国外追放と神と森
「えっと,指輪。はめてもいいかな?」
「いいよ」
リリスにそう言われたカーティスは,リリスの薬指に指輪をはめた。
「似合ってる……?」
「すごい似合ってるよ。それじゃあ,明日に向けてホテルに行こっか」
明日はリュミエールを出る日だ。寝坊しないようにリリスはホテルに到着すると,すぐにベッドに入ってしまった。それを確認したカーティスはリリスの顔を触って楽しんでいた。
「ぷにぷにしてる……」
「いたいよお……」
リリスは寝言をぼそっと呟いた。その様子を見て,カーティスはさらに楽しむ。すると,リリスはカーティスの腕を掴んでベッドに倒した。
「カーティスも寝た方がいいよー……寒い」
リリスはそう言ってカーティスにすり寄り,抱きついた。
「………っ!」
「カーティス,あったかいねー」
「そう?」
「ほんとだよー……すぅ…」
「寝ちゃった」
カーティスはリリスの頭を撫でて彼女の言う通り,寝ることにした。
「おやすみなさい……ってこんな体勢じゃ,眠れなそうだな」
「すぅ…すぅ…」
カーティスは顔を赤くしながら,諦めてリリスの顔をじっと見ていたのだった。
* * *
「おっはよー!」
「おはよ……」
リリスはノリノリでそう言った。カーティスもいつの間にか寝ていたらしく,寝不足のような症状はなかった。
「それじゃあ,行きますか」
二人がホテルを出ると,アンネとオリビアが立っていた。
「やっと出てきましたね……!このまま部屋に突撃してしまうところでした…」
「それで,カーティスさん。プロポーズはどうなりましたか?」
「成功しました!応援していただき,ありがとうございました」
「えっ,アンネさんも兄さんも知ってたの……?」
そこから少し談笑していると,アンネは悲しそうな表情になった。
「あの…旅をしているんですか?」
「はい。祖国に帰るまで,続けるつもりです」
「本当に行っちゃうんですか!その,私たちの国に住むつもりはありませんか!!」
リリスは驚いた。今まで,引き止められたことがなかったからである。
「冤罪の国外追放で旅をしているんですよね。私たちの国だったら,幸せに暮らすことができますよ」
アンネはリリスに抱きついて,泣き始めた。相当,別れたくないらしい。
「………アンネさん,ごめんなさい。私は,旅を続けたいんです」
「…………」
アンネは泣くのを止めて,笑った。少し潔さそうな微笑みを浮かべている。
「そう,ですよね」
「なんか,ごめんなさい」
「もしよければ……!いつか,交信術式で話しませんか!」
リリスはそれを笑顔で受け入れて,国を去った。
「ねえ,二人とも。なんか前に見た時よりもラブラブしているけど……何かあったの?」
ジェイクが尋ねてきた。カーティスは少し照れながら,ジェイクに『結婚報告』をした。
「実は……僕たち,結婚したんだ」
「そうなんです」
「えぇ……この数日間に何があったんだよ……」
「「なにもなかったよ!!」」
「絶対に何もなかったらそうはならないんだって!?」
ジェイクのツッコミが炸裂したが,全く気にしない様子のリリスとカーティスだった。そうして,ジェイクの馬車に乗った。
「さあて,次の国はどーこだっ!」
「ノリノリだねー。うん?」
ジェイクは馬車を停めて,扉を開けた。
そこから見えたのは,一面の森だった。
「また森なんだ……」
「なんか,霊とか出ないでくれると嬉しいんだけどねー……」
カーティスが少し嫌そうに呟いている。
『君達は誰かな?』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
リリスは絶叫して地面にへたり込んでしまった。
『大丈夫かな,立てる?』
「ありがとうございます……」
リリスに手を差し伸べてくれた人間はなんだか神々しい雰囲気を醸し出している。
「えっと,ところで貴女は誰なんですか?」
『私は,ゼルセピナって言います。よろしくね☆』
「ここはどこなんですか?」
カーティスがゼルセピナと名乗った女性に質問をした。
『ここは『神々の森』。文字通り,神が住んでいるんだよ。それより……すごいねー。こんなところに迷い込めるなんて。二人は魔術の才能があったりするんじゃないの?』
「「ということはー?」」
『神様だったりするんだよねー。私も』
少しの間,沈黙が流れていた。二人が理解できていなかったというのもあるかもしれない。
「神様!?なんでそんなに軽いノリで神様やっているんですか!!」
「そういえば,ジェイクはどこ?」
カーティスが辺りを見回したが,どこにもジェイクが見当たらない。
『あら,友達さんがいたんだね?多分,魔力が足りなすぎ別の所に行ったんじゃないかな?』
ゼルセピナは変わらない口調で,話を続ける。
『足りなすぎというよりも……君達が多すぎるんだよ。女の子の方は素が多すぎる。男の子の方は……素の魔力に加えて二つの魔道具にサポートされているわね。けど,二人の技術は相当高いわ』
「ありがとうございますっ!」
『君達,この森に迷ったんだよね?』
「は,はい……」
『この森,最低一週間は出られないようになってるから』
ゼルセピナは笑顔でリリスたちに提案をした。
『私が案内してあげるよっ☆』
「「お願いしますっ!」」
二人は大声でその提案を受けた。
* * *
『ここが私の家です!今日はここに泊まってねー』
ゼルセピナはリリスたちにそう言うと,どこかへ行ってしまった。
「なんか,神様が色々いるって……不思議だよね」
なぜか疲れてしまったので,二人はベッドに入って眠りについた。
『ふーん。『神の子』に,『神の子と同等の存在』か……もう一人は人工的な神の子だけど,これを創世神は許してくれるのかな?』
ゼルセピナは独り言を漏らしていた。
『そんなに僕の気が短いって思ってるの?』
『……っ!?』
『そんなに驚かないでよ。で,カーティス君を許すかって?』
『……あんなに娘さんに執着してたのに,意外だと思ったんです』
神はゼルセピナに向けて暇そうに話す。
『カーティス君はいい人だからね。全然許容範囲だよ』
ゼルセピナはそうですか,とだけ言って彼に背を向けた。
『二人のことは頼んだよ』
『わかりました』
⦅どうして自分は関与したがらないのだか⦆
そんなことを考えても無駄だと思ったゼルセピナは,彼女の家へ帰って言った。
どうでしたでしょうか?
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