世の美女ならともかく、平凡顔で権力も財産も無いあたしだよ。

ないないない!!!傍にも寄るなって言われる可能性のほうが高い。


それにしても、


「・・・・・・結婚、か」


・・・・・・・・・・セリオスも、いつかはするんだよね、結婚。

やっぱり、政略結婚なのかな?

この国の人って相手が良く分からなくても貴族同士結婚するっていうし、それが普通なんでしょう。

やっぱあたしには無理だわ。結婚はやっぱり好きになった人とするのが一番良い。


豪華じゃなくても手作りの温かい料理。

隣を向けば傍にいてくれる彼。休みの日には一緒にデートして、買い物をするの。


「・・・セリオスとは、無理だよね」


無意識の間にそう呟いてしまい、慌てて周りを見渡した。

だ、誰も聞いていないよね!?や、やだ!!あたし今、乙女全開丸出しだった!!

ヤダヤダヤダ!!!も~恥ずかしい!!!

今日のあたしはどうかしてる!!外に出て新鮮な空気でも吸って気分を落ち着かせよう。


食べかけのサンドイッチを置いて自室のドアからバルコニーへと出た。

此処は3階だが地面との距離はそんなにない。

下を向けば夜でも園が見えるようになっており、月下の光を浴びて色とりどりの薔薇が綺麗に咲き誇るのが見えた。なんだか幻想的だ(ちなみに祝日には一般人にも開放されるらしい)


「……綺麗」


なんて綺麗なの。そしてその上を優雅に飛ぶ竜……竜!?


「うそっ!!??」


それは間違いなく竜だった。

日本や中国のような馴染みのある蛇の様に胴が長い奴じゃなくてポコンとお腹が出ていてるやつ。

二本足で歩く、西洋でよく見かける竜…うぅん。言い方はドラゴンの方がしっくりする。

首が長くて背中には立派なたてがみ

ぶっとい尻尾に鋼のように硬そうなうろこ


真っ白い純白のドラゴンは体中から淡い光りを発しながら空を飛んでいる。

ゆっくりと、ゆっくりと。


あまりの出来事に口を開けて間抜けな顔をしてしまった。

だ、だってまさかドラゴンがいるなんて思っても見なかったんだよ!!

あぁ、まさにファンタジー。ちょっと感動(泣)


ボーっと見つめているとあたしに気がついたのか竜は方向を変えてあたしの方角へとやってきた。

……クワって口開けてないから食われないよね?あたしは食べたって美味しくないわよ!!

って、


「ギャァ!!」


実に男らしい悲鳴を上げればドラゴンはあたしの前へと降り立った。

大きさ……身長はあたしよりずっと小さい。膝ぐらい。横もそんなにないスマートさんだ。

とりあえず危険は無いらしい。あたしはそっと近づいた。


う~ん、害は無さそう。ウズウズ……あ~ん!!触っちゃえ!!

犬や猫にするように横っ腹を撫でればドラゴンはく~んという甘えたような声を出して寝そべった。

可愛い。すっ~~~~ご~~~~~く可愛い!!


「ナデナデ……あんた人懐っこいのね」


思わず首元を見た。

飼い竜ではないみたい(そんなのいるのかさえも分かんないけど)

……人が飼っていないなら飼いたいかも……


「クワ!!ク~ワ」


「ん~なぁ~に?嬉しいの?それともご飯?」


ドラゴンは甘えたように擦り寄ってくる。まるで犬みたい。

……我慢できない。


「ね、ねぇ。あたしの部屋にこない?」


「クワ?」


「美味しいものたくさんあるし、柔らかい布団もあるのよ」


「クワ!」


「そうそう。君もあたしと一緒に住みたいのね」


ヒョイッとかかえて部屋へと戻る。

誘拐?いえいえ。拾ったんです。


部屋に入るとドラゴンは真っ先にテーブルへと向かう。テーブルにはこの国の特産物であるフルーツが沢山バスケットに詰められていた。

食後のデザートや夜食用に用意されたものだ。

それをジーと見つめている。


「……食べる?」


「クゥ!」


「じゃぁ、ちょっと待っててね」


桃に似た果物をナイフで皮をむき与えてみた。

するとドラゴンは嬉しそうにパクリと食べだす。

一口、二口・・・うわ、早くも完食。

凄い食欲。とりあえず果物は問題なし。食べれる、と。

人肉を主食にされたらどうしようかと思ったけどひとまず安心。

あ、そうだ。名前をつけないとこの子の事呼べないや。

名前……名前かぁ。


「なにがいいかなぁ?」


「クワッ!!」


「ん?もっと欲しいの?」


ドラゴンに渡した桃はもはや種を残すのみになっていた。

2個目を剥いて渡す。

リスみたいにコロコロまわして器用に食べる。

お~お~早い早い。


「桃かぁ……良し!!君の名前、ピーチにしよう!!ピーチ!!ぴーちゃん!!」


「クワ!!」


「ふふ…気に入ってくれたみたいだね」


クワクワと鳴き声を出しながらすり寄ってくるぴーちゃんを抱き上げながらあたしはベットの中へと入った。

あ、ぴーちゃん体中が鱗だから結構冷たいんだ。

ひんやりと、まるで冷えた風を浴びているような感じ。

けど冷たすぎるってことはない。

丁度いい。


あたしはギュッと抱きしめて眠りに入った。

セリオスとの事も忘れ、意識が消えていく中、ぴーちゃんが笑った気がした。













夢を見た。


夢の中であたしは白宮の中にいた。


広い部屋に、男といた。


周りには絢爛豪華けんらんごうか調度品ちょうどひんが並べられかたわらに立つのは顔の整ったメイド達。


そして、あたしを抱き締めるのは


その白宮の白き主。


『愛している。わたしの、つがい』


主である銀髪の青年はあたしにそう囁いた。











キーキャラ登場。

そしてまだ

自覚症状の薄いアイの恋心。書いてて楽しいです。

二部では新キャラが沢山でる予定なのである程度たったらまた書きますね。

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