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殺奪  作者: 夏野
奈落世界編

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215/314

カインの本心と戦争終結

報告11/21

この話からカイン視点に戻ります。短めです。

「そうして俺は闘牛頭鬼神(クレミラ)と戦い、師匠から託されたこの銃であいつを完全に葬った。」


「なら【残虐王】の称号はどういうことだ?」


「俺はそれから敵を殺して回っていた。」


「敵?」


「あぁ。俺の師匠が死んだと聞いてその遺産を狙ってくるやつだ。他にも、師匠にやられた腹いせに俺を襲ってくる者もいた。」


「そんなことを繰り返していたらみんな俺に従っていた。そして、巷では無意味に人を殺す王…【残虐王】と呼ばれ始めた。」


「……。」


「なぁ?俺がやったことは間違えだったのか?ただ俺は師匠が俺に残してくれたものを守りたかっただけなんだよ。」


「……。」


「なぁ!!」


「……。」


「はっ。みんなそうだよ。どうせ俺は悪者なんだよ。悪者らしくお前を殺す。【万弾(ばんだん)】!」


「チッ。〈弾打〉!」


『マスター、マスター。』


『なんだ?今忙しいんだけど…。』


『〈刹那(せつな)〉という奥義を創りました。効果は確定した一つの未来と現実の攻撃を合致させる効果です。』


『???』


『要するにマスターの攻撃が必ず望んだ位置に届きます。また、設定により、その攻撃は未来の結果ですので現実はそのままにも、現実と未来を同じにすることも可能です。』


『ふむふむ?』


試しに使ってみるか。


「〈刹那〉!」


なるほど、そういうことか。


感覚でなんとなくわかった。


剣が全ての弾に当たるのをイメージすると俺が瞬間移動し、〈刹那〉の効果で刃が弾に当たった。


そして、〈弾打〉の効果で弾が弾かれる。


それが一万の弾全てに同時に起きた。


それなのに、俺の実体は今もここにある。


「な、何なんだ!?今の奥義は!!」


「〈刹那〉。」


今度は、王様…いや、カイの後ろに移動し、後ろから斬りつけるのをイメージする。


すると、瞬間移動し俺は自然とカイを背中から斬りつけていた。


それでもって、俺の実体は王様の背後にちゃんとある。



ほうほう。


先程サータの言っていた現実はそのままってのが弾丸を弾いたさっきの感じで、現実と未来を同じってのが今の感じか。


これは慣れるまで大変そうだ。


ちなみに、魔力は〈時間魔法〉一回分くらい減っている。


「な、な、な……!お前、いつの間に俺の後ろに!?」


「これも仕事なんでね。殺すけど悪く思わないで。」


「お前はなんのためにその仕事を遂行するのだ?正義のためか?金のためか?仲間のためか?それとも理由もなくやっているのか?」


「……。」


俺はなんのために戦っているのだろう。


奈落世界では、この世界に戻るために、テネスを守るために戦っていた。


だが、俺はなんで戦うんだ?


金もある、力もある。


正義のためでもなく自分のためでもない。


シューラの…国王の命令とはいえ今の俺なら国にだって抵抗出来る。


なら、何故戦っているのだろう…。


「勇者よ。お前はたしかに強い。俺よりかも遥かに強い。だが、心は普通の人と変わらないのだな。下手したら凡人よりかもお前の心は弱いのかもしれないな。」


その通りだ。


俺は意味もなく戦っている。


本当に何のために…。


昔は、ゲームのような異世界に転生出来て、強くなれるのが楽しかった。


ゲームをやり込んでいく感覚で、子供の時は戦っていた。


ミミックの時は自分にできることをしようとした。


俺にも善意はある。


魔神と戦った時は両親を守りたかった。


ダンジョン攻略も強くなれるのが嬉しかった。


名前は忘れたけどダンジョンで天使と戦ったのは俺の都合でみんなを巻き込みたくなかったから唯一戦える俺が戦おうとした。


その後、勇者として活動したがそこらへんから戦う意味を見失った気がする。


『マスター。何を悩んでいるのですか。戦う意味なんて強くなりたいでもテネスを守りたいでもなんでもいいんですよ。』


『確かにな…。俺が戦う理由か……そうだな、ゲームのようにやり込みたい、好きな人を守りたい、この世界を知りたい。これが俺の戦う理由かな。』


『いい理由じゃないですか。』


『ありがとな。』


「ふむ…。戦う理由を見つけられたのか。」


「あぁ。戦う理由を問うてくれたのは感謝してる。だが、俺は勇者としてこの戦争を終わらせなければならない。悪いが死んでもらう。」


「俺が悪でないと知っても殺す覚悟ができたか。それでこそ力ある者だ。力ある者はその信念により何もかも変えることが出来てしまう。だが、お前はそんなことがなさそうで安心した。さぁ、本気で来い。お前はまだ全力じゃないだろう?」


「……分かった。」


俺はカオスセットをしまいミミックセットにする。


右手にミミック、左手にクサナギを構える。


「じゃあ、行くぞ!」


「【結界弾】、【封殺弾】、【障壁弾】、【不定の弾丸】。」


「〈刹那〉、〈両断之剣(りょうだんのつるぎ)〉!」


「!?」


俺はカイを殺したつもりだった。


しかし、ミミックの刃は結界によって弾かれた。


「【不定の弾丸】の効果ですね。このスキルで他の弾丸を未来の結果に送ったみたいです。』


『ふむむ…。』


なら、やりたくなかったが仕方ない。


「【動くな】。」


「!?……な…した…。」


「口だけは動かせるのか。流石、帝国最強だな。」


そう、【神言(しんごん)】スキルの力だ。


これは、俺が遊戯神を倒した手に入れたスキルの一つでありとあらゆるモノを支配する言霊を使えるようになる。


「卑…う……!」


「俺はお前に感謝している。俺に戦う意味を見出してくれたからな。だが、本気で来いと言ったのはお前だ。だから、手加減なしに殺す。」


「……。」


「死ぬ覚悟は?」


「あ…ぁ……」


「せめてあの世では報われてくれ。〈運向上(ブレッシング)〉…【苦しみなく死ね】。」


「……。」


「逝ったか…。」


運を向上させる〈支援魔法〉、〈運向上(ブレッシング)〉は願掛けにも使われる。


その名の通り神の祝福を授け運を上げる魔法だからだ。


これに問わず神聖属性は魔力を介し、神に祈りを捧げて魔法を行使するが、魔法名からこの〈運向上(ブレッシング)〉が願掛けに使われる。


そんなわけで俺は最後にこの魔法を使った。


「師匠と会えるといいな。」


『ゴットスキル:【狙撃之王(バード・ゲウゾ)】、固有スキル:【解析の魔眼】、【地形図(ゲームマップ)】を獲得しました。他のスキルは統合しました。【地形図(ゲームマップ)】に【事象之王(プログラマー)】のマップの権能を分離、統合し固有スキル:【世界地図(ワールドマップ)】に進化しました。これにより、世界間転移も可能になりました。獲得した奥義は【狙撃之王(バード・ゲウゾ)】に統合しました。魔力式魔法銃弐型をインベントリに入れました。』


『ふむふむ。大雑把に効果を教えて。』


『はい。【狙撃之王(バード・ゲウゾ)】は狙撃の補正と多彩な弾丸を撃てることです。また、奥義を統合したため狙撃関連の頂点的スキルです。』


『【世界地図(ワールドマップ)】は世界間転移すら可能なマップの超強化版です。転移までの待機時間もなく、パーティーメンバー以外も転移可能です。また、マップを埋めなくても全ての地理を把握可能になりました。』


『???』


チートじゃん。


『あ、【天眼】はどうしたの?』


『マスターの持つマップと鑑定の下位互換でしたので迷わず統合しました。』


カイがちょっと可哀想。


『魔力式魔法銃弐型は漆黒銃の強化版です。階級は創世級(ジェネシス)で漆黒銃と同じスキルを獲得しており、それに加え固有スキル:【共鳴】を持っています。【狙撃之王(バード・ゲウゾ)】の効果が上がり、使える弾丸の種類が増えます。』


俺はミミックセットからカオスセットに戻し、魔力式魔法銃弐型を持ってみる。


漆黒銃の上位互換だな。


全然使ってあげられなくて申し訳ないが漆黒銃は魔力に戻す。


「【結界弾】。」


おぉ!


さっきカイが使ってたやつだ。


「〈電光石火〉!」


光の速度で弾丸が飛ぶ。


「〈毒矢〉、【光速弾】!」


紫に染まった弾丸が光速で放たれる。


奥義の名前に矢と付くが問題なく使えるらしい。


だけどスキルの方が使いやすいし効果も高いな。


だから、カイは奥義を使わなかったのか。


検証はこれくらいにして戦争の終わりを伝えなきゃな。

次は明々後日(3日後)です。

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