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殺奪  作者: 夏野
平凡?な日常編

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和睦?

次回は久々の世界の仕組みです。

戦争から一週間ちょい後。


俺は王城に呼び出されていた。


勇者ブレイブとして。


シューラさんが玉座に。


ザーベストの偉い人たちがその横に。


ヌーズニッグの軍団長の人がザーベストの衛兵に拘束されて佇んでいる。


他の兵士の人や学園生の人はもう表彰が終わっている。


「此度はヌーズニッグの王をよくぞ討ち取った。」


……え。


なんて返せばいいの?


『お国のために全力を尽くしたまでです、とかはどうでしょうか。』


「国のために誠心誠意全力を尽くしたまでです。」


「その報酬をシャーベットの王と話し合っていた。そして、勇者様に土地を与えそこを新たな国にするのはどうかという案が出た。」


え………。


なんかここで言えって言われてた気がするんだけど……。


『僕は土地や王になることに興味はありません、です。』


「僕は土地や王になることに興味はありません。」


「ふーむ、とはいえもう土地を用意してしまったからのぉ……では、勇者様の盟友、カインにあげてはどうだろうか?」


そんな簡単に揺すっていいのか…。


そもそも俺とカインって盟友設定だったの!?


『他の大臣にはマスターの正体が明かされています。……もしかしてシューラの話を聞いていませんでしたか?』


数日前にシューラさんと話したが半分くらい流し聞きしてたのだがそんな大事なことを話していたとは。


『サータなら一語一句のがさずに聞いてくれるからね。信頼の証だよ。』


『……そういうことにしておきましょう。』


「カインにですか。いいと思います。彼なら(まつりごと)の才もありますし。」


ここのセリフはちゃんと覚えていた。


「では、そのように取り計らっておく。誠に大義であった。」


俺は後ろに下がる。


代わりに軍団長が前に行く。


「ヌーズニッグの軍のトップにして王無き今、国のトップであるゴードよ。」


「シューラ陛下。無礼は承知ですが口を挟むのをお許しください。」


「貴様!」


「よい。なんだ?」


「我が国の王はご存知の通り魔物に寄生されていました。その結果、最終的に我軍とザーベスト軍は共闘しあいました。私はこれからは平和な世を作っていきたいと考えています。」


「つまりは和睦をしたいと。」


「はっ。」


「無礼千万!磔の系が妥当だ!」


「そうだそうだ!」


「静粛に。私としても和睦はいい提案だと思う。だがヌーズニッグの王を討ち取った今、ザーベストの勝利だ。賠償金などをはらわないというのはおかしくはないか?」


「くっ…で、ですが私どもの王は操られていて……「それが自作自演とも言えるだろう。グーデニア帝国も悪魔に操られていた。その結果、皇帝自ら戦場に出たのだ。それは即戦力になるからだろう?あのスライムも同じ考えだっただろう。それをお前が知っていなかったとは言い切れない。」


「……その通りです。」


「だが共闘したことにより救われた命も多い。そこで、勇者様。ヌーズニッグの命運を決めてほしい。」


なんで俺にふるんだよ!!


『サータさん、お願いします。』


『あの軍団長もスライムなので殺していいのではないでしょうか?』


『え?』


『マスターの【殺奪之王(マーダー)】もミミックも殺したなら奪って手に入れたスキルだろうが奪えます。それを奪えてなかったということは極小の状態でそれらのスキルだけ持ち出し他の誰かに寄生したということです。そして元から持っていたスキルは渡しいかにも死んだように見せかけたのでしょう。』


『ってことは俺がミミックで殺した時に小さくなって逃げたってこと?』


『いえ、あの時にそんな力は残していないでしょう。以前からあの軍団長に取り憑き寄生しておりあの時にスキルと意識を渡し、その直後に本体が滅んだのだと思います。そしてあの軍団長で力を蓄えいずれ復活しようと企んでいます。』


「〈神喰之泥涅ボッグ・シルト・マイア〉。」


俺は軍団長にスライムの奥義を使う。


軍団長は無抵抗で黒の溶解液に呑まれる。


「はは。僕の奥義が僕に通用するとでも?」


「何!?勇者様…これは一体?」


「あのスライムは軍団長にも寄生してたんです。殺していいですか?」


「…生け捕りにするのは?」


『難しいですね。』


「難しいです。」


「ならば殺してくれて構わない。」


俺は〈圧縮呪炎地獄バースト・カースド・インフェルノ〉を放つ。


「僕を殺す?」


軍団長の体が崩れ落ちスライムに変貌する。


「ははは!面白い冗談だねっ!!」


黒い腕が黒の炎を呑み込んだ。


『マスター。魔法を創りました。使って下さい。』


『サンキュー!』


俺は黒の魔法陣を描く。


「〈呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉!」


その魔法はスライムに対して何も起こさなかった。


俺はその魔法陣に重ねて魔法陣を描く。


「〈麻痺衝撃パラライズショック〉!!」


黒の魔法陣から不可視の衝撃波が飛びスライムを襲う。


「何してるのかな?僕に異常状態の類は……!?」


衝撃波が当たるとスライムの体が硬直する。


「今の魔法はな。麻痺が本命じゃないんだよ。〈呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉の魔法を覆う殻に過ぎない。〈呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉は相手の魔力を暴走させ自壊させる魔法だ。自分の魔力だから耐性も意味を成さない。喰らっても内部で効果が発動して相手を殺す。つまりお前は無効化する術を持たない。」


「……な………」


「あ、言い忘れてたけど殻にした魔法の効果も魔力に染み出すから殻にしたらどんな魔法も耐性貫通の攻撃になるぞ。」


「…………が…」


「じゃあ死ぬ。〈呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉、〈虚無の汚染(イロージョン)〉!」


「〈爛腸之食(カロリーオーバー)〉。」


スライムが急激に巨大化し俺の放った魔法をくらう。


本来なら〈呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉の効果で自壊するはずがピンピンしている。


「ははははははははは!!!僕を殺す?僕を殺す?僕を殺す?無駄無駄無駄!!自壊魔法なんて飽きるほど見てるんだよね。」


「勇者様や。殺してくれていいから被害の出る前に()ってくれ!」


「僕もさっさと倒したいのはやまやまなんだよ!」


『ワニ吉、カモン!』


「なのでーすっ!!」


ワニ吉が〈転移〉してくる。


「俺が魔法を完成させるまで時間を稼いでくれ!」


「了解なのです!」


「ははは!〈爛腸之食(カロリーオーバー)〉。」


ワニ吉にスライムの巨体が迫る。


「ワニ吉ぱーんちっ!」


『サータ、雷神の使ってたあの魔法使える?』


『魔法陣を構築します。』


あの魔法とは〈震霆閃電霹靂界雷ササ・エクサ・トネール〉だ。


『〈震霆閃電霹靂界雷ササ・エクサ・トネール〉ならスライムの〈爛腸之食(カロリーオーバー)〉とか言うのも超えられるよね?』


『雷を操るゴットスキルが無い分多少威力が落ちますが〈法則操作〉と〈耐性超越〉を使えば幾分マシになり同等程度の威力が出るでしょう。』


魔法陣を描き始めること十数秒。


『できました。』


「ワニ吉!」


「なのです!」


ワニ吉が退く。


「〈震霆閃電霹靂界雷ササ・エクサ・トネール〉ッ!!」


「ははは!雷神の魔法かっ!〈爛腸之食(カロリーオーバー)〉ッ!」


黒の溶解液に無数の雷が降り注ぐ。


雷はスライムの体に当たると吸い込まれて消える。


それと同時に雷がスライムの体を焼く。


「くっ…僕は不死身だっ!死ぬわけにはいかない。〈豊受大神(トヨウケノオオカミ)〉!!」


スライムの体が雷を全て呑み込む。


俺はその隙に〈無の汚手イローテ〉と〈羅纏(ポルテ)〉で〈呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉を右手に纏う。


こちらに気付かないスライムにその右手を突き刺した。


「かはっ……」


俺は右手を深くまで刺し込み魂を探す。


「魔法は食えても俺の手は食えないんだな。〈震霆閃電霹靂界雷ササ・エクサ・トネール〉、〈震霆閃電霹靂界雷ササ・エクサ・トネール〉、〈震霆閃電霹靂界雷ササ・エクサ・トネール〉!」


スライムの体内に魔法陣を描き雷を散乱させる。


「がぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


〈深淵の神眼〉で深く深く深淵を覗くと魂を見つけられた。


俺はそこに迷いなく手を伸ばす。


「ま……さか…直接魂…を………?……やめろ………やめろやめろ…やめろやめろやめろやめろやめろーーー!!!」


「死ね。」


俺は魂の魔力を乱し自壊させると同時に〈無の汚手(イローテ)〉の手で魂を握り潰した。


続けて〈完全蘇生(オールリザレクション)〉で軍団長を蘇生する。


「う……私は一体…?」


「王様…いや、シューラさん。あとは任せましたよ。」


「あ、あぁ。」


「〈転移〉。」

次は明々後日(3日後)です。 


呪自壊詛自滅讐自爆マリデ・セマフ・デスメジュノ〉は今度詳しく説明します。

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