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三十九話

立会人の勝利宣言に観客席の全員は決闘場を揺らず程の熱狂した声が響く。だが、メルディックとラインハルトとアルマリアは驚きで頭が真っ白になり、アルマリア陣営の方へと視線を向けるとそこには三人の首に土の剣が三本ずつ囲み、リーグストはレリアナの手を握っていた。


ロギア達も何時自分達を抜けてレリアナに接近していたのか分からなかった。ただ、一つだけ分かる事がある。


「手加減…されていたのか……」


ロギアはリーグストとの絶望的な差に気付き、土の剣が消失した瞬間に膝から崩れ落ちた。


「僕は…強くなった……筈なのに…。僕はやっぱり…駄目なのか…」

「私は…呪いから解放され、彼女を守る為この力を使おうと誓ったのに……私にマリアを守る力なんて…なかったのか…」


エリレントとリリーヴは項垂れ、自分の中に築き上げてきた自信が砕け崩れていく。


「いや、貴方達は充分強かった。ただ俺の方が強いだけだ」


リーグストは彼等にそう言うとレリアナを連れて立会人の元へと共に歩く。


「全員整列!!」


立会人の言葉の通り、ラインハルト達は負けの悔しさを噛み締め、彼等は覇気のない姿でノロノロと並んだ。


「此度の決闘の勝者はレリアナとなりました!これにて決闘を終了致します!では双方!!退場!!」


リーグスト達は胸を張り堂々とした佇まいで帰り、ラインハルト達は肩を落とし、暗い雰囲気で決闘場を後にした。彼等の光と影に別れたれた姿は今後の運命を指し示していた。それは早くも一週間という時間で(もたら)された。


「えっ!?殿下が王太子の座を剥奪されたって本当のなのですか御兄様!!?」


話があるとメルディックに言われてテラスへと呼び出されたレリアナはその衝撃的な情報に耳を疑った。


「ああ。本当だ。王太子は二男であらせられるアインバルト殿下となった。ただ、殿下の処分は優しい方だ。エリレントは宰相への道を断たれ、リリーヴ先生は解雇、ロギアに至っては廃嫡だ。既に三年分の学費は払われているそうだから学園に残るだろうが、周囲からは厳しい視線を向けられるだろう。彼等はもう大手を振って学園内を歩けなくなった」

「そうですか…」


まさか只の決闘一つで彼等の運命が大きく変わってしまうとは考えておらず、レリアナは罪悪感で心を痛める。


「レリアナ…。お前が気にする事ではない。気に病むな。それとこれからリーグスト殿と会うのだろう。そのような顔で会うつもりか?」

「……そうですね。御兄様の言うとおりですね」


レリアナはリーグストの事を想い描き、顔の力を抜いて自然と口角を上げる。


「…本当に素敵な淑女となったものだな、レリアナは」

「はい。リーグスト様のお蔭です」

「私も妹に負けっ放しでは示しがつかんな。…私も立派な紳士となれるよう努力しよう。先ずは……ファルナへの謝罪だな」

「応援してます。もし十発頰を叩かれても怒らないで下さいよ」

「勿論、百発でも千発でも受ける覚悟だ」

「その意気です」


二人はフフッと笑いを溢しているとグエインが訪れる。


「二人共、居るな」

「はい。…御父様…何か御用ですか?」

「ああ。二人に話がある。いや、正確には一人だが、二人とリーグスト殿にも関係する話だ。彼が来たら私の執務室へと来るように」

「「はい。承知致しました」」

「ではな二人共。仲良くやれよ」


グエインはそう口にしてテラスから去って行った。


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