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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
幻想世界編
99/106

国外追放とエルフ

 リリスは目覚めた。カーティスとアリアンが心配してくれている。そしてカーティスはリリスに抱きついた。


「どうしたの?」

「起きてよかったなって……後,リリスは良いところしかないからね」


 おそらく,アリアンの術式を見て落ち込んでいたことを知っていたのだろう。励ましてくれたことが嬉しかった。リリスは微笑む。

 そんな時間が少しだけあった。アリアンは手を叩いて彼女に注目させる。


「種族長に会いに行くってあと何種族いるの?」

「えぇっと,あと三種族です。エルフに獣人に妖精」


 それを聞いたアリアンは少し寂しい顔をしながら家から外に出る扉を開いた。リリスはアリアンに感謝の言葉を述べて外に出る。そしてリリスがいなくなったことを確認したアリアンからは自然と涙が出ていた。悲しかったようだ。


「私もあんな子と結婚したかったな」


 そうしてキス未遂のあれを思い出す。あれも事故なんかではなく本気でしようと思っていたのだ。

 しかし,見てしまった。カーティスにハグをされて幸せそうな顔をしているリリスを。

 敵わないとアリアンは思って窓を見た。そこからは二人はもう見えない。


 * * * 


「とりあえずリルさんにこれは渡すとして……次はどこに行こうか」

「エルフの森とか近いしどう?」


 リルの家に行って,素材とアリアンの伝言を書き記したメモ用紙を召し使いに手渡した。

 森まで行くのには苦労しなかった。そして,エルフの森で種族長がどこにいるのかだけは誰も教えてくれなかった。

 その森に妖精がいたが,種族長は別のところにいると教えてもらった以外は特に役に立ちそうな情報はない。

 カーティスはリリスに道を先導させた。方向音痴が役立って種族長のところについてしまったのは秘密である。

 リリスが大声でエルフの種族長の名前を呼んだ。


「はぁい。あら人間さんじゃないですかぁー。こんな変なところ,よく来れましたねぇ」

「あはは……」


 種族長・ブリギットは優しく笑う。彼女の言う通り,種族長が住んでいたのは千年樹のような場所ではなくどこにでもありそうな木の下だったのだ。

 リリスはほっと一息を吐く。


 立ち話もなんですから,とブリギット。エルフに部屋などという概念はなく,木の下で精霊の力を受け取りながら生活をしているそうだ。


「なんとなく用件は分かりますよぉー。結界を強化するための素材集めでしょう?」

「あっ,はい。メモどうぞ」


 リリスはそう言ってブリギットにメモを渡した。


《エルフ居住区で欲しいもの》

一,種族長の魔法で造った聖水

一,上位精霊三体

 これをお願いします。


 フリューゲルの時と比べて少なかったが,ブリギットは困った顔をしている。どうしたのかを聞くと,エルフに上位精霊を倒すことは実力的に不可能とのことだ。神から貰った厄災を使えばできるかも知れないがそれだと職権濫用になりかねない。最悪,種族長を辞めないといけないくらいになってしまう。

 リリスはそれを聞いてカーティスと一緒に倒してくると言った。


「ありがとう。私は聖水を造って待ってるわぁー」


 リリスはブリギットと別れて上位精霊のいるとされる森の端へ行った。

 油断していたのが間違いだった。地面に落とし穴があって見事に引っかかってしまう。飛行術式で脱出しようとするが,その前に上にあった扉が閉じてしまったのだ。

 なんとか地面に直撃することは避けることができた二人は奥をジッと見つめる。暗闇に包まれていて,先が見えない。ダンジョンだった。

 転生してから地上ではダンジョンを見ていなかったリリスは少し嬉しそうだ。逆に幽霊を克服できたかと思っていたカーティスがリリスの後ろへ隠れる。


「どうしたの?」

「いや,怖いとかそういう訳じゃないから……」


 ビビっているということはリリスにも分かった。とりあえず,カーティスの光属性魔術で照らしてもらう。するとダンジョンの壁にぎっしりと描かれていた刻印のようなものから緑の光が流れ,それらが人を形作る。

 警戒していたリリスはどんな術式が相手に対して効果がありそうかを目測で予想し,カーティスは杖を取り出して防御結界を展開した。


 ついにその人形(ひとがた)の何かは包まれた光から飛び出す。

 そのタイミングでリリスは月の術式を放ってみた。アリアンが使っていたものに似ているものだ。オリジナルは月の女神にしか使えないらしいがそれらしいものは一般人(?)であるリリスにも使える。

 しかし,一直線で放たれたはずが,女は霧散して当たらなかった。デュラハンのように実態がないものなんだろうか?

 そんなことを考えていると,リリスの目の前にその女が現れた。


「お願いだから何も言わずに攻撃しないでー」

「カーティス,この人は上位精霊っぽいよね」

「うん。じゃあ倒すか」


 一応倒すと言って攻撃しようとしたが女は逃げるばかりだ。


「私はフェイ!本当に敵じゃないし,だから地獄みたいな攻撃ラッシュはやめてー!」


 フェイは聞いたことがあった。確か,勇者に伝説の剣を渡したのがその名前だったはずだ。リリスはそう思ってやめた。そしてフェイはため息を吐き,


「とりあえず,助けてくれてありがとう。あいつらに閉じ込められてたから……」

「あいつら?」


 フェイの言っているあいつらこそ上位精霊だった。本当は三体以上いるのだが,強すぎるために少しずつ討伐を進めていたらしい。しかし,初代種族長だったフェイが地下深くに閉じ込められたことによって種族長の持つ『厄災』使えなくなり,討伐は永遠の中止を余儀なくされたとのことだ。

 彼女の話を聞いて疑問に思ったことがカーティスにはあった。


「今の種族長であるブリギットさんは厄災を使うと職権濫用になってしまうと言っていたのですが……」

「多分,森の子たちが反対しているんじゃないかな。種族長が厄災を使うときは投票が行われるの。地下から見ていたけど彼女,まだ上手く使いこなせないようだし」

「あと,エルフの厄災ってどんなものなんですか」


 カーティスがそれを尋ねるとフェイはニッと笑って手のひらを開ける。一文だけ詠唱をすると彼女が緑のオーラに覆われた。

 曰く,指定した相手が自分に限らず誰かに殺意を向けているとその殺意が攻撃となって相手に返ってくるというものらしい。

 確かにそれを使いこなせてしまったら世界を敵にしても怖くない。


「私がその厄災の力を取り戻すまでは二人で戦ってくれないかな?アドバイスしてあげるからさ」


 そう言われてリリス達はさらに奥へと歩いていった。一体目の上位精霊は堂々と正面から現れた。初代種族長である妖精のフェイにも効果があると仮定された今,リリスには月の術式の精度を上げて上位精霊に放つしかない。

 カーティスは模倣魔術でフェイを包んでいた緑の光を再現して攻撃した。


 【仮想兵器】と月の術式の攻撃を交互に行った結果,リリスの中ではある考察がなされていた。


⦅これ……異種族の術式だったらなんでも攻撃できるのでは?⦆


 ブリギットやフェイ曰く精霊も種族の一つであるらしい。フリューゲルのアリアンも腕慣らしはフリューゲル同士ではなく竜と行うと言っていたはずだ。

 つまり地上での神や人間は幻想世界で言う精霊と似ている構造をしているということだ。流れ弾でアリアンに当たりそうになったときも,フェイもフリューゲルの術式である月の術式は避けていたのも,逆にリリスの使った月の術式は当たっても無傷だったので間違いはないだろう。


 それが解析出来てからは楽勝だった。一体目は瞬殺し,二体目は攻撃をしてきたがそもそも構成が似ている人間には効かないのでカーティスの模倣魔術で終わった。


「やっと使えるようになった……」

『お前は儂の右目を奪ったやつか。どうやってあそこから脱出できたのかは分からんが後ろの二人諸共殺してやる……殺してやる!そしてエルフ居住区も破壊して……』


 その上位精霊は殺意を向けてしまった。しかも広範囲に。


「厄災一:破壊衝動,二:殺害衝動を排除する」


 フェイがそう言うと一瞬で上位精霊は砕け散った。


「はい,終了ー!今からエルフ居住区に戻るんでしょう?私も連れていって」


 速すぎて何が何だかわからなくなったが,とりあえず地上に戻ることにした。

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