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DARK NIGHT MOON  作者: 花坂零
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ep.1 染谷の愚痴

アルディラ対策課に勤務している染谷(そめや)は毎日雑務に追われていた。


アルディラ対策課の具体的な勤務内容はアルディラの発生による一般市民の被害や、建物の被害の確認、対ア部隊の訓練費用、対ア部隊の活動による被害の計測などいわゆる尻拭いが多かった。


毎日毎日対ア部隊の後処理に疲弊していた染谷(そめや)は息抜きにコーヒーを飲みに行くことにした。




「いらっしゃい、いつもの?」


ここは染谷(そめや)がよく行くカフェ「night」


「うん。いつものよろしく。」


ここのオーナーの真鶴(まづる)とは昔からの知り合いだった。




染谷(そめや)真鶴(まづる)の前のカウンターに座った。


「最近来なかったから心配してたのよ。そんなに仕事忙しいの?」


「そうなのよ。本当に忙しくてようやく仕事が一段落ついたからやっと来れたよ。」


アルディラ関係の仕事をしている人は世間に公表されていること以外の対策課の勤務内容及び対ア部隊について口外することは禁じられているのだが、染谷(そめや)真鶴(まづる)にすべてを伝えていた。


恭子(きょうこ)〜、私の愚痴聞いてくれる?」






染谷(そめや)は自分の近況を真鶴(まづる)に話した。




「最近研修生の質が落ちているって対策課の幹部の間で問題になっているのよ。

でもそれは対ア部隊じゃなくて対策課のせいだって対ア部隊の連中が言ってくるのよ?ひどいと思わない?

こっちは毎日毎日対ア部隊の後処理をやってるっていうのにさ。こっちに文句を言うなら自分たちはまず周りへの被害を最小限にアルディラを駆除しなさいよって話よ!」




「対ア部隊の隊員昇格試験をやったんだけどさ、今までは対策課の中で試験の運営の仕事だけをやる人を引き抜いてやっててさ、そうすると通常業務の方の人手が足りなくて毎日泊まりで仕事してたのに、今回からは通常業務と試験の運営を同時並行でやれだってさ!あれは頭に来たわ。対策課の幹部は対ア部隊出身でこっちの仕事をやったことないから平気でそんなこと言えるのよ。おかげでこっちはてんてこまい。通常業務も激務だけど、試験の運営なんてもっと激務なのよ?

え?なんでかってそりゃ、試験に参加する隊員の顔と名前を覚えて試験内容を決めて試験の相手の割り振りをしてそれから・・・etc.それで通常業務に何か不備があればものすごく怒られるのよ?ブラック企業よりブラックだと思うわ。何度辞めてやろうと思ったことか。でも、そんなことすれば困るのは残る他の人達だからね。尚更辞められないよね。そこが悔しいところよ。」




「1級隊員はさ、1級だからアルディラの駆除はやっぱり上手なのよ。だけどさ、それで威張るのは違うと思わない?一部の隊員だけなんだけどさ、その一部が厄介で。やれ、あれがほしいだ、やれ、不備があるだ、やれ、仕事場を徘徊するわ、でこっちは正直言って邪魔な訳。そんなに暇で力を誇示したいならこっちの仕事を手伝ったり、3級隊員や研修生の教育を手伝ったりしてくれって話よ。」




こうして染谷(そめや)の愚痴は30分にも及んだ。






「ふぅ。恭子(きょうこ)に愚痴を聞いてもらってちょっとすっきりしたわ。」


「そう。それなら良かったわ。このカフェを作ったかいがあったわね。」


「そうよ。ここが無かったら今頃死んだ魚の目をして仕事をしてた気がするわ。」


染谷(そめや)真鶴(まづる)特製甘さ増し増しコーヒーを飲み干して机にカップと()()()を置いて席を立った。


「じゃあ仕事に戻るとするわ。また来るね〜」


そう言って染谷(そめや)はカフェを出ていった。








*****








染谷(そめや)がカフェを出たあと、真鶴(まづる)染谷(そめや)の使った食器を片付けるときに紙切れに気がついた。


中身を見た真鶴(まづる)は一瞬目を見開いた。


「・・・そう。これは久しぶりに集まらないといけないかしら。」




真鶴(まづる)は誰もいない店内で一人呟いた後、何事も無かったかのようにカウンターに戻った。


真鶴(まづる)の独り言を拾う者は誰もいなかった。

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