VS暴走カイン①
感謝
祝、200話!(だったはずの話です)
最近、ネタが思いつかずSSのネタなんて全く思い浮かばないためSSはありません。どうしても読みたい!という方がおりましたら頑張って書くのでいたらおっしゃって下さい。(露骨な感想稼ぎ)
ユニークpv八万、総合pv60万ありがとうございます!最近ポイントの伸びもよく皆様には感謝しかありません。
修正点
勇者の称号のぶっ壊れ効果(相手と同格になる)を消しました。なんでそんな効果入れたんでしょうね。はい、馬鹿だからですね。ご迷惑かけ申し訳ありません。
三人称視点
一方、アリサは…。
(うぅ…迷いました。こんなことなら私も学園に入っておくべきでした…。〈寒波〉の魔法でお姉様の氷属性の魔力を探ってるのに全然見つかりません…。なんでこんな戦場で戦うんですか!もっと火山とかのあったかいとこでやって下さいよ!そうすれば〈寒波〉が効きやすいのに。
などと理不尽なことを考えながら戦場のど真ん中を歩いていた。
「子供か…。悪いが上の命令なんだ、すまん!」
そう言って兵士の一人がアリサに斬りかかる。
(邪魔ですね。)
アリサは〈氷結束縛〉で兵士を氷漬けにする。
その後も何人もアリサに襲いかかった。
(あぁ、もう邪魔です!)
「我の契約せし精霊にして異界より渡りし冬を司りる雪の大精霊よ、この世に顕現し我が敵を殺し尽くせ。〈冬将軍到来〉!」
(まさか日本という異世界の国の転移者の〈召喚師〉の人から貰った大精霊を呼ぶことになるとは…。)
その時、極寒の冷気が吹き荒れる。
「ワレを読んだのはキサマか?」
「そうです。なのでそこら辺の敵軍の兵士を皆殺しにして下さい。魔力ならあげますので。」
「ワレを呼んだ罪を命で償え。」
日本の武将にしか見えない甲冑を着、刀を持った侍が現れる。
その侍は刀を振りかぶりアリサに向けて斬撃を放った。
「はぁー。」
アリサは無詠唱で〈氷ノ棘荊〉を使う。
侍の足下から氷でできた薔薇が伸び足どころか侍の体を拘束した。
そして〈氷生成〉と〈形状変化〉で氷の剣を作り侍に突きつける。
「やって、くれますよね?」
「了解した。」
(雑魚はフユショウグンに任せればいいでしょう。お姉様は何処にいるんでしょうか。…あれは?)
その時、スライムが巨大化したのだ。
(喰菌集体に似てますね。どことなく違いそうですが…っと、危ないですね。)
アリサは降りかかる溶解液を〈氷液波〉で氷の波を作り傘のように自分の頭上を凍らせ溶解液を防ぐ。
(ふむ、あの結界はカインさんですね。ですが大きさも大きさで全てを防げてないみたいですね。兵士の人たちは私が守ってあげますか。)
「我が氷は現世を隔て何者による干渉も封じ込める。氷は絶対にして不動なり。世界を分ける壁よ、顕現せよ。〈界隔氷壁〉!」
戦場をドーム状に白の壁が覆い尽くす。
(これでカインさんの結界を抜けた攻撃は私の結界で防げますね。……ん、あの巨体はワニ吉さんですね。ロイナさんが一緒にいるならロイナさんのスキルは遠くまで見れたはずですしお姉様を見つけられるかもしれません。行ってみますか。)
◇◇◇
「ワニ吉さーん!」
「あ、アリサちゃん!」
アリサもミナもカインの両親もクロムたち同様に敬語はいいと言っている。
「ロイナさん…それに皆さんも!いつもお姉様とカインさんがお世話になっています。それで、ワニ吉さんならこれくらい耐えられると思いますけどカインさんは大丈夫でしょうか?」
「私のスキルの念話はカインに繋がらない。」
「私も〈精神感応〉を試してるけど繋がらないわ。」
「困りましたね。私は〈無属性魔法〉は得意ではないですし…。」
その時、カインの張った結界が全て消え氷の壁のみが残る。
スライムは収縮しカインの中に入っていった。
スライムに寄生されたカインは普段と変わらないまま剣を握りしめた。
そしてムラマサを液状化させ横薙ぎに振るう。
それは木々、丘、敵、味方、全てを斬り裂いた。
アリサ達のいた場所はワニ吉が守っていたため無事だ。
だが、辺り一面壊滅的な状態だ。
「痛いのですー!」
ワニ吉が人の姿に戻る。
「〈回復〉。ワニ吉ちゃん、大丈夫?」
リーシヤがワニ吉を治す。
「うぅ、【痛痒無効】が全然働かないのです。」
『アリサ、敵を片付けた。』
『フユショウグンですか。…あ、あなたは大精霊ですし死にませんよね?あの怪物を殺してきて下さい。』
『分かった。』
カインは〈飛行〉で上空に飛んでいく。
眼は紅と紫紺に染まる。
フラガラッハとムラマサを握る左右の手はスライムのような漆黒の粘液となる。
背中からは粘液でできた一対の翼ができあがる。
装備は神の和服に変わる。
さらに足も顔も全てがスライムの体のようになりグロテスクな状況になる。
(やばいですね。魔力が私を数十倍上回ってます。)
(やばいわね。あの覇気も魔眼も直撃したら私たちですら危ういわ。)
解析系に優れているアリサとリーシヤが危険を察知する。
「やばそうなのです。ワニ吉でも一撃食らったら瀕死になりそうです。」
今のカインは堕ちた神のような見た目だ。
体が溶ける…もといスライムになり背中に翼を持ち眼は不気味に光っている。
漆黒の覇気を纏い覇気で刀身を伸ばしたフラガラッハと液状のムラマサをめちゃくちゃに振るっている。
アリサ達は小高い丘の上にいるが丘の下はザーベスト、ヌーズニッグに関わらず地獄絵図だ。
テントや砦は崩壊し人々は逃げ惑う。
草木は荒れ果て強大な覇気と魔眼を受け死んだ者も多数いる。
この場のみんなが知る由は無いがカインはスライムの力が合わさったこと、憤怒の強化で爆発的に上がり全て一兆を軽く超えている。
〈憤然〉や【怒りの奔流】などの封印していたスキルも全て解放しているため上昇量が半端ないのだ。
だがそれは寄生主たるスライムも予想外だった。
スライムですら怒りの感情に呑まれカインの体で暴れ回っている。
〈限界超越〉を更に発動させ一兆が倍増され数兆にまで上昇する。
この数値はクロムどころかミナですら一撃死する。
ワニ吉ならスキル無しでも一命は取り留めるも瀕死は免れない。
「や、やばいのです!アリサ様とリーシヤ様で結界をどんどん張ってくださいなのです!ワニ吉は負傷者を運んでくるのです!メラスも影世界ならば魔眼と覇気の影響は受けないので救助を手伝って欲しいのです。ミーアは負傷者の手当として軍の方にいるミレアを呼び戻してほしいのです!」
忘れ去られているかもしれないがミレアはザーベストの拠点…砦で回復を任されていたのだ。
「わかった。【影移動】で行ってくる。」
「アリサちゃん、やるわよ!」
「はい!…あ、皆さん。お姉様を見かけたらここに呼んでほしいです!」
「僕はできることはないけど魔力はそこそこあるから使って。」
「分かったわ。アリサちゃん、私が魔力を送るからアリサちゃんが結界をお願い。」
「分かりました!」
「私はミレアのところに行ってくる。ついでに兵隊の人たちも連れてくる。」
「「はははははははははは!全て壊してやる!僕の眼下では何者も自由にできない!僕は最強、不滅の存在だ!」」
カインとスライムの混じった声が戦場全体に響き渡る。
憤然に呑まれながらもスライムが自我を保ち始めたのだ。
カインの腰の辺りから左右にスライムの腕が伸びる。
それは巨大化して戦場に喰らいついた。
その攻撃で〈慈愛ノ聖域〉が破壊される。
その結果、強制的に魂だけの死者が蘇生される。
無論、その人達は現状を把握しきれていない。
その人達にスライムの片腕が降ろされた。
「ぬっ!」
フユショウグンが死力を尽くしその一撃の軌道を逸らした。
が、フユショウグンは〈悪食〉の効果で死亡する。
(フユショウグン、ありがとございました。)
アリサは無情だった。
そこにメラスが現れた。
巨大な黒の穴が現れ蘇生された人達はそこに落下する。
そう、影世界に避難させたのだ。
出口はアリサ達のところだ。
「……〈界隔氷壁〉!」
アリサは詠唱が終わると同時に丘を囲うように結界を張る。
ワニ吉は戦場の人たちを守りながら結界の中に、メラスは大勢を一度に影世界に入れ救出を。
砦ではミレアが耐性強化の〈支援魔法〉を、ミーアが炎でカインの攻撃を防いで結界まで避難を手伝っている。
それはもう敵国同士ではなく生き永らえるために協力し合う仲間の図だった。
もはや戦争ではなく人類と怪物との戦いだった。
カインの攻撃は戦場どころか両国の街にまで影響がでは始めていた。
戦場は兵士のみのため耐性系スキル持ちが多いのが救いだったが街はそうはいかない。
魔眼どころか覇気に触れた瞬間即死してしまう。
それは何としてでも防ぐべきだと全員が同じ気持ちだった。
そしてザーベストの今回の戦争でのトップ、軍団長とヌーズニッグの亡き国王に代わりこの戦争中の臨時のトップの軍団長で話し合った結果協力体制を築くことになった。
カインは暴走を続ける。
次は明々後日(3日後)です。
200話なのに主人公闇堕ちからの虐殺で地獄絵図。
ワニ吉はやればできる子。




