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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
魔法使いの国・マギー編
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国外追放と魔法使い

 フリューリンクを出発してから一週間が経った。しかし,まだジェイクの言っていた都市は見つからない。


「ジェイクさん,もしかしてとんでもなく遠いところを見ちゃったのかな」

「確かにー。それとここまで来ても誰もいないのはおかしいよね」

 そう言ってカーティスは辺りを見回した。


 フリューリンクを出てから一週間,今の今までで集落や小国にも出会わなかったのだ。疑問に思ったリリスだったが,さらに衝撃的なことが起こる。


「人がいないのに魔力の放出量が凄いことになってる……」


 通常,魔術では魔力の放出量を抑えることによって沢山の術式を同時に出すことができる。しかし,今リリスが感じ取ったものにはその行動が見られない。

⦅魔力を無自覚のうちに放出する人はいるものの,ここまでの量となれば二千人くらいいてもおかしくない……⦆


 リリスが考察していると,ジェイクが大声で言った。


「なんか着いたみたいだよー」

「……?さっきまで何も見えなかったのに」

「おかしいね…けど,とりあえず入国してみよっか」


 入国審査を終えて国に入ってみたが明らかに異様な光景が広がっていた。地面がないのだ。


「あれ…ここってもしかして天空都市?」


 世界の七不思議にも選定されているほどの存在するかも怪しまれていた都市が『天空都市』だ。

「ちょっと俺,飛行術式が少ししか使えないから,先に出国してるね」


 そう言ってジェイクは先に行ってしまった。残されたリリスとカーティスは飛行術式を使い,じっくりと国を回ることにした。

「他の人たちは飛行術式使えるんだねー。使える人は少なかったと思うんだけど」

「確かに…さっきの魔力の出所もここっぽいし」


 二人が話していると,前に女性が現れた。

「観光客?ここに来るなんて珍しいねー。あ,私はここで『魔法』を教えているヘレン・アンドレアよ。よろしくね!」

「魔法…ですか?」


 リリスは驚きすぎてつい聞き返してしまった。この世界には魔法の代わりに魔術というものがあると思っていたからだ。リリスの質問に,ヘレンは丁寧に答えてくれた。


「そういえばこの国以外では魔術が主流だったわね。簡単に言うと,魔法は『奇跡』の力を借りて魔力を感覚で放つの。私はその『奇跡』の力について研究しているのよ」

 リリスは首を傾げながら言う。

「じゃあ,この国では魔術を使っている人はいないんですか?」

「研究している人はいるんだけどねー。けど生まれつき『奇跡』の力を与えられているから。あっ,この国では聖女信仰されているからもし聖女が嫌いだとしても口にしちゃだめだよ?」

「ヘレンさんは嫌いですか?」

「私?もちろん嫌いだよ。先代の聖女は良かったと思うんだけどねー。性格悪そうじゃん?」


 マリアは他の人から見ても性格が悪そうという印象を抱かれてしまうらしい。まあ,リリスには関係ないことだが。


「じゃあ,私が案内してあげる?」

「「お願いします!」」


 こうして,魔法の国・マギーにいる間の案内をヘレンに任せた。

「えーっとここが魔法学校になっているんですね!」

「そうそう。ここが国で一番魔法を教えている『国立・マーギア魔法学園』なのですっ!!」


 リリスとカーティスが見下ろすと,そこにはとても大きな建物の数々があった。おそらく研究施設と併設してあるのだろうとリリスは考えた。

「ローゼンタールの学園よりも大きい……」


 そう言うと,ヘレンは思い出したかのように話した。

「そうそう。今,ローゼンタールから第三王子などの貴族様たちと聖女様が来ているんですよー」


「は?」

「リリスさん!殺気!聖女様の前では抑えてくださいねー」

「……って,私達も会うんですか!?」


 気づくと学園の中に入っていた。ヘレンが入れてくれたのだろう。


「もしかして聖女様,苦手?」

「はい。あの女のせいで結構大変だったんですよ」

「リリスがそこまで言うって……まあ内容は知ってるけどさ」

 講堂に連れて行かれたリリスとカーティスは中を見回して驚いていた。

「広っ……」

「謁見の間よりも大きいかも。よくこんな施設を建てれましたね」


 ヘレンは明るい顔で語り始めた。

「そうですよねっ!私の父が設計したんです……」

 そして父という単語が出ると,少し悲しげな表情をしていたのでリリスは何があったのかを聞いてみた。


「どうしてそんな悲しそうな表情をしているんですか?」

「……昨日,私の父が処刑されたの」

「処刑?なんでそんな…」


 開き直ってヘレンは笑い始めた。

「ははっ,私と父さんで魔法の研究のために決闘をしていたんだけど,そこに聖女が現れたのよ。対処しきれなかった父は彼女に魔法を当ててしまった」

「けど,それだけでは処刑にはならないと思いますよ」

「そうかもね。けど周りが許さなかった。特に第三王子が酷かったわ,処刑しろってね。けど私たちは逆らうことができなかった。ローゼンタールには魔力を操作する一級魔術師がいるって聞いたから」


⦅まあ,そんな一級魔術師も国外追放にされているんだけどね⦆

「それで……お父様の最期の言葉は?」

「……何も言わせずに処刑されたわ。その事故があってから三時間で」


 この話を聞いたカーティスはヘレンに頭を下げた。

「僕の弟が失礼なことを…頭を下げて許される話ではないと思いますが…」

「謝らないでください,っていうか弟?」

「はい。カーティス・ローゼンタールです。よろしくお願いします」


 それを聞いたヘレンはリリスの脇腹辺りを小突いてきた。

「リリスちゃんの婚約者さん,いい人だねー」

「婚約者じゃないんですけど……遺言聞かなくてよかったんですか」

 ヘレンは俯きながら言う。

「よくないよ。けど,死んだ人は戻らない。神の子か同等の存在じゃない限り,前世の記憶を持ったまま転生できない」


 その言葉を聞いてリリスは笑顔を見せた。そしてとある場所に交信術式を送った。

「ヘルー。今,屋敷にいるの?」

『うん,いるいるーどうした?』


 リリスはヘレンの父の話をした。それを聞き終わったヘルは考え込んでいた。

「でさ,そのヘレンさんのお父様ってもう死者の国に行っちゃってたりする?」

『うーん。分かんないけど少なくとも裁判はやってないよね,ゲーヘナ?』

『…はい。そのような名前は聞いたことがありません』

「ありがと」

『じゃあこっちからも聞くよ。ねえねえカーティス君,リリスと付き合えた?どう?』

「あっ,はいちゃんと付き合えましたよ」

『まじで!?よかったねー!あっ,裁判始まっちゃう。じゃあまた今度ねー!』


 ヘレンは怪訝な顔をしてリリスに質問する。

「今ので何がわかったの?」

「見ててね……【死霊使い(ネクロマンシー)】」

 そう言うと,ヘレンの父が現れた。


 今回は死霊が苦手なカーティスも怖がっていなかった。

「なんで……?」

「ヘレンさんと似ている魔力を探したんですよ」

「話せるの?」

「はい。少し外見は変わっていると思いますが本人ですよ」


 ヘレンは父親のもとに寄って行った。そしてハグをした。

「お父さんっ…!元気だった?」

『元気だったも何も,死んでいるから変わらんよ』

「相変わらずだねー」


 リリスは申し訳なさそうに言う。

「盛り上がってきたところすみませんがあと一分程度でこの術式の効果が切れてしまいますので,伝えたいことがあったら言っておいた方がいいですよ」


『すまなかったね。ヘレン,君は権力に負けないようにしなさい』


 そう言われたが,ヘレンは笑顔でこう返した。


「そんなの当たり前じゃない。お父さんも解明できなかった謎,私が引き継ぐから」

 ヘレンのその言葉を聞いて,彼女の父は安心していた。そして,二人は最後にハグをした。


『娘と話させてくれてありがとう。これで成仏できそうだよ』

「いえいえ。私も彼女に助けられたので。冥界に行きたいのなら,ここから東に行くと死者の国があります。そこに私の知り合いがいるので。それでは」


 リリスがそう言うと,父親は消えていった。


「リリスちゃん,本当にありがとう……それじゃあ,行こっか。聖女様のところへ」


「えっ!?本当に行かないといけないんですか?」

「行かないと本当に殺されちゃうわよ」

「リリス,がんばろーねー」


 三人はそう言いながら謁見の間へと入っていった。

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