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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
霧の国・マジェスティア編
31/106

国外追放で聖地巡礼をする

3500字あります。

 リリスは城を離れた後,走って約束の場所に向かった。そしてここでも方向音痴が出てしまった。

「あーもう…!なんでこんなに道に迷うんだよ!」

 少し苛ついたリリスだが,マジェスティアの人たちに道を教えてもらい,なんとか目的地に辿り着いた。

「リリスー?遅かったね」

「はぁ…はぁ…道に迷っちゃって…」

 リリスがそう言うと,カーティスはくすくすと笑っていた。

「いや,リリスらしいなぁって。ちょっとドジなところも可愛い…」

 リリスは辺りを見渡した。そして小説の挿絵に描かれていたものとほぼ同じ景色が見えた。

「本当に『出会いの遺跡』そのまんまだよねー…ってあれ,ジェイクさんは?」

「えっと…ジェイク?あれ?さっきまでここにいたのに」


 どうやらカーティスも知らないうちにどこかへ行ったらしい。

「いやー…この遺跡を見るだけでワクワクしてくるよねー!」

「そうだねー。私も読んでいた時の景色を思い出したよ!あの時は『出会いの遺跡』を見つけるために必死に国内を探してそれに近いところで全巻読んだ記憶があるなぁー…」

 そしてカメラで『出会いの遺跡』の写真を撮った。そしてそこで一時間ほど過ごし,次の場所(スポット)へ行くことにした。そして,次の場所まで歩いていると,カーティスが質問してきた。

「ねえ,何の用事だったの?」

「えっ?いや…えっと…」


 王城に行ったことを伝えてはいけない気がした。しかし用事の言い訳を考えていなかったので焦ってしまった。

「僕はリリスから用事の内容を教えてもらえるまで前を退かないよ?」

 そう言ってカーティスはリリスの前に立った。横を通ろうとしても通してくれない。

「えー…どうしても教えないと…だめ?」

 リリスは少し抵抗があったが,カーティスに上目遣いで頼んでみた。

「……可愛いけど…そんな頼み方をしてもだめだよ」

⦅むー…やっぱり駄目だったかー⦆

 少しいじけながら言い訳を考えることにした。

「えーっと…」

⦅どうしよう!?なにも言い訳が思いつかない!?えーっと,えーっと…⦆


 リリスが言い訳を考えていると,後ろから知っている人が現われた。

「リリスさん?そこで何をしているんですか」

「ギルバートさん…!」

 リリスが今の状況をギルバートに説明すると,すぐに理解してくれた。

「リリスさんはカーティスさんに贈り物をしようとしていたんですが,道に迷ってしまって僕に尋ねてきたんです」

 ギルバートがそう言うと,カーティスは怪訝な顔をした。

「本当に?じゃあ僕に買ってきたっていう贈り物を見せてよ」

⦅贈り物…?そういえばロイ共和国でカーティスに買った指輪があったんだ…⦆


「あっ,そうそう!はい,これこの国の宝石で作ったんだってー」

 リリスの言ったことは事実だった。城へ向かうときに,偶然で宝石を買っていたのだった。

「ゆ,指輪!?」

 ギルバートが驚いていた。

「ちっ,違うんですカーティスさん!あのですね…リリスさんは僕の部屋にいたんですよ!」


 焦ったギルバートが言ってしまった。しかもカーティスは彼のことを魔導士長だということを知らない。


「……は?」

「いや待って,カーティス違うんだよ。正確な魔力測定をしていただけで…実際この宝石はマジェスティアにで買ったんだって!?信じて?」

「…本当に魔力測定をしていただけ?」

 カーティスはギルバートへ向けて質問をした。


「はい。確かに僕はリリスさんに一目惚れしましたけど,普通に魔力測定をしていただけです。ちなみに僕はこの国の宮廷魔導士長です」

「ギルバートさん!?」


 焦ったのだろうか。ギルバートは要らないことまで話してしまった。

「へえー…ギルバートさん?だっけ。悪いけどリリスは僕の彼女だから」

 カーティスが睨みつけている。口元は笑っているが目は笑っていなかった。そしてカーティスリリスの手を引き,ギルバートから離れていった。


「リリス,行こう?」

「う,うん…」

 そう言ってリリス達は走っていった。


 そして次に訪れたのは古びた塔だった。

「結構古いけど…これって入っていいのかな?」

 リリスが呟くと後ろから声がした。

「はい!もちろん入れますよ。……無料でね。ところでお二人さんは恋人同士なんですか?」

 塔の清掃兼案内役をしていると言った女の人はリリスとカーティスにそう尋ねた。

「はい。付き合いたてなんですが…」

 リリスがそう言うと,女性は目を輝かせた。

「こんなにお似合いのカップルは見たことありませんよ!!美しすぎる…!」

⦅あっこれお世辞を言ってくれているな。カーティスとお似合いな訳ないし⦆

 リリスがそう考えていると,カーティスが言葉を発した。

「ありがとうございます。でも僕にはもったいないくらい素敵なんですよ,彼女(リリス)は」

「うわー!?素敵です!!もうお二人さんは性格まで完璧…ってもしかして入場したいとかですか?」

「あっ,はい。二人で」

「はいー!!私はお二人の恋愛,応援していますよー!!」


 塔に入ってからは階段で最上階まで登っていた。そしてその間にリリスが話した。

「カーティス…あの人お世辞を言ってくれていたよね」

「何がお世辞だったの?」

「いや…私ってよく考えたらカーティス釣り合っていないんじゃないかなぁーって思っていたから」

 リリスがそう言うと,カーティスはとても悲しそうな表情をしながら言った。

「僕はリリスと付き合いたいって思ったから告白したんだよ。だから釣り合うとか釣り合わないとかそんな話をしないで…ついでに言うけどリリスは可愛いし性格も良すぎだからね」

「そう?」

「うん」

⦅カーティスはやっぱり優しいなぁ⦆

 そんな話をしていると,塔の最上階に着いた。この塔に登れることを知らないのか,周りを見ても誰もいなかった。


「あぁ…やっぱり聖地巡礼って最高…」

 リリスがそう言っていると,カーティスが近づいてきた。

「カーティス?どうしたの」

「リリス様。俺は自分が死んでも貴女のそばにいます。だから俺を頼って下さい」

「おっ俺!?」

⦅カーティスが…かっこいい!あれっけどどこかで聞き覚えがあるー⦆

 少し考えていたらカーティスが普段に戻った。

「どう?魔女の付き人の真似をしてみたんだけど」

「よ,よかったんじゃない?」

 カーティスの俺発言であまり考えれていなかったリリスは適当に言葉を返してしまった。そして三秒ほど考え,やっとカーティスの言ったことが理解できた。

「あっ,付き人の真似ね?うん。すごい似てた」

「この塔に来たら言ってみたかったんだよねー」

 カーティスは体を伸ばしながら続けた。

「けど,僕は死んでもリリスのそばにいるよ?だから,ちゃんと僕のこと頼ってね」

「いいよ。じゃあカーティスも私のこと,頼ってね」


 そうやって二人が約束した塔の窓からは小説と同じ,オレンジ色の夕陽が見えた。


 * * * 


「はぁ…やっぱ僕って優柔不断だよなぁ…」

 ギルバートがそう呟きながら宮廷内の自室へ戻ろうとしていると少女が話しかけてきた。

「泣きそうな顔をして…何しているの?」

「クレア様?」


 クレアはギルバートの話を聞き,つい苦笑いをしてしまった。

「ギルバート…貴方はもう少し強引になったほうがいいと思うのだけれど」

「で,でもそれで迷惑になってしまう人がいたら…」

「人のことを考えすぎなのよギルバートは。宮廷魔導士長としてもう少し威厳を持った方が良いのではなくて?」

 クレアはギルバートの話を遮り自分の意見を伝える。そして,彼女の話に移った。


「それで?ギルバート,あのリリスとかいう女の子の魔力測定は無事に終わったのかしら?」

 クレアにそう言われると,ギルバートはすぐに仕事の表情へ戻った。

「はい。無事ではないですが…というかなんで勝手に死刑囚のいる監獄へ行ってるんですか」


 クレアは少しいじけながら言う。

「んー。だってずっと部屋の中はつまらないもの。ギルバートだってたまには息抜きしたい気持ちにはならない?」

「なりますけど…少なくとも監獄には行きませんよ」

「それより,無事じゃなかったってどういうことよ」

「えー…あの『石』が割れました。…クレア様から貰ったやつです」

 ギルバートがそう言うと,クレアは目を丸くした。

「あの石は私でも割れなかったはずよ…?」

「はい。それに関しては今後も調査をしていくつもりです」

 そう言ってギルバートはため息を吐いた。

⦅これは残業コースだなぁ…⦆


 ギルバートは諦めの目で雲一つない空を見たのだった。

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