四十七話
「アルマリア…!何で貴方が此処に!?失踪したと聞いてたけど……」
「貴方のせいよっ!」
心配した様子で問い掛けたのに金切り声で責められ、レリアナは面を喰らう。
「貴方のせいで私の逆ハーレムはなくなって攻略対象達とも疎遠!学園中で腫れ物扱い!貴方が大人しく悪役令嬢を務めれば良いものを!何幸せになってるのよ!!不幸になるのは悪役令嬢の役でしょ!!幸せはヒロインのもの!!バッドエンドなんて望んで無いのよ!!だから…私は別ルートで幸せになる。魔王エンドでこの世界を私の自由にするの!!」
アルマリアの言葉の大半の意味を理解出来なかったが、最後の言葉の意味は理解した。
「まさか貴方!魔王に与したというの!?」
「与するなんて他人行儀ね。結ばれたの、お互いの幸せの為に」
「結ばれたって……貴方…」
レリアナからすれば散々自分の周りを引っ掻き回し、更に人類の敵対者……それも魔王という化け物と結ばれるというのは信じがたいもの。一言で申すのであれば、あり得ない。
「…無駄話はもう良いだろ。マリア。奴等を殺し、その後にこの国を滅ぼし、我等が国を創ろう」
「ええ。という事でさようなら」
アルマリアが手を翳すと黄金に輝く光線がレリアナとリーグストを飲み込もうと迫る。
「させるか!ゴーレム!防げ!」
鉄の壁が出現して黄金の光線を防ぎ、救世の剣を抜いて魔王へと肉薄する。
「はぁぁ!!」
リーグストは魔王に斬り掛かり左腕を斬り落とす。
「人間がっっ!!」
ブンッと右腕を振るうがリーグストは右斜め前へと躱し、風の盾で軌道をズラして体勢が崩れさせる。そして、追撃で後ろから右腕も切り裂く。
「これでトドメだ!」
そうしてリーグストは魔王の首を切り飛ばした。手応えはあった。だが、あまりにも呆気なさ過ぎて訝しんだ。
「タイタン!燃やせ!」
リーグストは元の位置へと戻りながらタイタンに指示し、魔王の肉体が炎の大玉に焼かれる。だが、何時まで経っても肉体が焼き果てる事はない。其れどころか左腕と右腕が再生して生え、足元に落ちていた頭を拾って首へとくっ付ける。
「…化け物か…」
バッ!と腕を振るい、炎を吹き飛ばして払う。右腕と左腕は狼の物へと変わっており、爪が剣の如く長い物となっている。
「強き者か。これは面倒な」
「だったら私が!!ライト!!」
レリアナはライトに夜明の聖杖を掲げるとライトは闇の魔力を夜明の聖杖へと注ぎ、レリアナが魔王へと向けると球体部分から先程のアルマリアが放った一撃より強力な聖なる一撃が放たれる。
「させない」
アルマリアが魔王の前へと立ち、レリアナの一撃を身を持って受け止める。
「私には聖属性は効かないわ」
「だったらお前の首を取る!」
リーグストがアルマリアに斬り掛かるが魔王は直ぐさま位置をアルマリアと入れ替え、剣の一撃を長い爪で受け止める。
「ガラ空きだ!」
リーグストはゴッ!と魔王の鳩尾を的確に蹴り飛ばす。だが、大して効いてる様子はなく、魔王は蹴り飛ばされる勢いを利用してリーグストから距離を取る。
「厄介な…」
「リーグスト。私がアルマリアの相手をします。貴方は魔王を!」
「分かった。ゴーレム!剣を飛ばせ!」
鉄の壁を四つの剣へと変形させて魔王とアルマリアへと飛ばし、魔王とアルマリアの二人は剣を躱すため、左右に別れて跳んだ。
「今だゴーレム!分断させろ!」
すると、魔王とアルマリアの間に床から天井まで伸びる鉄の壁が迫り上がり、二人を分断させて部屋の半分を区切る事に成功した。レリアナとリーグストの居る場所は区切られて居ない為、自分達の方へと接近させたら分断した意味はない。リーグストとレリアナは直ぐに前へと、彼女達との距離を詰める。
「ゴーレム!剣を飛ばして、四肢を切り飛ばせ!ウンディーネは氷で足を凍らせろ!フワリは俺に追い風を頼む!タイタンは切り飛ばした四肢を灰にして、傷口部分を焼け!」
精霊達は指示に従い、魔王へと襲い掛かる。
(この魔王は弱い。恐らくまともな戦闘経験はないんだろう。動きが大振りで躱す動きも鈍い。とはいえ魔王だ。一撃がデカいだろう。こっちは問題ない。問題はレリアナだ。大丈夫……だよな)
鉄の扉を挟んで戦っているレリアナの無事と勝利を願い、視線を一度だけ向け、魔王へと戻した。
「全身バラバラにして再生出来なくしてやるよ!」




