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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
海底古代都市編
80/106

国外追放と古代兵器

アトラクションの待ち時間で書きました(二回目)

 夜明けの前に起きてしまったリリスは,屋敷を出て探索を始めた。探索のついでで沈没した船に乗っていた人がいないか確認したところ,それらしき人はもういないことに気づき,セトがきちんと元に戻してくれたことを知った。


「リリスー,どこに行くつもり?」

「行く当てなんてないよ。なんとなくどこかに行くんだ」


 これだから方向音痴は,と碧帝に呆れられたが,リリスは気にしない。しばらく歩いていると,ビルの近くにさらに下へと繋がっていると思われる階段を発見した。リリスと碧帝は話し合って,そこに入ることに決めた。


「碧帝,何か異変があったら言ってね」


 マリーが特別なだけなのだろうか。どうやら海底人も碧帝の存在は見えていないようだ。だから,リリスは虚空に向かって話しているただの変人ということになってしまった。


「よいしょっと,この扉結構重いなぁ」

「リリスー,頑張れー」


 魔術が使えないせいで,強引にこじ開けることが出来なくなってしまったリリスは休憩しながら扉を開けていく。そうして扉を開けること数十分,やっと,扉が開いた。扉の先の光景を見て,リリスは絶句してしまう。そこには海洋生物を模した兵器が数多く揃えられていたからだ。


「何ここ……」

「研究所っぽい雰囲気があるよね。わぁっ,タコじゃない?これ」


 さらに歩いていくと,謎の物体があった。球体で青白く光っている。それに触ろうとして手を伸ばすと,その物体から音が鳴った。よく見てみると,小さな文字盤に『8:30』と書かれている。

 音に気が付いたのか,反対側のベッドからもそもそと起き上がってくる人影が見えた。リリスが警戒していると,そのベッドから起きてきたのはマリーだった。


「なんでこんなところにいるの?」

「リリス,こっちのセリフだよ。なんでわたくしの家にいるの?」


 どうやら,リリスの入った不気味な研究所はマリーの家だったらしい。そういえば,初日に彼女は研究者だと言っていた気もする。

 リリスはなぜ地下なのかをマリーに聞いたが曰く,「地下ってなんでか土地代が安いんだよねー」とのことである。


「じゃあ,わたくしの家に入った記念で!」

「「?」」


 マリーのどんっ!という声に合わせて,スリープ状態にあった古代兵器達が一斉に動き出した。リリスは警戒して,驚いて後退りしたが,碧帝は懐かしいような目で兵器達を見ている。

 リリスが警戒を解き,興味津々に見ていると,突然,彼女の方に攻撃し始めた。しかし,本当の標的はリリスではなく,その隣にいる碧帝だということをリリスは知らない。

 古代兵器の暴走に気付き,マリーは慌ててテーブルにあったリモコンを持って再びスリープ状態へと戻した。


「ごめんねー碧帝ちゃん。標的を貴女に設定しっぱなしだったわ」

「あぁ……結構前に戦ったもんねー」


 リリスは気がついていないが,戦争時代の敵とこうして顔を合わせて仲良くしているというのは相当に異様な光景である。碧帝は思い出したように,戦争時代の昔話を語り出した。


「ほんと,懐かしいよねー。旧神についてた人はみんな地下に収容されたからねー」

「君のせいっていうのもあるんだよ?碧帝のせいで,兵器君たち,何百機も陥落したんだから」


 地下に収容されたということは,死者の国の女神であるヘルも負けたということなのだろうか?そう考えていたリリスに,碧帝は答えを教えてあげた。


「ヘル?いたね,そんな子」

「強かったよー。ゼルセピナさんに惜しくも負けてたけど」


 まさか,ヘルが死者の国にいる理由が戦争に敗北したからだとは思っていなかった。

 リリスはじっくりと兵器を見て,メモをとっている。その彼女の様子を見て,マリーは首を傾げていた。どうしてメモをするのかと。リリスが立ち上がって,


「術式に使うんだ」

「術式?」

「そうそう!マリーは,私の【仮想兵器】に解析されて負けちゃったんだよー」


 そんなに簡単にネタバラシをしても良いのかと疑問に思ったリリスだが,【仮想兵器】についてマリーに説明をすると,納得したように笑顔になった。そして,多くの資料を手渡してきた。設計図のようで,タコ型の兵器や深海生物の形を模した生物兵器(?)など様々だったが,碧帝はリリスの手から落ちた,一枚の資料に注目した。


「マリー,これはなに?」

「それは……【神殺しの光】だね。あの戦争のとき,なぜか消えたんだよ」


 リリスがどんな用途で使っていたのかを聞くと,名前の通り,創世神側の神を殺す時に使っていたらしい。実際,それで何百体もの神を殺したそうだ。しかし,あと少しで旧神であるセトが勝ちそうというところで忽然と消えたらしい。それで徐々に押されていき,創世神側の勝利となった。


「創世神話にはそんなこと,書かれていた記憶はないんですけどねぇ」

「人間は都合の良いものしか記録に残さないもにだよ。信仰している創世神が負けそうになっていたなんて聞きたくないよ」



 リリスは,そこからマリーの研究所に(こも)って【神殺しの光】の再現をするべく,解析を始めた。


「ここの兵器たちには本当に苦戦させられたよ!もう,今すぐぶっ壊したいくらいにさー」

「こっちだってわたくしの愛していた兵器を何体も壊されたんだよ?」

「そういえば,二人も参加した戦争って何万年前くらいに起きた話なの?」

「「十億年前だけど?」」


 それが何かといったような口調と表情で話していたのだからたかがおよそ二十年しか生きていないリリスにとってはびっくりな話である。神である碧帝は置いておいて,マリーは普通の(?)人間だ。よくそんなに効く不老の薬を開発できたなぁとリリスは思った。


 何時間かした後,座っていた椅子の後方からものすごい轟音がした。何かと思って後ろへ振り向くと,そこにはカーティスがいた。どうしたのかとリリスが聞くと,彼はリリスを探しにきたと言っていた。


「もうっ,長時間どこかに行くなら僕に言ってよね!」

「あははは……ごめんなさい」


 リリスは彼に叱られて,少ししょんぼりしていた。が,カーティスは笑って許してくれたのでもう気にしないことにした。カーティスに時間を尋ねると,もう十六時だと言う。そんなに時間が経っていたのかと思ったリリスは,マリーに感謝をして,研究所を出た。


 * * * 


「見てよリリス!海底魔法図書館だって!」

「すごい豪華だね……」


 二人で見て回っていると,意外と魔術書や創世神話があったりする。カーティスは魔法が使えるので,魔法と魔術の組み合わせ方を魔術書を見て考えていた。リリスも,カーティスの見ていた本を見て,新しい術式の方法を考えたりたまに雑談をした。

 もう人が結構いなくなって,夜なんだなぁと悟る。朝昼夜が分けられていなくても,なんとなく寝る時間というものは決まっているのだろう。


 リリス達も,帰ろうとしていた時,後ろから妖艶な声で話しかけられた。


「君たち,地上からの旅人さんよねぇ?」

「そうですけど……」


 リリスがそう答えると,一冊の本を手渡された。

 その本の表紙には『二神戦争』と書かれている。渡されても……と困った表情をしたリリスを見て,妖艶な女はリリスの唇に人差し指を触れさせた。そして,


「貴女達にとっても悪くはない内容だと思うわ?それじゃあ」


 そう言って,女は消えてしまった。リリスは半ば呆れながら,しかしちょうど暇だったので一ページ目を開いた。カーティスも魔術書の解析が終わって,一緒に見ることになった。


「えーっと,『これは二神戦争の全てを記した物語である A.S.』?何これ」

「うーん……多分だけど,旧神が負けた戦争の話じゃないかな。あとこのサイン」


 そう言って,カーティスはA.S.と書かれたところを指差した。


「これがどうしたの」

「この筆跡,薔薇の書を書いた人の筆跡に似てない?」


 言われれてみれば,そんな気がしてきた。とにかく,その二神戦争とやらが気になったので,二人はその本を見てみることにした。

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