王様の昔話④
修正点11/20
改稿するにあたり、色々と変わっています。忘れ去られていた設定がなくされたり、伏線を入れたり、誤字を修正したりとしてます。全て報告すると量が半端ないので、改稿して修正した点は、本当に重要なところのみ報告します。
「グモォォォォォ!!」
石が割れると100mはある大斧を持ったザ、ミノタウロスの怪物が現れた。
闘牛頭鬼神はその巨体でギルドの建物を粉砕していた。
「うおっ!なんだ!?って、Z+だと!?」
「ギルドマスター。討伐を手伝え。」
「あん?…ロバートか。もちろん手伝うが、知っての通り俺の得意分野は精神攻撃だ。SPを減らすことしかできないぞ?」
「大丈夫だ。前衛は任せた。カイ、避難誘導を頼む。今のお前なら二次被害程度なら防げるはずだ。」
「分かった!」
「ロバート、あいつは?」
「俺の弟子だ。」
「お前が弟子を持つか。ふっ…。」
「うるさい。さっさと殺るぞ。」
「あぁ。」
「グモォォ!」
闘牛頭鬼神は斧を振るった。
ギルドマスターは剣でそれを受け止める。
「【精神世界】。奥義、〈斬心〉。」
辺りに霧が立ち込め、その中でギルドマスターは剣を振るい斧を弾き返した。
「奥義、〈毒矢〉、〈貫通矢〉、〈粉砕矢〉、〈電光石火〉、〈万矢〉!」
「グモォォォォ!?!?」
「近隣の住民は早く逃げてくれ!」
「君、これはどういうことだ?」
「ちょっと、説明が足りないでしょ。私たちはS+パーティー、【流星】。私たちも力になりたいの。」
「失礼だが、S+程度では相手にならない。お前たちは単独でS+の四体や五体を一人で狩れるか?無理だろ?さっさと逃げろ。」
「そういう君も危ないんじゃ…「グモォ!」
闘牛頭鬼神の振るった斧に家が当たり、家の瓦礫が俺たちに降り注ぐ。
「奥義、〈粉砕矢〉、〈火矢〉、〈千矢〉。」
飛んできた瓦礫は、壊され、燃やされ、灰となった。
「分かったか?早くギルド内の人たちを逃がせ。あの怪物の二次被害は俺が防ぐ。」
「分かったわ。」
「ちょ!」
「リーダーもちゃんと手伝いなさい。」
ーバコンッー
また建物が壊れた。
「奥義、〈爆散矢〉。」
「グモッ!!」
「クソ!奥義、〈引き裂き〉!」
「奥義、〈流星矢〉、〈万矢〉!」
「グアッ!?グモォ!」
「ロバート!」
「間に合わない!」
俺がやるしかない。
俺は無詠唱で〈電光石火〉を使い、闘牛頭鬼神の目潰しをする。
「カイ、助かった!奥義、〈紐矢〉、〈鎖矢〉、〈堅硬矢〉、〈粘体矢〉、〈電光石火〉、〈万矢〉!!」
無数の矢がロープのように伸び、闘牛頭鬼神を雁字搦めに拘束する。
「ギルマス!」
「おうよ!奥義…〈斬心薙身〉ッ!!」
ギルドマスターは高く跳躍し、闘牛頭鬼神の頭から股まで縦に両断した。
「グモァァァァァ!?!?」
闘牛頭鬼神は断末魔をあげて倒れていった。
「師匠!やったんですか!?」
「いいや。ギード!」
「分かってる!奥義、〈護心守身〉!!」
「グモォォ!」
両断された傷は一瞬で再生し、起き上がり、斧を振るってきた。
それを知っていたかのように、ギルマスは剣で斧を受け止める。
「奥義、〈滅の矢〉。」
「グマァァァァァァ!?!?」
赤黒く輝いている一本の矢が闘牛頭鬼神の腹部に突き刺さる。
その矢は相手の存在力を滅ぼす呪いの矢。
闘牛頭鬼神は苦痛のあまり踠く。
そう、闘牛頭鬼神、を倒せないのはこの再生能力のせいだ。
本来、牛頭鬼に再生能力はない。
だが、斧による突然進化により異常な能力を手にしてしまったのだ。
「グモァァァァァ!!〈グモッ、ムオォ〉!」
「チッ、奥義だ!」
「おぅ。奥義、〈護心守身〉!」
「グモォォォォォォ!!」
「ぐあっ!?」
ギルマスは勢いを受け止めきれず吹き飛ばされる。
「奥義、〈神閃の矢〉。」
神速の速さの矢が闘牛頭鬼神の胸を貫いた。
「グモッ……」
「〈超回復〉、ギルマス!」
「助かった…。」
ギルマスはロバートの〈回復魔法〉を受け瓦礫の中から起き上がった。
「グモァァァァァ!グモッモ、〈グマァモ〉!」
「うおぉぉぉぉ!【身体超強化】、【限界突破】ぁぁぁ!!!奥義!〈夢幻心惑〉、〈斬心薙身〉ッ!!!!」
闘牛頭鬼神の周りの霧が濃くなった。
「〈空壁矢〉!」
ロバートの撃った矢が空気の道を作る。
ギルマスはそれに乗り闘牛頭鬼神に向かい走り出す。
「〈グモォマ〉ッ!!!」
ーギーーンッー
斧と剣がぶつかり合う。
「うおぉぉぉ!!」
両者の力は拮抗していたが、ギルマスが死力を振り絞り、斧を弾く。
「今だぁ!」
「奥義……〈万滅の神矢〉!!」
それはカイがロバートから最強と教えられてきた弓の真髄たる奥義だった。
「グモッ!?!?」
闘牛頭鬼神は斧でそれを防ごうとするが、ギルマスに斧を弾かれたことにより体勢を崩しており体をうまく動かせない。
そして、ロバートが放った最強の矢が闘牛頭鬼神の魂を貫いた。
「グォッ………」
「カイ、ギード!畳み掛けるぞっ!」
「あぁ!」
「お、俺もなのか?分かった。」
「奥義…〈夢幻心惑〉、〈斬心〉、〈斬心薙身〉ッ!!」
俺もやるか。
「奥義、〈毒矢〉、〈粉砕矢〉、〈貫通矢〉、〈爆散矢〉、〈呪矢〉、〈滅矢〉、〈万矢〉、〈電光石火〉!」
「奥義…〈呪滅矢〉、〈業炎矢〉、〈斬裂矢〉、〈毒矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈流星矢〉、〈電光石火〉ッ!!」
立ち込める霧から無数の斬撃、破壊と毒を秘めた万の矢、呪いに斬撃に炎を宿した神速の兆の矢が闘牛頭鬼神を襲う。
「グモォォォ……」
「やったか!?」
「ギルマス、フラグを立てるな!」
「そんなわけないだろ。流石にもう死んだ…「グモアァァァァァァ!!!〈モォ、グァ〉!」
「ギルマス、避けろっ!」
なんと、闘牛頭鬼神は一度死んだものの、スキルで蘇った。
闘牛頭鬼神は斧を横薙ぎに振るう。
「悪い、これでしか逃げられない。奥義、〈夢幻心惑〉、〈霧隠れ〉。」
霧が立ち込め、ギルマスの姿はその中に消える。
〈霧隠れ〉は自身を完全な精神体にする奥義だ。
それに加え、ギルマスはまだその力を扱えてきれていない。
すなわち、この奥義で逃げたならもう一度ロバートに加勢することができない。
「了解した。後は任せろ。カイも手伝ってくれ。」
「お、俺もなのか!?」
「あぁ。ひたすら攻撃だ。〈粉砕矢〉、〈貫通矢〉、〈爆散矢〉、〈毒矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉!」
粉砕、貫通、爆散、毒の効果を持った1垓の矢が闘牛頭鬼神を襲う。
「グマァァァァ!?」
大量の矢を食らい、闘牛頭鬼神は地面に突っ伏した。
「〈火矢〉、〈火矢〉、〈火矢〉、〈毒矢〉、〈毒矢〉、〈毒矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈万矢〉、〈電光石火〉!!」
その時、闘牛頭鬼神は勢いよく起き上がった。
「【グモォォ】ーーー!!!!」
闘牛頭鬼神を黒のオーラが包み込む。
そして、斧でカイの放った矢を防いだ。
「まずい!限界突破系のスキルだ!カイ、避けろっ!!」
「グッモォォォ!!」
そして、斧がカイに向かって振り下ろされる。
カイはとっさのことで狼狽え、避けることが出来なかった。
カイは死を覚悟した。
「〈毒の刃〉!」
その時、ロバートがカイの前に割り込み、紫に染まった刃の短剣で斧を受け止めた。
「逃げろ!」
今にも短剣は折れそうだ。
「!?」
「逃げろと言っている!」
「え?あ、あ……」
「グモォォォ!」
「くっ……。」
闘牛頭鬼神の力がより強くなる。
「カイ、お前には教えられなかったことが山ほどある。この世界の理に俺の最強の奥義…。だが、お前なら自力でその境地に立てると思う。短い間だったが楽しかった。」
「師匠…。」
「早く逃げろ!」
「分かりました…。絶対に生きて帰ってください!」
「あぁ。」
「さようなら!」
「元気でな。〈遺継〉。」
ロバートは魔法を使ったが、カイは聞き取れなかった。
カイはひたすらに走った。
その際、後ろから何度も何度も斧と剣がぶつかり合う音、弓の放たれる音、肉が切れる音が聞こえた。
そして、街の出入り口に着くと…。
『〈遺継〉の条件が満たされました。ゴットスキル:【狙撃之王】、ユニークスキル:【狙撃者】、【天啓】、【予知】、固有スキル:【解析の魔眼】、【地形図】、その他多数の奥義、魔法を受け継ぎました。〈空間収納〉内に魔力式魔法銃弐型を収納しました。』
そんな言葉がカイの心に響いた。
〈遺継〉とは、〈無属性魔法〉の一種で自分のスキルや奥義を引き継がせる魔法だ。
すなわち、ロバートの死を意味する。
「グッモォォォォォーーーー!!!!」
「え………?師匠が死んだ?」
無論、カイもその魔法をロバートから教わっていた。
『カイ、これが俺の残した最後の魔法だ。あまり時間がないため話は最低限にする。スキルは【解析の魔眼】で視てくれ。』
『で、魔力式魔法銃弐型は俺の師匠がZランクダンジョンの天空都市で見つけたものだ。俺はそれを受け継いだが使いこなせなかった。お前ならそれを使いこなしてくれると信じている。』
『そして、どうにかして闘牛頭鬼神を封印なり殺すなりしてほしい。そうしなければ神がでしゃばってきて人の国は滅びることとなる。秩序を乱した者を罰するのが神の定めだからだ。どうか、頼んだ。』
『これっぽっちしか遺せなくてすまない。俺の唯一の弟子カイよ、お前との月日は楽しかったぞ。あとは任せた。』
(俺が見捨てたから…俺が逃げたから…俺が弱かったから……師匠は、師匠は……!)
『固有スキル:【天眼】の封印が消えました。』
「【天眼】。」
カイは、迷わずその力を使った。
次は明々後日(3日後)です。




