表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/53

十七話

屋敷から庭へと出るとテラスがあり、二人はテーブルを挟んで椅子へと座るとシエラがいつの間にか準備していたのかキッチンカートを押して、茶菓子が載った三段スタンドとカップとティーカップを運び、三段スタンドをテーブルの真ん中へと置くとカップの中に紅茶を注ぎ入れ、カップを其れ其れ二人の前へと置いた。


「…それで、聞きたいこととは何ですか?」

「あっ!は、はい!え~と…先ずは…その、今朝の事なので御座いますが…実はクラスメイトの女子生徒から私が上達した練習法を教えて欲しいと言われたのですが……教えても構いませんか?」

「はい。構いませんよ」

「ですよね…。駄目で…って…えっ?い、良いのですか!?教えても!?」

「はい。というか俺、結構冒険者仲間にも教えてますから。最近は教えてなかった為、魔力切れの注意をするのを忘れてしまってましたが」

「あ、そ、そうなのですね…」


どう対応すれば分からずオホホッ…とレリアナは愛想笑いをしてしまう。


(私、今までどうやって先生とお話してましたっけ?と、取り敢えず何か聞かないと。え~と…。え~とっ!そうだっ!)

「御趣味は何ですか?」


レリアナはニコッと緊張で固まった顔の口角を少し上げてぎこちない笑顔でリーグストへと問う。


(この質問なら話をきっと広められる!社交界で趣味の話で盛り上がっていたのを沢山見てきました!間違いありません!)


不安感を無理矢理押し殺すように自分を納得させる為そう思い込んだ。リーグストは趣味の話を問い掛けられて考え込む。


「趣味ですか…。正直…仕事が趣味って所があるので……強いて言うなら美味い物巡りですかね…」

「そうなのですね。案外食道楽の方なんですね…。どのような物が美味しいとかあるんですか?私気になります」

「そうですね…。王都なら…オーク多く焼くという屋台の串焼きは絶品でしたね」

「そうなんですか…。私もいつか食べてみたいものです」


会話はそこで終わり、より気まずい空気をレリアナは感じて下へ向く。


(な、なんで会話が続かないの!?あーー!緊張で頭が動かない…!!)

「…あの~」

「っ!!は、はい!!なんでしょう!?」


リーグストの声に反応し、バッ!と顔を上げる。


「何故このような事を聞かれるのでしょう?」

「あ…と…。そ、それは……な、何と言いますか…」


レリアナはリーグストの質問にしどろもどろとなり頭が真っ白になる。


(ま、不味い!急にこのような質問をしたから不審がられていらっしゃる!ど、どうする!どう返すべき…!?え~と…!え~とっ!…何も思いつかない…)

「まさかリーグスト様への想いを確認する為に話掛けたなんて口が裂けても…」


レリアナは自分の心の声が耳から聞こえて…ん?と疑問に思い、口の動きが止まる。


「それってどういう…」


リーグストの反応で口に出していた事が確信となり、レリアナの顔は首から上へと徐々に真っ赤となる。


「……あ、わ、私…口に出して……!~~~///」


羞恥心のあまりテラスから逃げ出し、自室へと駆け込んだ。


「私…何をやってるの!この愚か者!!…それに自分で呼び止めておいてリーグスト様を置いて去るなんて本当に有り得ない!!最低!!はぁ~~~……」


レリアナは扉を背に凭れ、ズリ落ちて膝を抱え込むように座る。


「もう……最悪…」


そう言って自身の足に顔を埋めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ