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四十三話

国王との謁見が終え、王の間から退場すると目の前には執事が居り、その彼の案内でとある一室へと案内された。


「暫くここでお待ち下さい。貴方達にお会いしたいという方々が居られますので。御用があれば目の前のベルを鳴らしてお呼び下さい」


執事が退室するとレリアナとリーグストは隣り合ってソファへと座る。


「私達に会いたい方ってどなたでしょう…。王城の執事に対し、御命令出来る時点でかなり絞られますけど」

「……本当は分かってるんじゃないか?レリアナ」

「そういうリーグストこそ…」


二人は「はぁ…」と溜め息が出そうな瞬間にノックが響き、グッと飲み込んで二人共に立ち上がって扉の前で待ち構える。


「どうぞ」


そして、開かれた扉から現れたのは二人の想像通り、国王陛下と宰相閣下だった。


「む?二人共、何故立っている?座って楽にせよ」

「「はっ!」」


リーグストとレリアナは下座へと座り、国王陛下と宰相閣下は上座に座る。扉には一人の騎士が立ち塞がる。何があっても対応出来るように。


「…二人共、そう肩肘張らなくて良い。これは完全な私用だ」

「陛下。御自分の身分をお考え下さい。普通の方々は緊張で碌に話せませんよ」

「そうか…。…いや、このような話をしてる場合ではない。先ずは改めて君達には謝罪を述べよう。すまなかった」


突如国王陛下に頭を下げられ、二人は困惑し目を合わせ、レリアナが口を開く。


「謝罪とは…魔王討伐の件ですよね。何故このような事になったのですか?」

「それはな…アルマリアとラインハルトの二人が発端なのだ」

「あの二人が!?」


レリアナはまた二人が何かやってくるのではと内心気が気でなく、国王の続きの言葉を待つ。


「本来であればその二人に聖女と勇者の称号を与えようと思ったのだ。だが、知っての通り馬鹿息子は君という婚約者が居たにも関わらずアルマリアに現を抜かし、更には冤罪で君を罪に問おうとした。そんな奴を勇者の称号を与えられん。他の息子達に渡しても良かったが、戦わせるには若すぎた。そこで、最年少でS級冒険者となってリーグスト殿が最適だと考えて、リーグスト殿に勇者の称号を与えた」

「なるほど…」

「そして、君に聖女の称号を渡したのは…アルマリアが失踪したからだ」

「失踪!!」


思わぬ単語にレリアナは国王へ詰め寄るように前のめりとなり、リーグストに肩を叩かれて恥ずかしがりながら姿勢を正す。


「失礼しました…」

「いや、構わぬ。同時期に学園を通った者の失踪、大変驚きだろう。アルマリアが失踪したのは彼女が卒業してから直ぐだった。国としては聖属性の適性ある者は戦力として保有しておきたかった。だから、国の魔法師団へと入るよう画策していたのだが……その矢先の失踪だからな。彼女が今、何処に居るのか分からんのだ。それで本来聖属性の持つ彼女に聖女となって貰いたかったのだが……場所が分からない。と、なれば別の人物を聖女として祭り上げなければいけなかった。そこで次々に人々を治し、君の事を慕う兵士が増えてると聞き、丁度良いと君を聖女として祭り上げたのだ」


レリアナは土が水を吸うようにゆっくりと国王の言葉を、自分の中で咀嚼して受け入れる。その間の国王は気まずさに手汗が滲み出る。レリアナはふぅ…と息を吐き、気分を落ち着かせる。


「私達がそのような称号を得た理由は分かりました。でも、何故聖女と勇者を必要としてるのですか?それは魔王討伐の話とどう繋がってるのですか?」

「…魔王討伐は聖女と勇者でなければ成せず、封印は叶わぬ…とアリスロイア王国の古い文献でも遺されている。正確には夜明の聖杖と救世の剣を持つ者…だがな。この武器があれば容易に魔王封印が可能だ」


レリアナは国王の言葉に眉間の皺が寄りそうになる所を何とか抑え、瞑目して言葉を考えてから発する。


「…それって誰でも良いんですよね?でしたら私達に渡される意味合いは薄れると思うのですが?」

「いや、夜明の聖杖は聖属性の威力を高め、救世の剣は斬った魔王の力を弱める。つまり、救世の剣は手練れでないと扱えないんだ」

「…私は闇属性なのですが…」

「問題ない。夜明の聖杖は闇属性を吸収して聖属性へと反転させ、放つ際に聖属性の魔法の威力を上昇させる力がある」

「そうですか。…なるほど、確かに適任ですね。私達が…」


はぁ~…と国王の前で思わず溜め息が漏れ出る。それが無礼だと承知しつつ、それでも止められなかった。


「陛下、率直に言っても宜しいでしょうか?」

「ああ、構わぬ。この場で聞いた事は全て不問とする。良いな?」


国王は宰相と騎士に問い掛けると二人は頷き、その姿を見てレリアナは心置きなく発せられると深呼吸一つして自分の言葉を言った。


「私、魔王討伐なんかしたくありません!」


国王の命令を完全拒絶した言葉に騎士は剣を抜いた。


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