エピローグ1
ギギギッ…と王都の外壁の巨大門が開くと民衆が馬車道を邪魔しないようにしながらも人間の絨毯かの如く人々が集まり密集密着し、英傑の姿を見ようと身を乗り上げる。
先ずは馬車を先導する馬に乗った騎士達が現れ、その後に続いて屋根を閉じたカブリオレという幌馬車に乗った二人の姿が現れる。彼女等の姿は聖女と勇者に相応しい姿で。
「見て…あの聖女様のお姿……綺麗…」
「羨ましいなぁ。あんな素敵な女性を妻に出来るなんて…」
「リーグスト様…格好いい…うっうぅ…」
「ああ…。貴方、リーグスト様に憧れてたものね…」
「うう……リーグスト様の幸せ…。ファンなら幸せを願うのが……うわ~ん!!」
様々な人々が彼女等二人の姿を目にして、口々に褒め讃え、幸せを願う。
「なんか……照れくさいですね」
レリアナは皆に手を振りながらチラッとリーグストを見る。
「そうだな。でも、これだけ皆に注目される事を成したんだ…」
「…そうですね。それはそれとして…」
ジッーとレリアナはリーグストの服装を下から上へと目線を動かして細部まで観察する。リーグストの服装は空のような青色を基調にした軍服に赤色のペリースで気品とスマートさが合わさった魅力がある。
「…格好いい」
恍惚とした溜め息混じりの感想が出る。
「ありがとう。レリアナも綺麗だよ」
照れた様子もなくあっさりと返すリーグストに照れて欲しかったレリアナはムッとするが、直ぐに破顔させてフフッと笑う。
「嬉しい。貴方に褒めて貰えると、こう…言いようのない暖かな感情が湧きます」
「感情だけじゃなくて、暖かい家庭も築こう」
リーグストの暖かな家庭という言葉を聞き、具体的な妄想をしてしまったレリアナはボンッ!と顔を真っ赤にして照れる。
「そ、その御話は…夜に…もう一度…」
レリアナが詰まりながら言った言葉にリーグストは顔を赤くし、顔をレリアナから逸らす。
「そう言う意味で言ったんじゃないんだけどな」
レリアナは赤い顔を更に紅へと染めて、うーーーっ!と言葉にならない言葉を発しながらポコポコとリーグストの肩を殴った。