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Real Game  作者: 片倉葵
16/32

12章・とりあえず敵襲

軽いですが流血表現があります。苦手な方は注意してください。




突如響いた鐘の音。

この音に聞き覚えは無い。

だが万が一にと教えられていた事を思い出したあたしはセリオスに抱かれたまま呆然となった。


あたしの考えが当たっていれば……これは侵入者を知らせるための鐘の音だ。

侵入者が狙うのは王族か貴族。もしくは国の重役と相場は決まっている。

ならここは危険。しかも闇に包まれて動きやすい。狙うには絶好のチャンスだ。


自分の想像にヒヤリと、寒気がした。

セリオスもその考えに至ったのだろう。

速やかに部屋の外で待機しているはずの護衛に声をかけた。

だが本来いるはずの護衛からの返事はなく、代わりにガシャンというガラスが割れる音が部屋の外から聞こえた。

同時に悲鳴が城全体を包み込む。



「敵襲だ――!!」


























て、敵襲ってなにさ―――!!!


わたわたとしているうちにこの部屋の窓ガラスも割られ、数人の黒装束姿の男達(だと思う)が暗闇の中姿を現した。


凄い殺気が部屋の中を包み込み、男達は剣を抜く。


とくとくと心臓が音を立てて胸を打ち、鳥肌がゾワゾワと立った。

ピンと糸を張ったような空気が辺りを包み込み……動いた。


「!!―――ッ!!」


キンッと近くで金属特有の音がした。

同時にあたしはセリオスの手によって左方面に投げられる。


どこに当たったのか、ドンと痛みを感じ一瞬息が出来なくなる。

だけどそれを堪えて前を向けばセリオスの足元に倒れた人が2名。


微かな明かりの中、良く見れば数が分かった。侵入者は5名だった。

残りは……3名。


そのうちの1人がまたセリオスを襲う。

ヴンと、風を切る音がしてセリオスの体を捕らえた。


「危ない!!」


あたしの悲鳴だけがその部屋の中響きわたる。

ギリギリで避けたのだろう。セリオスは無事だった。

逆に、侵入者の体をセリオスは捕らえた。

クッという悲鳴がして床へと沈む。


残り、2名。


けれどその2人が明らかにやられた3名とは実力が違うというのは目に見えて分かる。

体格もさることながら……殺気が凄い。


セリオスの持つ空気もツンと糸を張ったように強くなる。


「……誰の命令で俺を狙う」


「……………………」


「アークザルの手の者か……?それとも、」


「…………」


「答えないか」


「全テハ、我ラ、王ノ為二」


「なんだと」


初めて聞いた刺客の声はどこか機械的な声だった。

キンキンとしていて聞き取りにくい。


そんな中、刺客の骨格が、変形していった。

暗くて良くは分からないがベキベキ音を立てて変わっていく。


「リザードマンか!!」


リザードマン。

トカゲの皮膚とドラゴンのように硬い爪と牙を持つモンスター。

種族的にはドラゴンに属性するがドラゴンとは違い知能は低く、また残虐な性格が彼らの特徴。

動きが早く攻撃力も強いため厄介な相手だ。


でもそのリザードマンがなぜこのエルタインにいるの!?

この国は精霊に守られているから簡単には進入できないはずなのに!!


「どうやってこの国に……クソッ!!」


セリオスも疑問に思っているみたい。戦いに集中できなくなっている。

それもそのはず。モンスターがこの国に侵入できる理由など3つしかない。


1つめは精霊の守りが弱くなっている。

2つめは誰かが術を使って結界に穴を開けた。

3つめは……内部の誰かが招き入れた


どれにしても国の一大事じゃん!!


その時、一際大きな金属音が鳴り響いた。

一瞬の隙を突いてリザードマンが踏み入れてきたのだ。



火花が散った。



それを間一髪でセリオスは避けた。

キンキンと、やっと目で追いつけるほどの早い攻撃をギリギリ避けるセリオス。

力が負けていた。

このまま戦いが長引けば負けてしまう。セリオスの体力が持たない。


「っく―――!!」


セリオスも自らそれが分かっているだろう。焦りが出てきて余裕もない。


広い部屋で、椅子に足を取られる。

間一髪で避けた。

ヒュンと風の音がなる中、椅子が2つに割れる。

その欠片がセリオスを襲った。


「きゃっ!!」


思わず悲鳴を上げる。

一瞬だった。勝負が決まったのは。


侵入者の剣はセリオスの腕を貫いていた。

だがセリオスの剣も……侵入者の体を捕らえている。



……命尽きたのは侵入者の方だった。



ドタリと盛大な音を立てて倒れた侵入者は動かない。

ゼェゼェと、セリオスの呼吸の音だけが聞こえる。


「セリオス、大丈夫!?」


敵が倒れたという事に安心しきったあたしはセリオスの元へと走った。

忘れてしまっていた。『セリオスが傷ついた』というショックを受けたために。


……侵入者がもう1人いたということに。


「ばっ!!来るなッ!!!」


悲痛な悲鳴が耳を刺激する。


(……しまった!!)


迂闊だった。

これは……完璧にあたしのミスだ。


最後の侵入者はセリオスの元にたどり着く前にあたしを捕らえた。

ガシッとつかまれば動く事さえままならない。

シリウスから教わった護衛術も役に立たない。見事に、間接を捕らえている。

自力で逃げ出すことは不可能だった。


「……アイを放せ」


要求を聞く気なんてないのだろう。

あたしの首にキラリと光る刃物が添えられる。

軽く引けば血が……って、本当に引くなよ!!!


「いっ……た!!」


脅しているつもりなのか、首を少し切られた。

ツーと流れる血はナイフを伝って絨毯にしみこむ。

セリオスの悲痛な顔が目から離れない。


「……なにが目的だ」


「女神ノ命ガ我ラノ望ミ」


「女神の命?」


女神の命……女神?女神って……もしかしてあたし!?

あたしの命が目的って助からないじゃん!!


セリオスもその答えにたどりつき、青ざめた様子で目を開いた。


冗談じゃない!!


はなせ~っと暴れればナイフがいっそう首に食い込んだ。

鈍い痛みが首に走り、これは結構な深い傷になるんじゃないかと思えば容赦ない関節技がさらに決まり……痛みで涙が溢れ出すがそれをグッと歯を食い縛った。

泣かない。泣いてたまるものか!!!


(誰だが知らないけど恨むからな!!)


何もかもが分からない状態であたしは死を迎えようとしていた。

ギラリと、ナイフが頭上にかざされ……


「アイッ!!!!」






これってバットED?












藍ちゃんいきなりピンチです。この危機を救ってくれるのは・・・もちろんあの人なんですが皆さんはどちらを想像しますか?

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