vs断罪神①
修正点1/4
奈落世界でのデュラハンの依頼をSランクに変更。それに伴い、多少の追記と改稿をしました。
感謝1/5
ブクマ600ありがとうございます!
目の前に広がるのは、この前調停神と戦った裁判所のような光景だ。
テネスにはついてきてもらっていない。
「おい、いつまでロイナとワニ吉を人質にしてるんだ。」
「開放するとは言ってないぞ?」
「まぁ…たしかに。」
『納得しないでください。』
『そこは反論しろよ。』
外野がうるさい。
「で、俺になんのようだ?この前の契約を破った覚えも、敵対する理由も思い当たらないんだけど。」
「とぼけるのが上手いな。お前もわかっているだろう?だから私がここにいるんだ。」
「だって契約は…!?」
俺が言いかけると、断罪神がこの前の魔法陣を出してきた。
「お前にもわかるだろう?明らかに契約違反を示している。」
【深淵の神眼】で視ると、契約が破られ、術式が滅茶苦茶になっている。
「私は断罪を司る故、このような行為はスキルの効果でできない。なら、やったのはお前しかいないのだが?」
「俺はやってないんだけど…。誰かが改竄したとかないの?」
「乱竄神ならありえなくもないが…。私とあいつは仲が悪くも良くもないし面識も少ない。」
「うーん…。」
「だからお前しかいないのだ。破棄したからには死んでるはずだが…ともかく、破棄したのなら思い当たる節があるのだろう?」
「全くない。」
「吐かせ。最近、ここの近くで下位の神が殺された。創造神曰くZの魔物が死因だそうだ。なんでも、体を斬り刻まれ、首を刎ねられていたとか。ここらにいるそんな魔物はお前かこいつだけだろう?」
…ワニ吉もZなんだった。
普段の行動からZに見えない。
「俺でもそいつでもないぞ。」
「まぁいい。痛めつければ吐くだろう。最悪殺せば済む話だ。」
ん?
ここらへん。
Zの魔物。
斬り刻まれていた。
首ちょんぱ…。
……双子もとい一心同体じゃねぇか!
「待て、断罪神。その神を殺した犯人と思しき人を知ってる。一回そいつに話を聞かないか?」
「ふむ…。すぐに会えるのか?」
「……今どこにいるか分からない。」
「やはりお前ではないか。」
「いや、待った。本当に違う。一心…「もういい、そんな言い訳は聞きたくない。」
「私なりに、契約を結んでくれたお前を多少は信じていたのだがな。どうやら私も耄碌したらしい。」
「いや、嘘じゃない。本当だって。お前だって俺とは殺りあいたくないだろ!?な?考え直そうよ。」
「こうなればお前を断罪するしかない。神殺しの大罪人をな。今からここは法廷ではなく処刑場だ。【処刑場】。」
俺の眼下を埋め尽くしたのは、断罪というより大罪にふさわしいような拷問部屋だった。
普通の部屋のおおきさではなく、戦えるように中が広大に広がっている。
例えるなら体育館やジムみたいな。
「趣味悪いな。」
「やかましい。ここにお前を連れて来れた以上こいつらは用済みだ。」
「そういうのはフラグって言うんだぞ。」
ロイナとワニ吉を断罪神が上空に放り投げる。
【世界地図】で二人を俺の隣に【転移】させる。
「お兄ちゃん…。」
やっぱ妹キャラっていいわ。
シスコンになっちゃうかも。
「ロイナは【転移】で戻っていてくれ。ワニ吉は力を貸してくれ。」
「はいなのです!」
「う、うん。役に立てなくてごめん。【転移】。」
「話し合いは終わったか?」
俺は、右手で掴む鳳凰に魔力を注ぐ。
【増殖炉】が発動し、槍の中に蒼炎が充填されていく。
「それがお前の新しい武器か。かろうじて神器のようだが、真なる神器には遥かに劣るぞ?」
「知ってるさ。だが、ミミックとお前の相性も悪いから変わらん。」
左手には〈震霆閃電霹靂界雷〉と〈呪自壊詛自滅讐自爆〉を〈羅纏〉する。
さらに、【限界超越】と【耐性超越】をフル稼働させる。
フル稼働とは言うが、うん千万倍とかは出来ない。
体への負担を考えると。数百倍が限界だ。
続けて、【増殖炉】内の蒼炎を解放し、全身に纏わせる。
【限界超越】程ではないが、【炎の恩寵】によりステータスが結構上昇している。
今回は本気でいかなければ死ぬ。
俺が負ける。
「ワニ吉。盾形態だ。」
「なのです!」
俺はそれを左手で掴む。
『焼ける!焼けるのです!!』
あ、やべ。
ワニ吉にも二つの魔法と蒼炎を〈羅纏〉させる。
『ふぅ、助かったのです。』
最後に、【蝋の翼】を発動する。
時間制限がない以上、初めに使った者勝ちだ。
【増殖炉】がとてつもない速さで蒼炎を増加させ、俺のステータスがみるみる上昇していく。
それに合わせ、赤色だった鳳凰が服、靴、槍全て蒼炎のような空色に変わっていく。
翼ってつくのに翼は生えないのか。
ちょっと残念。
「さぁ、こいよ。断罪神。」
「待ってやったのだから楽しませろよ?」
断罪神は両手で大鎌を握っている。
「【以往】。」
そう言うと同時に鎌を空振りさせた。
?
怪しいけど行くしかない。
【神駆】を創ると同時に、断罪神に向けて【神駆】する。
「〈刹那〉、〈火の鳥〉、〈蒼炎の軌跡〉。」
〈刹那〉にて断罪神に攻撃があった可能性を現実にする。
初めてこの武器を使うので不安はあったが、ステータス上昇があるため鳳凰がこの勝負を結末を握る。
なので、この武器を使うしかない。
〈火の鳥〉の効果にて鳳凰の…なんていうんだろう。
刃のところ…名前に槍がつくけどバルディッシュだから穂先ではないし、刀身でいいか。
鳳凰の刀身に蒼炎があつまる。
蒼炎の集まった見た目は、さながら鳥のようだった。
くちばしがちょうど刀身の先端だ。
〈蒼炎の軌跡〉にて鳳凰の通った場所に蒼炎が残存する。
そのまま断罪神に向けて鳳凰を突き刺した。
「……。」
その時、断罪神がほくそ笑んだ。
すぐさま【思念支配】にて【思考加速】し、【世界地図】の【転移】で後ろに後退する。
「避けたか。」
危ねぇ…。
『確証はありませんが、未来に向けた攻撃だったのでしょう。あのまま飛び込んでいたら真っ二つでした。』
断罪神なのに時空の攻撃をするのはよくない!
「【既往】。」
断罪神は一歩前に出て大鎌を振るう。
「ぐあっ……。」
俺の左手が突如斬り落とされた。
斬撃か?
それとも魔法?
『今度は過去に向けて鎌を振るったと思われます。』
過去…。
確かにあの位置は先程まで俺がいたところだ。
だが、これはこれで好都合。
新スキルを試すチャンスだ。
【血液操作】にて飛び散った血を集める。
斬り飛ばされた左腕は魔力と化し、斬り口から【神速復元】の効果にて新しい腕が生えてくる。
そして、蒼炎が再び左腕を覆う。
他の魔法は纏うだけ魔力の無駄だな。
『鳳凰に他の魔法って纏える?』
『無理ですね。〈燃焼焚熾燒灼爍煌爆焮〉はスキルで例えるならゴットスキル相当です。ミミックは最上位の武器なので多重掛けが可能ですが、鳳凰は神器の中でも最下位なので〈燃焼焚熾燒灼爍煌爆焮〉が精一杯です。あ、マスターの魔力で補強すれば、他の魔法の多重掛けも出来ると思います。』
『ほうほう。』
『マスター!早く拾ってくださーい!』
『あ、忘れてた。ごめん。』
俺は再生した左手でワニ吉を掴む。
ワニ吉に蒼炎を〈羅纏〉。
続けて俺の血をワニ吉に纏わせる。
俺の血はただの血ではなく、腐蝕、侵食、暴食などの効果がある。
それぞれがゴットスキルなので対魔法なら最強だ。
ワニ吉のスキルも合わさり、物理に関しても魔法に関しても最硬だ。
「断罪神。お前を殺してそのスキルを奪い取ってやる。」
次は明々後日(3日後)です。