国外追放で海底探索
アトラクションの待ち時間で書きました
「海底古代都市……?」
「そうそう。海に沈められて海の中にそのまま都市が入っちゃった不思議な国なんだよ」
「とりあえず,二人を探さないとっ」
どうやら,船が沈没して海の中に辿り着いてしまったらしい。他の乗客らしき人はいるが,カーティスとジェイクは見当たらない。上を見てみたが,光は差し込まれていなかった。
なぜ海中なのに息や会話が出来ているのかという疑問を抱きながら,探索を始めていったリリスだった。
「他の建築物は地上と変わらないんだね。というか,こっちの方が進んでる気がする」
「電脳の国とか機械仕掛けの国辺りはこの神話を基にして構成してるらしいよ」
「最先端の国でも神話で構成されているんだ」
さらに泳いで見ると,古代兵器と思われるものや技能書が落ちているところを発見した。【仮想兵器】のストックにも役立ちそうだと,古代兵器の山を荒らしていると誰かが話しかけて来た。
「こういうのはに興味あるの?」
「そうだよ……って誰!?」
後ろから話しかけて来た幼女はマリーと名乗った。山のようにある兵器を造っている,研究者だと言っている。見た目年齢が十歳くらいの女の子が兵器の開発など出来るものかと思っていたリリスだったが,
「わたくし,研究の成果で不老になってるの!すごいでしょっ」
とのことだ。確かに,話し方や雰囲気のそれが,普通の年齢とは異なっているような気がする。前に出会ったドミニクが不老不死だったこともあり,その事実は意外とすんなり受け入れることが出来た。そして,人を探しているとマリーに伝えると,彼女も探すのに協力してくれることとなった。
「あっ,ここじゃない?」
「これは……なんていう建物なの」
マリーはカフェに入ると,リリス達が今いる都市について説明をしてくれた。
ここは古代技術と魔法が混合された都市であること,リリス達の持っている古代兵器は『魔法』を入れることによってさらに強化されること,この海底都市ができたのは神が戦争に負けたからだということを教えてくれた。
「で,質問はないかな?」
「えっとさ,まず魔法ってあの魔法?」
リリスが碧帝の方を見てみると,キョトンとしている。魔法がわからないようだ。マリーは逆に魔術が分からないらしく,リリスは魔法と魔術の説明をする。魔術について,理解したマリーは試しに撃ってみなよ,とリリスに言った。すると,リリスの放った魔術は海にかき消されてしまった。
「マリー,なんで魔術が分からないの?」
「多分だけど,新しい神が魔術っていうものを作ったんだよ」
「そうなんだ……あと,さっき言ってた戦争に負けた神について教えて」
その『戦争』という単語を聞いて,碧帝は気まずそうにリリスから目を逸らしていた。おそらく,碧帝もその戦争に関わったのだろう。マリーもその戦争に参加していた内の一人らしい。マリーは,碧帝の方をじっと見つめて,
「わたくしには見えてるよ。創世神に協力した神でしょ,貴女」
「うっ,バレてる……本当に戦った時は申し訳ないなーって思ったんだよ?」
なにがなんだかよく分からないリリスは二人に教えてもらった。この海底都市は旧神___つまり創世神の前に地上を取り仕切っていた神___が支配している。その旧神は,何らかの理由で戦い負けたために,神格を失ってしまったらしい。そして,旧神の使っていた古代兵器を人々諸共で海に沈めたそうだ。
「神の子は知ってる?」
「知ってるも何も,この子が神の子なんだよっ」
碧帝がそう言うと,マリーは驚いてリリス達の方を見た。
「地上の人間からは神の子は生まれないはず……」
「もしかして,悪魔の子のことを言っていたりします?魂を転移させるっていう」
「それよ!まさか,悪魔って呼ばれていたなんて……」
カフェでの会話を終えたリリス,マリー,碧帝は店を出た。すると,何やら人混みがすごいところがあるということに気づく。三人は興味を示さなかったので次の場所へ行こうとすると,男性の声が聞こえた。
「リリスっ,いるよね?ま,魔術が使えないんだけど」
「カーティス?どうしてそんな人混みにいるの……」
その人混みの理由が,カーティスとジェイクに一目惚れした女性達が集まっているからということをリリスは知らない。とりあえず,再び離れても困るので,マリーに協力してもらってカーティスとジェイクを救出することにした。リリスが人混みの中に入っていくと,女性達の冷たいが突き刺さった。
「(何これー)」
「カーティス君達,モテモテみたいだね。ワンチャン,殺されるとかあるんじゃない?」
「魔術が使えないんだったら,透明化も使えないじゃない……」
リリスが呆れながら中心部へと行った。まだカーティスは気づいていない。人が多すぎるから当然だろうと考えたリリスは大声でマリーに話しかけた。その意図が分かったのか,マリーもリリスの名前を大声で呼んでくれる。それで気がついたらカーティスは,声のする方へと向かっていった。
* * *
「リリスっ!!」
「わっ,大丈夫?すごい囲まれていたけど」
リリスとカーティスがハグしたのを,外野がさらに盛り上げてしまった。正確に言うと,カーティスとジェイクを囲んでいた女性達を完全に敵視させてしまった。
リリスが逃げようとすると,魔法を撃ってくる。しかも,水魔法に氷魔法,挙げ句の果てには炎魔法まであるではないか。
「リリス,魔術は使わないの?」
「ここでは魔法しか使えないみたいっ,とにかく,この人達を撒かないと!」
魔法しか使えないと聞いて,カーティスは少し悩んでいる。走りながら考えた後,彼はリリスにある要求をしてきた。
「あのさっ,魔術が使える,壊れてもいい杖ってない?」
「杖?それならこれ使いなよ」
そう言って,リリスは【変幻変化の杖】を虚空から取り出した。その杖は,攻撃を標的に当てる,もしくは敵の攻撃を避けることで威力がさらに増していくという魔道具だ。とても貴重なものだったが,別に【仮想兵器】で造ることができるので構わない。
彼女からもらった杖を,カーティスは後ろにいる女達に向けて,
「対象,目の前にいる女性達へ奇跡の力を,【バースト】!!」
カーティスが言ってから,何故か攻撃の雨が止んだ。その隙に,リリス達はホテルへ逃げることに成功した。
リリスは疑問に思っていることがあった。ヘレンが言っていた,『基本的に魔術を使う人は魔法を使うことができない』というルールに,何故カーティスが適応されていないのかという疑問である。
魔法の国でカーティスが魔術で魔法の解析に成功したことを,リリスは知らないので,ずっと疑問に思っていた。そしたら,マリーが代わりに質問をしてくれた。
「地上の人でしょ?よく魔法なんて使えるよねー」
「もしかして,私達,地上人が魔法を使えないのって旧神と創世神が仲悪いからなんですか?」
「だいせいかーい!!」
カーティスは素直に答えていた。魔術で解析をした,と。リリスも,魔法を使いたいと思い,解析しようとしたが碧帝に半眼で見られた。
「リリスは神の子だよね」
「そうだけど?」
「はぁ…………リリスはしかも,創世神の方の神の子なんだよね」
「うん……あっ」
リリスは碧帝にそこまで話されてやっと気がついた。旧神と創世神は仲が悪い。仲が悪い人の子供に自分の造ったものを使わせるだろうか?まあ,そういうことである。
「うわぁ……私も魔法,使いたかったぁ!!」
「地上人で魔法を使えるのって,ごく一部の天才しかいないだろうから……どんまい」
マリーにそう言われて,リリスは頬を膨らませていじけてしまった。
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