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もしかしたら困惑してしまうかも
第2王子殿下⇒レオナルド
公爵令息⇒レイナルト
名前似ててすみません…
相変わらず友達なんてできなかったがある程度学校生活にも慣れてきた。
しかし、私は今人生最大の試練を受けていた。嫌な予感に体を強ばらせる
くる、あの言葉がくるぞ…
「じゃあ皆さん、これより実践練習に入りますので三、四人でグループを作ってください」
ああー!!!
先生の言葉に内心叫び声をあげて倒れ込む。なんということだ。この先生はぼっちの味方だと思っていたのに。
黒に近い深緑のボサボサの髪のせいで目が見えないし、背はスラリと高いのにいつも俯いてるせいで猫背。そんな先生はきっとグループワーク苦手だっただろうから絶対ぼっちの味方だと思ってたのに。
そしてあっという間に私以外の人達はグループを作りあげてしまった。なるべーく優しそうな人が集まってるグループに声をかける
「あのー、私も…」
びゅんっ!!
最後まで言わせてもらうことが出来ないくらいすごい勢いで逃げられてしまった。じゃあ、他のグループにと思ったが辺りを見回してみると私の傍には誰もいなくなってた。
えぇ、、えぇ。分かりますよ?第2王子殿下と公爵家のご子息に嫌われてる私なんか関わりたくないですよね?でも授業の時ぐらいいいじゃないですか
とめそめそしていると先生が困ったように声を発したが
「あの、ネットウィーさんが余ってしまっているのでどなたか…」
クラスメイトが先生をすごい勢いで睨みつけたのでひえ、と情けない声を出して黙ってしまった。
そして先生は困ったように頭をかくと
「すみません、ネットウィーさん。大変申し訳ないのですが僕と組む形になってしまいますがよろしいですか?」
と困り果てた顔で聞いてきた
「もちろんです!!」
ありがたい申し出に飛びついた。
「じゃあ皆さん。目の前にある的をそれぞれ好きな魔法で壊して見てください。じゃあまず私がお手本を」
ドゴーン!!
「きゃー!殿下!流石ですわ!」
バコーン!
「レイナルト様!なんてお美しい魔法なの!あぁ、銀髪と相まってまるで氷の騎士様のようだわ」
「…いらないみたいですね」
誰も先生の話なんか聞かないで勝手に魔法を打ち始めてしまったのが、先生は何故か安心したようだった。
「じゃあネットウィーさん。あなたもやってみましょうか」
「はい!」
改めて的を見る。木で作られた粗末な的だ。あれを壊せばいいんだよね…だが私は緊張していた。
なぜなら私は、攻撃魔法が大大大の苦手なのだ。
的に対してをかざし水球を発生させる。そしてそれを勢いよくぶつけよう!と思ってグッと手に力を加えたが水球はふよふよふよとって可愛く飛んでいき的に当たるとパシャっと壊れてしまった。
「あ、はは」
決まりが悪くてにへらっと笑いながら先生の方を見る。
すると先生も決まりが悪そうにして
「球だと攻撃性が足りませんから、一直線の棒をイメージしてみるといいと思いますよ」
とボソボソとアドバイスしてくれた
「分かりました!有難うございます!」
よし、一直線か。気合いを入れてやって見たものの私の手から的まで綺麗な水の線ができただけで終わってしまった。
「せんせぇ、」
このままだとやばいのではないか?思わず泣きそうになる。
だって他のみんなは順調に的を壊してる。殿下たちほど派手ではないが。
「水だと勢いがないと的は壊せないんですよね、どうするべきか、」
先生はめちゃめちゃ悩んでしまった。うぅ、申し訳ない
「あの、先生。お手本見せてもらってもいいですか?もしかしたら近くで見たら何か分かるかもしれませんし…」
私がそういうと先生は大袈裟にビクッとした。
「わ、分かりました」
先生はそういうと緊張した面持ちで的に手をかざす。すると先生の手に闇の塊が浮かび上がったかと思うとそれは音も無く高速で移動し的に衝突。衝突した的はパラパラパラと塵になってしまった。
「…」
驚きで言葉を失う。後ろからは
「あれが闇魔法…なんて不気味な力なの」
「あぁ、恐ろしいわ。なんであんなのが教師なのかしら」
「呪われた力に違いないわ…」
とヒソヒソとざわめきが聞こえた。その言葉を聞いて先生は悲しそうに目を伏せると
「すみません、不気味ですよね…」
と項垂れてしまった。
「先生!!すっごいです!え?先生かっこよすぎませんか?なんで涼しい顔してそんなことできるんですか!?私もわたしもやってみたいです!」
そんな先生に私は一気に感動を捲し立ててしまった。
え、先生凄すぎん?どういうこと?やばいすごい。
私の語彙力はこれだけになってしまった。
そんな私に先生は驚いたように目を見開くと
「…ありがとうございます」
泣きそうだけど嬉しそうな、照れたような控えめな笑みを浮かべてそう呟いた。
とすんっ
そして私の心に何かが突き刺さった。
え、尊い
なにあの表情。愛おしすぎる。どうしよう私、禁断の恋をしてしまった。
頭の中で先生への愛の言葉がぐるぐる巡る。あの笑顔は反則だよ。心臓がドクドク脈打ってどうしようもなく先生に恋焦がれてしまった。
そこから私の先生への猛アタックが始まったのだ。
「先生っ!」
授業が終わるなり先生に駆け寄る。これが私の日課だ。
「ここ、教えて欲しいんですけど」
質問があろうがなかろうがひねり出す。私が先生に話しかけられるチャンスはこれしかないのだから。
初めはそんな私を不気味そうに見てた先生だったがだんだん慣れてきたのか普通に対応してくれるようになっていた
「あぁ、ここはですね…」
しかし質問をひねり出すには知識がいる。先生に質問するために勉強を始めたがいつしか私は魔法学にどっぷりハマるようになってしまったのだ。このまま行ったらテストは学年1取れそうなくらいに。
そして私は今日賭けに出ることにした
昼休み、コンコンと先生のいる部屋をノックした。
「はい、なんでしょ…」
すると先生は気だるそうに出てきたが目の前でにっこにこしてる私を見て驚愕に目を見開いた
「ネットウィーさん…?、」
「はい!先生!質問しに来ました!…迷惑だったでしょうか?」
「い、いえ迷惑だなんてそんな。私のところに昼休みまだやってくる生徒なんて初めてだったので驚いてしまっただけです。」
今度は私が驚愕に目を見開いた
「え、えー!こんな素敵な先生のところに誰も来ないんですか?…信じられない。」
私が真剣な表情でそう言うと
「そんなこと言うのは、あなただけですよ」
と困ったようにに微笑んだ
くあっ…尊い。私の心臓が破裂するかと思った。
「まあネットウィーさんは魔法学にとても熱心ですからね」
と先生は1人で納得してしまったので
私は先生にも熱心ですけどね!
と心中で叫んでおいた。
私が何を質問しても先生は丁寧に答えてくれる。優しい声色で。最近では笑顔を見せてくれることも増えた。
私は先生と過ごすそんな穏やかな時間が大好きになっていた。
闇魔法のレグリル教授と悪女のリーナは度々密会し、よからぬ事を企てている、と噂になっているとも知らずに
ただ、それもあくまで噂。表面的に問題になったのは私がテストで1位をとった時だった
廊下に張り出された順位表を見て思わず飛び跳ねそうになる
(やった…!)
1位だったのだ。あれだけ先生に教えて貰っておいて悪い成績だったらどうしようかと不安だったか私は見事1位をとってみせた。
私は小躍りしそうな気持ちそのまま校舎の1番端にあるレグリス先生の部屋へと向かっていったのだ
(先生にも報告しなきゃ…!喜んでくれるかな)
なんて思いながら。
人気のない廊下に入った時右腕をぐいっと引かれた
「きゃっ」
その勢いで床に尻もちを着いてしまった
「おい、お前不正をしただろ」
見上げると怒り心頭な殿下とレイナルト様がいた
「いえ、そんなことしてません。私は真面目に勉強をしてこの順位をとったのです」
「ふんっ、白々しい。お前があの、闇教師とただならぬ中であることは知っている。お前は体でも使ってあの教師を誑かしたのだろう」
その言葉にかっとなる
「先生は!そんな人じゃありません!先生は私の事をただの生徒としか思ってくれてませんよ!それを!なんなんですかあなた達は!失礼にも程があります」
私は怒った。あの清らかな先生に対してをなんてことを言うのだ。
「はっどれだけしらをきろうがお前たちの関係は把握している。毎日あいつの部屋行ってるらしいじゃないか。」
今度はレイナルト様が責めてきた
「それは、私が勝手に押しかけてるだけです。先生はいつも紳士的に対応してくれてます。部屋に入ったことも密室で2人きりになったこともありません」
いくら言っても態度を変えない私に痺れを切らしたのか殿下たちは壁をドンッと蹴ると
「お前が1位なんておかしい。今後あの教師と会うことを禁止する。それだけだ。今後お前が1度でもあの教師に会いに行ったらあいつは首だ。わかったな?」
と凄んでいなくなってしまった。
「な、なんてこと…」
愛しのレグリス先生に会える時間を奪われてしまった。
そこから私の楽しみは授業中実践で先生とペアになれる時のみになってしまった。しかも殿下たちの監視の目があるから前みたいに話しかけることも出来ない。
そんな私の変化に先生は寂しそうな顔をしてたような気もするが当たり前かみたいな顔をして何も聞いてこなかった。
(先生と話したいけど私のせいで先生がクビになるのは嫌だ)
そう思って何も出来なかった。
昼休みにレグリス先生のところに行けなくなった私への嫌がらせは加速していった。
ゆうなら私をいじめる時間が沢山あるのだ。口実も。
「なんであなたはこの学園にいるのかしら?悪女で娼婦のリーナさん?」
目の前にいるのは多分殿下の婚約者候補筆頭。殿下のためだなんだ言っていつも嫌がらせをしてくるのだ
「あー嫌だわ。あなたがいると学園の風紀が乱れるの。早くいなくなって下さらない?」
うふふと華麗に笑う。
めんどくさいな。
私は不敬になるのも承知で彼女を無視して逃げた。
もう、何もかもめんどくさい。そんな日々が続いたある日の事だった。
事件が起きた。
「きゃー!!!」
学園に魔物が大量に入ってきたのだ。
逃げ惑う生徒。腕に自信がある殿下たちは魔物を攻撃しながら距離を取りそれぞれの護衛に保護されていた。
そして私はと言うと1つ目の熊がこっちに向かって猛ダッシュでやってくるのを見つめていた。私じゃあれを倒せないし、もう避けられない。
(あぁ、最後にお父さんとお母さんに会いたかった。レグリス先生とも話したかった)
そう思って目を閉じる。だがいつまでたっても衝撃はやってこなかった
恐る恐る目を開けると視界いっぱいに広がる深緑。
「先生…」
驚きに目を見開いた。
「あなたは、私と話すのはもう嫌かもしれませんが…私はあなたに死んで欲しくないので、1番に助けに来てしまいました。教師失格です」
そう言って先生は困ったように笑う。
「さぁ、あっちが避難所です。私は他の生徒も助けなくては行けませんから早くお逃げなさい」
「先生、私、先生のこと大好きです…絶対死なないでください」
「え?」
あまりにも先生がかっこよすぎて気がついたら本音が漏れていた。
しかし私は気が動転していたため告白したのにも気づかず
「ありがとうございます!」
といって避難所へ急いだ。
先生のそばにいたら迷惑になってしまう。
気が向いたら評価感想よろしくお願いします。ここまで読んでくれた皆さん。ありがとうございます!