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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
霧の国・マジェスティア編
32/106

国外追放で聖地巡礼をするⅡ

 リリスとカーティスは塔を下り,ホテルへ帰ることにした。

「はっ!!そういえばカーティス,ホテルにチェックインした!?」

 リリスがそう言うと,カーティスは急に焦ったような表情になっていた。

「あぁっ!そういえばホテル決めてない…」


 塔を降りるときにどこら辺のホテルに泊まるかを決めた。そして場所を決めて,塔の下にいた女性におすすめのホテルを聞いてそこに泊まることにした。


 ホテルに着いて,リリスは買っていた夜ご飯を食べた。

「うーん…もっと買っておいた方がよかったかな…?」

「リリス夜ご飯買ってたの!?」

 どうやらカーティスは買っていなかったらしいので,分けてあげることにした。


「……食べないの?」

「リリスが食べさせてくれれば食べる」

 カーティスは少しむっとした顔でそう言ってきた。リリスはカーティスの夜ご飯を抜かせるつもりはないのでフォークでパスタを食べさせてあげた。

「んー!美味しいねー。リリス,ありがとっ」

「いいけど…なんでこんなことしたの?」

 リリスがそう言うと,カーティスは食べながら答えた。

「……リリスはもう少し僕と付き合っているっていう自覚を持った方がいいかなって」

「どゆこと?」

 リリスが首を傾げると,カーティスはため息を吐きながら話し始めた。

「はぁ…あのね,気軽に男の部屋に入んない方がいいよ。何されるかわかんないし」

「ギルバートさんのこと?だったらあの人は何もしてこなかったよ?」

 カーティスは呆れた表情しながら言う。

「…そうなんだろうけどさ,だからって他の人が何もしないってことにはならないでしょ?」

 カーティスはそう言って立ち上がり,リリスの座っていた席に近づいて,後ろから抱きついてきた。

「え,ちょっ…カーティス?」

「……嫉妬したから。栄養補給」


 十分(じっぷん)くらい,この時間が続いた。リリスがカーティスを見てみると,笑顔で抱きついている。

「…もう栄養補給は終わった?」

「うん。あれ,リリスどうしたの?」


 カーティスがリリスを見るために上を覗くと,机でうずくまっていた。

「カーティスも,私が彼女だからって無防備すぎると思うんだけど…」

 リリスがそう言って,地面の上にしゃがんでいたカーティスに目を合わせた。


「あのさ,…他の人にはこうやって抱きついたりしないでね?その……嫉妬しちゃうから」

 カーティスはそう言われて目をぱちぱちとさせた。そして歓喜の声を上げた。


「リリス!?やったぁ!ついにリリスが嫉妬っていう単語を使った!もちろんリリス以外にはこんなことしないよっ」

「……しないならいいんだけど」

 そう言ったリリスの顔は少し赤かった。


「全然関係ない話するんだけど」

「どうしたのさ」

 リリスはそう前置きをしてカーティスに質問をした。

「カーティスってこの旅を始める前は髪を伸ばしていたと思うんだけど。なんで切ったの?あっ,私はどっちでも好きだからね」


 カーティスは微笑みながら言った。

「馬車に乗っても全然その話題に触れてこなかったからてっきり興味なかったんだと思っていたよ」

「あのときは興味なかったんだけど,ちょっと気になってきた」


 リリスがそう言うと,カーティスはさらに口角を上げた。

「ふふっ,やっぱり可愛いなぁー」

「早く話して?」

「いいよー。けど僕が髪を切った理由とかなんとなく以外の理由がないんだけど」

「なんとなく?どうして?」

 カーティスは話を続ける。

「何て言うか…父上にそう命令されたから理由は父上しか知らない」

「へぇー」


 そんなことを話しているとリリスは段々と眠くなってきた。

「リリスー。聞いてる?」

「…………」

 カーティスが座っていたベッドから立ち上がりリリスの顔を見ると,完全に目を(つぶ)っていた。それを見たカーティスは,彼女に布団を被せて自分のベッドに戻った。


「やっぱり僕の彼女(リリス)は可愛いなぁー」


* * *


 リリスは自然と目が覚め,朝食の時間までホテルの周りをぶらぶら歩こうとしていた時だった。

「僕も……連れていって」

 カーティスが死にそうな声で言った。

「いいんだけど…今にも死にそうだけど,大丈夫?」

「大丈夫,大丈夫ー。これが通常だから」

 カーティスの着替えを待ち,終わると部屋を出てホテル周辺をぶらぶら歩くことに決めた。


 そして歩いているとリリスは女の子とぶつかってしまった。

「ごめんなさい!…ってクレアさん?」

「なんだ,リリスさんか」

「リリス,知り合い?」


 リリスはクレアと出会った経緯を説明した。

「案内してくれたんだ。ありがとうございます,クレアさん」

 そしてカーティスは疑問を投げかけた。

「ところでなんだけど…何で宮廷に入れるの?女王の子供とか?」

「さあ?私にもよく分からないんだよね。クレアさん?」

 リリスがクレアに質問しようとしていた時には彼女はもう消えてしまった。


 その後は何か起こることもなく,無事に帰ってくることが出来た。そして朝食を食べ,聖地巡礼を再開した。


「次はどこ行く?カーティスが決めてー」

「はいはい…うーんと,この近くに『生誕の薔薇園』があるみたいだね」


 生誕の薔薇園(ばらえん)とは,魔女と呼ばれた魔術師が刺されたときに彼女が最後の力を振り絞って薔薇を咲かせた場所だ。その薔薇は魔女が死んでから千年の時が経っても枯れることはなかったという。


「史実だとこの地で死んだとされるのはマジェスティアの建国者,つまり初代女王なんだってね」


 生誕の薔薇園はホテルの近くにあったので歩いて十分ほどで到着した。

「そして,絶対的な魔力を持っていた女王が最期に魔術をかけた。それは毎年,女王が死んだ日に二輪の薔薇が咲くという術式」


 リリスがそう言うと,カーティスは薔薇を触りながら彼女に話しかけた。

「けどさ,それってすごいロマンチックじゃない?」

「なんで?」

「だってさ…薔薇の二輪の花言葉には『この世界にはあなたと私2人だけ』って意味があるんだよ」

「へぇー」

 リリスはカーティスを見つめながらそう言った。そして薔薇園の中央まで行くと,クレアとギルバートが立っていた。

「クレアさんとギルバートさ…」

「さて,リリス。もう戻ろうか!ここにずっといると次の所も回れないでしょ」

 カーティスが手を引き,頑張って中央に行かせないようにしている。


「あ!リリスさんだ!」

 そう言ったのはクレアである。

「リリスさん,リリスさん!私達も一緒に回らせて下さいな!」


 クレアにそう言われ,首を縦に振ろうとした。

「僕とリリスは今デート中なんです。ごめんねクレアさん?」


 カーティスがそう言うと,困った顔をしながらクレアはこう言った。

「カーティスさんだっけ?ごめんね……二人の仲を邪魔するのが私の仕事なのっ!!」

 クレアはそう言って懐から杖を出した。そして,ギルバートをリリスの方へ突き飛ばして詠唱を始めた。

「待って待って,待って!」


 そう言ってリリスは虚空から杖を取り出したが時すでに遅しだったのだ。


「【転移】!!」

 クレアがそう言うと,リリス達は光に包まれた。


 * * *


「……さっきまで薔薇園にいたと思うんだけど。ここはどこ…?」

 リリスは頭を抱えながら,辺りを見回した。行った覚えはない。

⦅多分クレアさんの【転移】でどこかに飛ばされたんだろう…⦆

 そう考えていると,声がもう一つ聞こえた。

「リリス……さん?」

「ギルバートさん!?他の二人はどこに…」

 他の二人もいるのかと思い,辺りをもう一度見回すが,ギルバート以外には誰もいない。

「多分ここはマジェスティアの外だと思います。こんな場所,マジェスティアでは見たことありません」


「……とりあえず,夜になっているみたいですしホテル探しでもしますか」


 こうして,クレアによって飛ばされた二人のちょっとした旅が始まったのだった。

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