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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
華國編
71/106

国外追放と華國

「リリスー!なんか面白そうな骨董品があるー」

「どれどれー……それ,仏像だね」

「「何それ?」」


 欧州出身のカーティスと,自分たちの神話と創世神話しか知らないとのことである。


「それは『仙人』になったとされている人間の像だよ」

「仙人?」

「僕たちの国で信仰されている神話なんですけど……まあ,この国でしか信仰されていないですからね」


 翠蘭と春雷(チェンレイ)は華國で信仰されているという道教の説明を受けた。その宗教は,仙人となることが目的らしい。


「仙人ってどうやったらなれるんですか?」

「うん?えっとねー,一級魔術師か同等の力を持って生き埋めになることだよ」

「「「「えっ!?」」」」


 生き埋めという言葉を聞いて,四人は目を丸くしてしまった。翠蘭と春雷は何を驚いているのかというような不思議な顔をして首を傾げる。


「そんなに変なこと言ってる?」

「言ってますよ!生き埋めって……物騒すぎませんか!?」

「仙人になるってことは神になるってことに等しいんです……生き埋めは良くないと思うんですけどね」


 神様であるゼルセピナとプレーメスは完全にドン引きしていた。なんて恐ろしい文化がこの国にはあるのだろう,とでも思っていそうだ。


「なんか……大変そうだよね。修行とか」

「一級魔術師か同等の力ってことは……翠蘭さんと春雷さんはもう条件に達しているんですね」

「うん,そうなの!」

「どうして生き埋めにならないんですか?」


 カーティスが尋ねてみた。翠蘭は呆れた顔をして話し始めた。


「だってさー。私達,()人 (・)だからねっ☆」

「罪人?何をしてしまったんですか」


 正直なところ,春雷は置いておいて,翠蘭は強盗でも殺人でもしていそうな雰囲気があった。しかも,何もしていないような純粋な笑みで,だ。


「何もやってないよー……冤罪だって」

「冤罪?」

「あははー……お偉いさんに罪を擦りつけられてしまいまして」

「そのお偉いさんって誰なんですか」


 春雷の『お偉いさん発言』が気になったリリスは小声で彼に聞いてみた。すると,彼は翠蘭以外の四人を集めて小声でその人物を説明した。


「(あのですね……この国の皇帝です)」

「今,なんて言いました?」


 信じられない様子のゼルセピナは二度目を聞く。


「(華國の皇帝です)」

「「はぁっ!?」」

「驚いたでしょー。ちなみに私達は強盗に殺人三件に横領の罪まで被せられてるー」

「そんな呑気に話している場合ですかっ,早く冤罪を解いちゃいましょうよ!!」

「軽いノリで冤罪解けてればさっさとやってるよー」


 四人は少し話し合いをした後,翠蘭兄妹の冤罪を解くことに協力をすることにした。


「そちらの方々も協力してくれるんですか?」

「もちろんだよっ!翠蘭ちゃんに春雷くん!」

「えっと,推理とかは苦手かもしれないけど……頑張るよ」


 ゼルセピナとプレーメスが自己紹介をしたところで,六人は冤罪の証拠を集めるために街を歩き始める。


「まずは真犯人の皇帝とやらに会いに行こうかな?」

「どうやって会いに行くつもりなの」

「簡単でしょ?殴り込みに行けば……」

「そんなんしたら死刑確定ですよ!!」


 ゼルセピナの脳筋アイディアについ半眼になってしまっていたカーティスは,一つ提案をしてみることにした。


「あのー……潜入とかはどうですか?」

「どこに潜入するの?……あっ」


 何かに気がついた翠蘭が気まずそうにしているが,何かよく分かっていないカーティスと翠蘭以外の四人はポカンとしていた。二人は視線で話し合っている様子だが,沈黙が続いてしまっていた。


「カーティスの作戦を教えて?」

「えっと,後宮に潜入すればなんか警戒も薄くなりそうだしー……問題は人なんだよ」


 後宮は皇帝の愛妾や王妃が住んでいるところといつか読んだ本に書かれていた。つまり,完全男子禁制なのである。この中にいる女性は三人しかいない。リリスかゼルセピナか翠蘭だ。


「私が潜入するとか……論外でしょ,追われている身なのに」

「ゼルセピナは論外だと思うよ。後宮にいる全員を殺しかねない」

「……じゃあ,私ってことになるのかな?」


 沈黙が流れてしまった。全員,リリスには入ってほしくないという気持ちがあるのだろう。


「えっと,別に潜入だけが冤罪を解けるわけじゃないし,別の方法を探してみてもいいんじゃないかな?」

「……ごめん,リリス」


 カーティスに謝られてしまった。とりあえず,何か証拠を掴むために二人ずつに分かれて捜索をすることにした。


「カーティスとゼルセピナさん,翠蘭さんとプレーメスさん,私と春雷さんのペアでいいですね」


 ということで,春雷と一緒に証拠を探すことになったリリスは怪しそうなところを彼に聞くと,

「そうですねー……貧民街辺りが怪しいと思いますよ」

「皇帝が貧民街?どんな繋がりなんですか,それ」

「あの人,結構女性関係が酷いらしくて……わざわざ貧民街まで行って女性に手を出しているとか噂聞きますからね」

「えぇ……」

「そろそろ着きますよ。なにか盗まれるかもしれませんから,持ち物の管理には気をつけてください」


 そう言われて数分後,いかにも治安の悪そうな場所に到着してしまった。リリスが春雷の方を見てみると,慣れたような顔で歩いて行ってしまう。


「おぉ,春雷じゃん。何してたの,隣にいるの彼女?」

「違うよ。冤罪の証拠探してるところ」

「春雷さん,お知り合いですか?」

「友人です……僕と翠蘭もこの街出身なので」


 その事実にリリスは驚いてしまった。春雷は丁寧な言葉遣いや態度だったのでてっきり貴族出身かと思っていたのである。春雷はガラの悪い男に情報を聞き出していた。


「ありがとう。少し助かったよ」

「いいよ……嬢ちゃん,この街は気をつけなよ」

「?」

「君みたいに顔のいい女性だと誘拐されることとかよくあるからな」

「そうなんですか」

「あぁ,誘拐される先は分かるか?」

「臓器売買とかですか」

「それもあるが……後宮だ。あそこに連れて行かれたら終わりだよ。しかもあの皇帝じゃん?」

「やめろ。リリスさんが青ざめているじゃないか」


 どんなに恐ろしい皇帝なのかを想像してしまった。強盗に殺人,そして女性関係も酷い。


「さっさと証拠になりそうなものを集めて別の場所に行きましょう」


 リリスは何も言わずに頷いて,春雷の隣を歩いた。


 * * * 


「結局,何も見つかりませんでしたねー」

「ここにくれば何かあると思ったんだけど……流石に隠されているか」

「強盗に殺人はまずいですもんねー……ん?」


 ここに来て,リリスは疑問を抱いた。その内容は皇帝の犯したとされる罪の内容。

「殺人に,強盗……?」

「何か,不思議なことでもありましたか?」

「いえ……なにも」


 しかし,この貧民街にはまだ何かあるかもしれないと考えたリリスは春雷からこっそり離れてさらに奥へと進んでいった。

「皇帝なのに強盗はおかしい……もしかして,これは皇帝が真犯人って訳じゃない?」


 その瞬間だった。誰か,いや『何か』に背中の方を強く叩かれた。即座に動いて戦闘体制に移るが,驚いて気を抜いてしまった。そこでリリスの意識は途切れ,何者かによって運び出されてしまった。

 その時に見たのは,カーティスが見つけた仙人像にそっくりの女だった。



「次は宮殿近くのところに聞き込みに……リリスさん!?」


 リリスは【幻想術式】で春雷の目を欺いていた。だが,彼女の意識が途切れてしまったことで,自動作動術式ではなかった【幻想術式】は解除されてしまう。

 春雷は慌てて貧民街まで戻ってリリスの魔力を辿った。

「こんなに奥のところまで来ていたんですか……ここで魔力が途切れている」


 魔力を操作するにはたった一つしか方法がない。それは,操作される側よりする側の魔力が多いということだ。リリスの魔力は普通の一級魔術師ではありえないほどの量だ。そして,あの仙人像を思い出してしまった。それは『壊れた女神』。主神になりながらも人間に操られている未完成な神。


「もしかして……あの碧帝が誘拐……」

 碧帝は『壊れた女神』の別名だ。


 とにかく,非常事態になってしまったために,春雷は他のペア達を探すことにした。

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