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三十七話

速攻を仕掛けたのはラインハルト。ラインハルトはリーグストの横を即座に抜けてメルディックへと斬り掛かる。


「退いて貰うぞ!メルディック!」

「殿下!幾ら王族とはいえ相手に敬意が無い口調はどうかと思いますよ!!」


メルディックはガンッと木剣を弾き、ラインハルトは後ろへと後退する事で体勢を崩さずに済む。


「メルディック。問おう。何故貴方はあの女の味方をする。奴が悪なのは明白だ」

「それは違う。レリアナは善なる人間だ。悪いのはレリアナを魔女と(そし)る者達だ。だから、彼女は悪を装うしか無かった。自分を守る為に悪ぶるしかなかったのだ。その結果がマリアのイジメだ」


ラインハルトはギリッ!と歯軋りし、木剣をメルディックに振りかぶり、その木剣は受け止められるが一歩近付いてメルディックの瞳を睨む。


「それが分かってるなら何故レリアナの味方をする!?フリだけでは何も言うまいが実際に悪となれば話が違うだろ!!?」

「その通りだ。レリアナがマリアにしたイジメは許されない。ちゃんと謝罪をするべきだと思う」

「なら…!」

「だがっ!!」

「…っ!?」


ラインハルトは突然の強い口調にたじろぎ、メルディックはその隙に距離を取り、言葉を続ける。


「だが…レリアナはリーグスト殿と出会った日から彼女にイジメをしたという話は聞かない。…レリアナはレリアナの事を認める人が現れるだけでレリアナの行動は変わった。……最初から私が…私達が魔女ではなくレリアナとして見ていれば結果は変わった筈だ。だから私は心優しい妹を変えてしまった責任を取る!例え殿下や愛する者を敵に回そうとも!!?」


彼の口上にラインハルトは目を見開き、俯いて木剣を握る手に力が籠もる。


「…それほどの覚悟があるのか……。これ以上の説得は無粋だな。本気で行く!!手心があるとは思うなよ!!」


切っ先をメルディックへと向け、メルディックもラインハルトに木剣を向け、カツンと木剣を当てる。


「それは此方の台詞だ!!」


そんな熱いやり取りをリーグストは三人に背を向け、涙ぐみながら見ていた。


「良い話だな…。メルディック様はそんな熱いを想いを抱きながら決闘に望んでいたのか…。と、さて…」


リーグストは涙を拭って振り返り、不敵な笑みを三人へと向ける。


「別に斬り掛かって来ても良かったんだぞ」

「俺は騎士だ。そんな卑怯な真似はしない。それにだ…ずっと嫌な予感がしてるしな。絶対罠仕掛けてんだろ」

「戦えば分かるさ。じゃあ、始めよう」


リーグストは腰に挿していた木剣を引き抜き、ロギアも木剣を抜き、エリレントとリリーヴは杖を抜く。


「よし!行くぜ!」


リーグストへと迫ろうとし、瞼を瞬きした間にリーグストは既にロギアの懐へと入っていた。


「早っ!!」


ロギアは後ろへと飛び退いて躱そうとするが体勢は崩れて、頭から倒れそうになり、リーグストの一撃は躱せないと木剣で受け止める。だが、踏ん張りが効かず倒れる。リーグストはトドメを刺そうとするが風の弾によって吹き飛ばされるが怯む程度で大したダメージにはならない。


「僕達の事を忘れては困る!」

「忘れてないさ。泥で沈め」


その瞬間、三人の足元が泥沼となり身体が沈み始める。


「させるものか!?エリレント!」

「はい!」

「【火弾(ファイヤボール)】」

「【風螺旋(トルネード)】」


エリレントが放った火弾とリリーヴが足元へと放った直線へと伸びる竜巻が合わさり、泥沼を吹き飛ばして乾かす。


「熱い!!」


ロギアは魔法の熱さに飛び起きて立ち上がる。リーグストは飛び散る泥を近付く瞬間に泥の飛ぶ方向を転換させ、リリーヴへ目掛けて飛ぶ。


「させるか!」


立ち上がったロギアは木剣で泥を撃ち落とす。


「【火連弾(ファイヤノート)】」


リリーヴの目の前に炎の本が現れ、炎の本が開くとページが一枚一枚剥がれ、剥がれたページは火弾となり連続してリーグストへと降り注ぐが全て躱される。


「喰らえ!!」


全て躱した直後にロギアは首を狙って振るうが容易く躱され、振り抜いた直後をリーグストは狙うが右から強風に襲われて動きが止まり、強風に乗った石弾が脇腹を捉える。


「やった!」


エリレントは喜ぶが石弾は土の盾で塞がれていた。


「塞がれてしまいました。だが…」

「ああ。やれる。足留め出来る」

「そうですね。殿下の事を信じて僕達の仕事を遂行しましょう!」


リーグストの足留めに成功している三人は自信に満ち溢れ、彼等の攻撃は更に勢いを増した。


(さて、こっから大変そうだ。…メルディック様、俺も頑張るんでさっさと勝って下さいよ)


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