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殺奪  作者: 夏野
決別編

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決別⑤

謝罪と言い訳2024/11/12(日付の書き方変更しました)

感情的な文を書くのが苦手すぎる…。もう毎度のことですが、遅くなって申し訳ありません!!

書きたいという思いと意欲はあるのですが体力的に毎日限界で……。この章の終わりまでは頑張って駆け抜けたいと思ってます!…が、もう宣言しておくと、今後もこのペースが続くと思いますm(_ _)m今まで通り気長に待っててください(*ノω・*)テヘ

「え?当事者、ですか?」


「あぁ。お察しの通り、うちにいるあいつはアペタイト本人だ。」


「…やっぱり。直接顔を合わせたことがなかったので半信半疑でしたが、今ので確信に変わったのです。」


「ワニ吉の次はアペタイトのところに挨拶に行こうと思ってたんだ。一緒に行かないか?」


「ぜひともご同行させてください。」


「了解。【転移】!」



「………カインか。隣にいるのは…やはり君だったか。随分と成長したようで、余も嬉しく思う。」


「なに育ての親みたいなこと抜かしてるんですか。あんたは母上を見殺しにしたくせに。」


「……その通りだな。」


…ワニ吉ってこんな強い言い方できたのか。


「…まぁ、とはいえ、あの状況なら母上は助からなかったでしょうし仕方ないとは思いますよ。」


「ありが「ですが、私は母上に嘘をついていたことが許せません。なぜあなたは、正体を隠したまま母上と行動を共にしていたんですか?母上を協力させて国を興したのですか?……母上はなぜあなたを信頼していたのですか?」


「…………話せば長くなる。一言で言うなら、戦友のようなものだ。だが、彼女から見て余がどのように映っていたかはわからない。」


「そう、ですか。 …でも、あなたが早々に正体を明かし、神との戦争に積極的に助力していたなら、被害は最小限に抑えられたのではないですか?あなたは母上だけでなく、民までも見殺しに…!!あなたが戦っていれば、私の友達も、ご近所さんも!みんなみんな助かっていたかもしれないのにっ!…しかも、あなたはまともな疎開地すら用意しなかった!それでみんな東の魔大陸まで逃げたのに、先住民の方に襲われたり、食料不足で飢饉(ききん)に陥ったり…。どうしてあなたは何もしなかったのですか!!!」


「………当時は余も色々と限界だった。天罪者である余が堂々と手を出して神に正体を悟られるわけにもいかないし、もちろん疎開地を用意しようとはしたが、神々にことごとく潰されていたんだ。」


「……助力できなかった理由と疎開先を用意できなかった理由はわかりました。ですが、そもそも神や人族との戦争を回避することもできたのではないですか!?」


「それは出来ない。」


即答だった。


「もちろん余だって血を流さないほうがいいと思っている。だが、神を受け入れれば、我々は虐殺されるだけだった。もちろん神にもよるが、再生と破壊がさも世界の理でもあるかのように、生けるものの命をいとも容易く滅ぼす。あいつらとの共存の道は存在しない。」


「だ、だったら人族とは…!」


「彼らも気持ちは同じだった。最初は種族間の争いから始まり、それが世界規模となったが、あの時にはもう収束に向かっていた。君のお母さんのように幾度も戦場で剣を交え、異種族との友情を芽生えさせた者もいるし、お互いに敵意を持たず、上からの命令だけで戦っていたものも多い。つまり、そもそもお互い仕方なく相手と戦っていた。だから、余は人族の王と話し合い、もう間もなく終戦するはずだった。そこで、彼女が死ぬという事件が起きた。」


「……これだけは聞かせてください。母上は悔いのない人生を送ることができましたか?」


「送れてないだろうな。」


「は?それなのにあんたは母上を「だって、君の成長を見届けられなかったんだぞ?後悔しかないだろう。あの人は、死ぬ間際まで君のことを気にかけていたよ。」


「…それならよかったです。強く当たってしまい、申し訳ありません。」


「構わない。余が君の立場なら、間違いなく同じ行動を取るはずだ。」


「今度、母上と魔王様の馴れ初めでも聞かせてくださいね。それで、私を育児放棄したこととか含めて色々チャラにしてあげますよ。」


「もちろん。それくらいいつでも話そう。」


……一般部外者の俺が話に入るなら今しかないよね。


「あのー、どうでもいいこと聞いていい?」


「なんですか?」


「何だ?」


「ここに来る前にワニ吉と話してたんだけどさ、アペタイトはエルフの里の結界が破られてることに気づかなかったの?」


「む?カインが破ったのではないのか?結界が破られたその日のうちにカインがワニ吉を連れて帰ってきたから、てっきりカインだとばかり…」


「「え?」」


「じゃあ俺とワニ吉が戦う直前に破られたってこと?絶対故意の犯人がいるじゃん…。」


「私は魔力反応に疎いですからいつ割られたか、どんな魔法だったか見当がつかないのです…。」


「余もちょうどそのとき結界との繋がりを絶っていたから、どんな方法で割られたかも具体的な時間もわからん。」


「「「………。」」」


この話は迷宮入りした。


「あ、で、そうそう。いまみんなに言って回ってる最中でさ、俺、もうすぐ別の世界にレベリングの修行に出るから。」


「了解だ。……これ以上強くなってまで、何と戦おうというのだ?」


「そりゃあ最高神しかいないでしょ。さすがに今のままじゃ最高神どころか破壊神あたりも危ういからね。」


「カインが我々天罪者に手を貸してくれるなら心強い。最高神討伐の祈願も時期に果たされそうだ!」


「天罪者関連で伝え忘れてたけど、ロンギヌスがアペタイトによろしくって言ってたよ。」


「ほう、あいつに会ったのか。元気にしてたか?」


『おう、ばっちりだったぞ。』


「そうか、ミミックはカインの体に憑いているからロンギヌスに会ったのだな。」


『あぁ。見た感じ、まだ全盛期の力までは回復できてないようだ。ぱっと見、1割といったところか。少なくとも、最高神との決戦はロンギヌスとカインが最善の状態になってからだな。』


まじか…。


ロンギヌスってあれでまだ1割なのか。


俺の見立てでは先生の数倍強かったんだけど。


……ていうか、俺よりも強いはずだし。


あのロンギヌスですら勝てない以上、最高神って化け物どころじゃないって…。


そもそも、最高神どころかロンギヌスが苦戦した規矩神ですら俺じゃ手が届かないって…。


過去にロンギヌスが時空神を弱らせてくれてなかったら、時空神相手ですら(あや)うかったな…。


『そうですね。時空神はあのステータスの割に弱かったです。マスターが勝てたのはロンギヌスのおかげでしょう。』


……そういえば規矩神といえば。


「ワニ吉さ、お母さんの使ってた魔法や奥義の術式って知ってたりする?できたら使ってみたくてさ。」


「さすがに分からないのです。いくら私が天才とは言え、年端も行かぬ少女の頃に見た超複雑かつ困難な術式を覚えているわけないのです!」


「まぁそりゃそうか。あんなの俺だってサータのサポートなしじゃ簡単に発動できなそうだしなぁ。」


「知ってるし教えられるぞ。」


「さすがアペタイト様。ぜひご教授ください!」


「あぁ。とはいえ、最後に見たのは遥か昔だ。さすがに完璧な術式は組めん。」


ロンギヌスが虚空に奥義の術式を描いた。


「〈融合眼(メア・ガゴヌ)〉。」


【深淵の神眼】、【解析の魔眼】、そして、先生から奪った【見据(けんきょ)の魔眼】を両目に宿してその術式を見る。


うっわ、めっちゃ入り組んでるな。


東京の路線図並に複雑なんだが。


「〈幻影模倣(ファントムコピー)〉、〈崩分壊(クァンタム)〉、〈羅纏(ポルテ)〉。」


俺は左手に煙を纏わせる。


「ふむふむ。なるほど、理解した。この奥義、効果は化け物だけど発動はめんどくさいな。」


ワニ吉のお母さんが常に分析魔法と共にこの奥義を発動してた通り、相手の攻撃を完全に見破らないとこの煙は攻撃を分解してくれないらしい。


一般人なら使いこなすのは大変だが、サータがいる以上、俺は無制限で分解できるようなものだ。


「〈魔法解除(アンチマジック)〉。ふう、おもしろいな、この奥義。ワニ吉のお母さんが多用した理由がよくわかるよ。」


「それはよかった。他の術式も見るか?」


「もちろん。一斉に(えが)いてくれていいよ。これくらいなら同時に分析するくらいできる。」


「ほう。少なくとも、カインは知力だけでは余を抜いているようだ。いくら余でもこんな複雑な術式を同時に視ることなどできない。」


そう言いつつもアペタイトは同時にいくつもの術式を描いた。


俺はその術式を凝視する。


「「………。」」


『分析完了しました。また、これからは安全面を考え、通常時の魔法通信を〈念話〉から〈秘匿通信(ウェブ・コム)〉に変更しました。』


「よし、完璧に覚えた。」


「つくづく化け物だな。君は。」


「母上が一生をかけて開発した魔法や奥義をこのたった一瞬で奪われたのは複雑な気分なのです…。」


「すごいのは俺じゃなくてスキルだから。俺はスキルなしじゃ何もできない凡人だよ。」


スキルがなかったら剣も持てないぞ。


「いえいえ、マスターはすごいのです!スキルなんかなくてもすごいのです!」


「絶対褒めてないよね?」


「ヒューヒューヒュー」


「口笛吹いて誤魔化すな。………んで、俺のせいで話がそれたけど、そんなこんなで俺は旅に出るから、何かあったら俺の代わりに色々と頼むよ、アペタイト。この城の中で一番強いのアペタイトだし。」


「任せておけ。ただの居候から始まったここでの暮らしだったが、なんだかんだ余も気に入っているのだ。」


「そう言ってくれると助かるよ。もうすでに任せてるから大丈夫だと思うけど、譲渡した総帥権を使って非常時には軍を動かしてくれていいから。」


「なに、軍なぞなくとも余が出れば大抵のことは解決するだろう。」


「……相手を殺しすぎないでね?なんか戦闘になると暴走しそうで怖いんだけど。何気にアペタイトの戦ってる姿を見たことないから実際はどうかわからないけど。」


「余が暴走するなどあるわけないではないか。」


「そ、そうだよな。任せたぞ!」


『ミミック、本当?』


『格上には冷静に対応できるが、格下は少々いたぶる癖があるな。まぁ問題と言うほどではないが。』 


たしかに軍事演習のときはいつもめっちゃ厳しかったような…。


…まぁ、大丈夫だろう!


「じゃ、そろそろ俺は次の挨拶があるから。」


「あぁ、達者にやってくるんだぞ。」


「任せとけ。打倒最高神のために。」


「マスター、次はどこに挨拶に行くのですか?」


「父さんと母さんのつもり。」


「私は部屋に戻っておいたほうがよさそうですね。家族水入らずの時間を邪魔するわけには行きませんし。」


「ありがとう。また出発前に迎えに来るから。」


「……いつ出発か伝えられてないのですが。」


「…すまん、話した人が多すぎてワニ吉にどこまで話したか覚えてなかった。明日の早朝出発ね。」


「了解なのです。マスター、話したいことはちゃんと話してくるのですよ!」


「言われなくてもやるって。【転移】。」

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