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悪役令嬢は国外追放で旅をする  作者: 駱駝視砂漠
死者の国 ヘルヘイム編
12/106

国外追放で死者と会う

 死者の国(ヘルヘイム)とは,元の世界にあった神話通りだと,ヘルという女神が治めている土地であり,死者が住んでいるとされている。

⦅じゃあなぜ私たちはこの死人の土地が見えているのだろうか…⦆

 その疑問を抱えながらリリスは目の前にある門を叩いた。

「すみませーん!ここの土地の人はいませんかー?」

『どうなさいましたか… まだ生きている人間?どうしてここがわかったのですか!?と,とりあえず中へお入りください』


 中へ入れてくれた老人でも現世生きる人間がここに入れる理由はわからないそうだ。


ちなみにジェイクは心霊系(しんれいけい)のものが怖いらしいので,この国に泊まらないと決め,野宿するらしい


「何もないね…」

『いえ,そんなことはありません。私たちの世界は地下深くにあるので見えないだけです。』

「だったらなんで氷の塔一つだけ地上にあるんですか?」


 その老人曰く,死亡した人間はこの塔をなぜか見ることができるらしい。

 これを目印に冥界へ入るそうだ。


「これ,僕たちが入ってもいいんですか?」

『ええ。人間だと説明すれば死の女神(ヘル)様も強引に連れていったりはしないでしょう』

⦅やっぱりヘルはいるのか…⦆

 リリスが考えていると,目の前の老人が立ち止まった。

『この地下の世界が我々の住んでいる土地,

ヘルヘイムです』

 そう言った老人から視線を外すと,二人は息を呑んだ。


 そこは全て氷と霜で作られていたのだった。

『ここの国の概要を説明いたします。分かっている部分もあると思いますが,聞いてくださると幸いです。

ここは氷と霜,そして死者の魂で作られています。遥か昔,神々に追いやられた女神のヘルが得意の氷属性の魔術でこの世界を築き上げました。それ以降,神々も協力してここを死者の国としました。ここに来た神の子と悪魔の子以外の人間は死者とみなし,僕らの裁きを受け,悪事をしたことが判明したら奥底の【地獄(ヘル)】へ向かいます。また,死者復活も出来ますが…ヘル様の許可を得ないと蘇生できません。これからヘル様の所へ向かいます。』


 十分ほど歩くと,氷でできた大樹が見えてきた。

『私の案内はここまでです。あとは少し歩くと屋敷が見えると思います。そこがヘル様の住んでいる場所です』


 老人__ゲーヘナと言っただろうか…?彼の言っていた屋敷は一分くらい歩くとすぐに見えてきた。


「わぁ… すごい。これは街以上に神秘的…」

「僕は氷魔術をよく使うけど… 今までこんなに精巧な術式は見たことない… ははっ,これを黒い箱に吸収させれば…」

 【竜殺し(ドラゴンストライカー)】を模倣したカーティスですら再現できない魔術らしい。

 屋敷の周辺をぶらぶら歩いていると勝手に屋敷の門が開いた。

「は,入っていいのかな…?」

「勝手に開いたってことは…歓迎しているんじゃないかな?多分」


 不安の感情を胸に抱きながらも二人は屋敷へ入った。

「氷でつくられているのに…寒くない?」

「それも多分ここの魔術師の技量だ。この温度の氷を研究したってことは相当な技術の持ち主だな」


『こんにちはー!ゲーヘナから話は聞きましたよ!私の部屋まで案内します!』

 そう言った女性__いや女の子? は笑顔でそう言っている。

⦅ここの国の人間の声は全員ノイズがかかっている…ゲーヘナの話からするとこの女の子がヘルだからなんとかしてくれないか聞いてみよう⦆


『私はヘルと言います!既にゲーヘナから話は聞いていると思いますが私は一級魔術師です。そこの女性もそうですよね?私は地上の世界を追放されてここにきました。ゲーヘナは私が追放されて初めて来た死人です。その時からずっと,彼を地獄の裁判官として雇っています』

「リリスって一級魔術師だったの…?」

カーティスが驚いているが気にしないでおこう。

「実は私も国を追放されてここまで来ているんです。…あとさっきからこの国の人の声にノイズが混じっているのですがそういうものなのでしょうか…?」

『そ…そうなの?わかったわ。今何とかします』

 ヘルがぶつぶつ何かを言っていた。断片的に聞こえたが,魔力がどうのこうのと言っていた…と思う。

「なんであなた達はここに来たの?現生に生きているのでしょ?」

 ヘルの声からノイズが消えた。恐らく何かを解除してくれたのだろう。

「遠くからでも美しく見えた建物があったので気になりました。ですがなぜここが見えたのか分からないんです…」

「それは魔力の関係だと思うわ。貴方たちは一般の人間の魔力量から大きく外れているの。だからこの膨大な魔術式で作られた世界も見えているんだと思う…」


 ヘルはそこまでそこまで言ってうつむいた。するとカーティスがヘルに話しかけた。

「どうかしましたか?」

「貴方たちは旅人なんでしょ…?だったら私も連れていって!この屋敷から1度も出たことがないの!この世界だけでいいから…」

 リリスは困ったが,ヘルを連れ出してあげることにした。期間はこの世界に滞在する5日間だ。

「私はリリス。こっちはカーティスよ。あと歳は貴女の方が上なのだし…タメ口でいいですよ」

「今遠回しに私のこと年寄り(ババア)って言ったわよねぇ?あぁ!?」


⦅なんていうか…喧嘩っ早いな⦆

 リリスはヘルのことを半眼で見ながら2人と外を出た。


「あのさ…僕1人でこの国回っていいかな?……ここにいたらまずい気がする」

 どの世界でも百合に挟まる男というのはキツいらしい。


 * * *


 ヘルは赤い目と青い目のオッドアイをしている。 髪の毛は銀と灰色の髪である。この姿自体が生と死を表しているといえよう。

「カーティス君はいなくなっちゃったねー。ちなみに私この土地についてあんまり分かんないけど…どーする?」

「自分の魔術で作っておいてわかんないのー?」

「うるっさいわねー。こっちはゲーヘナに任せっきりなんだよ…あの神があんな屋敷に幽閉するから…」

 リリスは瞬時にあの神様の顔が脳内に浮かんだ。ヘルも何もしていないのに大変だなぁー…とか考えていると突然物騒なことを言い出した。

「あー…地上侵略してぇー。というか私の実力があれば行けるよね?」

「その時は私が全力で止めるよ?うん,だからそんなことを言うのやめてね?ここ,一応中心地らしいから…」

「リリスって使ってる術式だけ見たら『魔女』みたいだよねー。ふふ,もしかしたら聖典通りなのかもね?」


 ヘルの言っていることが分からなかった。これが歳の差というものだろう。

「今失礼なこと考えていたでしょ…」


 歩いていくと,どこにでもあるような魔道具のショップが見えた。

「うぉー!ここだとすごい魔道具もありそう!魔術書とかも置いてないかな?」

「多分あると思うけど…リリスの四大属性魔術の技量だったら読めないと思うよー」


 沈黙の時間が続いてしまった。なんとなく店に入ったら精神が滅入(めい)る気がしたのでそのままUターンした。


「とりあえずホテル決めよー。」


 宿はすぐに決めた。ここの宿はご飯が美味しいと評判らしい。


「さてー…どうしよう。本当にこの場所について知らないんだけど」

「ここの地域の人に聞けばいいでしょ。あのー私たちここにきたばっかりでよく分からないのですが…」


「そうですか…子供と二人でこの世界に…ここのおすすめスポットはここです。すぐには飽きないと思います」


 二人は国の人々におすすめの場所(スポット)に行くことにした。

「この『太陽の遺跡』ってどういうところか知ってる?」

「さあ…私はここの天地創造をしたってだけで別に絶景スポットを創ろうとしていたわけじゃないから」


 ヘルはそう言うと,彼女の得意魔術である【氷の王国(ヘルヘイム)】を創り出しながら暇そうな声で言った。


「この死者の世界を一人で仕切れると思っているの? 私の魔力の限界がきたら本気でこの世界が崩壊し始める…そうなると本当に地上侵略するしかなくなるかもね!」


 物騒な話をしていると,国の人が言っていたとされる場所は見たらすぐに分かった。


「私は……こんなところを創った記憶はないわ」



この【太陽の遺跡】には氷と霜がなく ,太陽があった。

_死者の世界にはないはずの太陽があった。

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