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十三話

自室へと戻るとレリアナははしたないと思いつつ、ベッドへと飛び込む。


「本当に最悪。何もあのタイミングで帰って来なくても良いではないですか……。…何で…私達は互いに嫌悪してるんだっけ…。昔は仲悪く無かった筈なのに…。何時…だったかしら…?」


レリアナはベッドに身を委ね、目を瞑って兄との仲が良かった時の事を思い出す。


(あれは…そう…五歳の頃…)


花畑の情景が浮かび、其処には子どもの頃のメルディックを引っ張るレリアナと二人の様子を見守りながら紅茶を嗜むレリアナに似た女性が居た。レリアナはメルディックを引っ張りながら庭の中を駆け回る。


「お兄様!お兄様!あのお花とても綺麗よ!」

「分かった。分かったから走るのはやめよう。転んだら危ないよ」

「大丈夫よ!お兄様が居るもの!」

「全く仕方ないね…!」


メルディックは苦笑しながらもレリアナに連れられて庭の中を見回っているとレリアナは疲れたのかペタンと地面に尻餅をつく。


「足疲れた~!もう歩けません!お庭広すぎます~~!」

「レリアナ、地面に座るなんて御行儀が悪いよ。それに少し歩けばお母様の所に着くよ」

「無理!足が動きません!」

「…全く…ほら」


そう言いながらメルディックはしゃがむ。


「背中に乗って。お母様の元まで行くよ」

「ありがとう!お兄様!!」


レリアナは先程まで疲労を訴えていたのが嘘のような俊敏さでメルディックの背へと跳び乗った。


「一歩も動けないんじゃ無かったのかい?」

「えへへ」

「もう…仕方ないな」


そう言うメルディックは柔らかい表情で微笑んだ。


(それから五年後に…私の適正属性が闇属性だと判明するとお兄様は私に軽蔑視した目線を向けられ、「お前のような者が居るなんぞ家の恥じだ」と冷たい言葉を吐かれました。それも仕方ないのでしょうね。この国では魔女と聖女が生まれし時、混沌の時代が始まると教えられており、聖女は平穏を与える存在で、魔女は激動を与える存在だと言われている。つまり…聖属性を持つ女性と闇属性を持つ女性が生まれた時に世界の危機に瀕するとされ、魔女は平穏を乱す存在と敵視されている。それが自身の親族の中に生まれたのですから…)


レリアナは仰向けになってため息を吐く。心の中ではメルディックと昔のように仲の良い兄妹へと戻りたいと願いながらも無理だろうなと諦めていた。


「…気分転換でもしましょうか…」


レリアナは起き上がり、鞄から一冊の本を取り出す。


「ティエラさんから押し付けられるように貸して貰ったこの本……ロマンス小説とお聞きしましたが…このような本はあまり読んだ事はないのですが彼女のお薦めですからきっと面白いのでしょう」


彼女はそうして本を開いた。


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