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二十九話

リーグストと別れて三週間、彼の事が心配で毎日気が気でなく、眠りも浅くなり、食事量もかなり減ってしまい、目に見えてやつれてしまった。


「何があったのか遠慮して聞きませんでしたが、もう流石に見てられません!!レリアナ様!!一体何があったのですか!!?」


心配したティエラ達は放課後、貴族街の個室があるカフェへとレリアナを連れ出し、不調の理由を聞き出す事にした。


「な、何もありませんよ…」

「嘘です!!レリアナ様ずっと三週間位前からずっと表情が暗いですよ!!」

「そうですわ!!(わたくし)達ずっと心配してたのですよ!!」

「そうです!!私達、レリアナ様の力になりたいんです!!」

「貴方達……」


彼女達の言葉を嬉しく思うがリーグストが心配だと言って良いものか悩んだ。リーグストとの婚約は正式にまだ決まっていない。婚約の発表は彼が無事依頼を達成してからでないと出来ない。リーグストが心配でと言えば必ず関係性を聞かれてしまう。そうすれば婚約話をしなければならない。まだ発表されていないのに言うのは躊躇われた。だが、彼女達なら言いふらすなんてまねはしないと信頼していた。


「誰にも…言わないで下さいね」

「「「勿論です!!」」」

「実は……」


レリアナが元気のない理由を語るとティエラ達は徐々に顔が俯いていく。


「…という事なの」


レリアナは三人の様子が会話の中で変わっていたのは気付いた為、おっかなびっくりな態度で彼女達の反応を探っていると、ガタッとミアリは立ち上がるとレリアナの方へと身を乗り出す。


「スッゴイじゃないですか!!?」

「へぇ…!?」

「まさかあのリーグスト様と婚約されるなんて流石レリアナ様です!!」

「え!?ミアリはリーグスト様の事を知っておられたの!?」


ミアリが冒険者の事を知ってるなんてレリアナは想像しておらず吃驚する。


「はい!勿論!…というかこの国の若い女子なら貴族庶民関係なく知ってると思いますよ。ね?二人共?」


ミアリはティエラとリリスへと瞳を向けると二人は大きく頷いた。


「とても有名ですよ。ルックス良し、人格良し、それでいてとても強い。まるで物語に出て来る騎士様みたいだと結構話題でした」

「しかも、17歳でA級冒険者だなんて若い女子達は放ってはおきませんわ。(わたくし)もここ二~三年で彼の話題が上がらなかった事が無い日はありませんでしたし、ファンクラブがあるともお聞きしておりますわ」

「…そうなのですね」


レリアナは思わぬ彼女等の情報から目の前には居ない恋敵に嫉妬し、むくれっ面で拗ねた顔となった彼女を見て、三人は今まで見た事のない表情に可愛いと胸撃たれる。


「大丈夫です!レリアナ様ならリーグスト様の視線を独り占めですって!」

「そうですよ!レリアナ様より素敵な女性はいません!」

「そうですわ!レリアナ様は私達(わたくしたち)の憧れの女性ですもの!」


レリアナはプイッと三人から顔を背けてボソッと呟く。


「本当に私が魅力的なら殿下の御心は離れなかったわ」


あっ……やってしまった……と三人は顔は青ざめ、レリアナの顔はより暗くなる。


「心配ごとがまた増えました…」


泣きそうな表情となるレリアナを見て三人はワタワタと慌てる。折角、レリアナの助けになろうと集まったのにテンションを下げるような事態になってしまい、どうにかレリアナのテンションが上がるような事を考えていると、あっ!とティエラは思い付く。


「レリアナ様!明日お休みですよね!…もし何も御用事が無ければですが、四人でオススメの本を持ち寄って互いに紹介しませんか!?」


ティエラの提案にリリスとミアリはこの雰囲気を打開出来ると乗っかる。


「そうしましょう!私の御屋敷に来て下さい!盛大におもてなしさせて頂きます!!」

「そうですわね!(わたくし)も賛成ですわ!」

「私もやりたいです!ね!やりましょうよレリアナ様!」

「え、ええ…。明日は何も予定が入っていないので良いですけど…」


三人の勢いに押されて了承する。


「はい!じゃあ決定ですねっ!では、今日はもうお開きにして早速帰ってオススメの本を決めちゃいましょう!」


ティエラは強引に話を纏めて今日の御茶会を閉会した。


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