表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/76

魔王との邂逅④

このままではナナが暴走したまま帰ってこなくなりそうだと察したアイマーは、そろそろ思考に方向性を与えてやろうと、親切に質問する。


『そういえば、お主どうしてここにおるのだ?』


『え? あーうん、魔王詐欺の人にしては的を得たイイ質問だね』


『詐欺じゃないて!』


親切とは往々にして裏切られるものである。


『うーん、そっか。

詐欺じゃないんだね、よかったあ。

でもね、えっと、私がここにいる理由、さっき考えてたんだけど、わからないの』


ナナはあっさり詐欺疑惑を取り下げ、アイマーの質問に答え始めた。

だが自分がなぜここにいるのか、という質問には答えを持っていない。

なにしろナナ自身が一番それを知りたいのだ。


『では質問を変えよう。家族はどこにいるのだ?』


『え? 家族――お兄ちゃんがいるんだけど……日本に。地球の。

詐欺…じゃない魔王の人は、日本に帰る方法わかる?』


まだちょっぴり残っていた詐欺疑惑の名残も取り払って、ナナはアイマーに真剣に相談し始めた。

アイマーの真摯な態度に、ナナはようやく彼のことを信用が置ける人物として捉えたのだ。

まあ実のところ最初から信じていたのだが、騙されやすい自分を守る為に一応頑張っていたのだ。


『ようやく我が魔王だと受け入れおったか。

我とてこれでも1250年ぐらいは生きているが、そのような国も地名も聞いたことはない。

ここは惑星ピラステアの魔族領。

その首都に鎮座する魔王城の最上階、謁見の間だ。

しかし…これだけ話を聞いてもらえんとむしろ気持ちい――げふんげふん。

うむ、嫌いではない』


うっかり自分の性癖を暴露しそうになって言い直したアイマー。

だが言いなおそうとしてそのまま肯定してしまっている。

そう、嫌いではない。アイマーはドMなのだ。


『そんな……本当に地球じゃないなんて……やっぱり魔王魔王詐欺の可能性は』


『だから正真正銘の魔王代理じゃて』


『――魔王が言うにはないらしい。

だとすると早く帰らないと! お兄ちゃんに心配かけちゃう!

でもここ異世界なんだよね?

どうやって帰れば……どうしよう……』


その後もアイマーが話を聞いてみると、どうやらナナは本当に、地球と呼ばれる星の日本という国にいたようだ。

少なくとも本人はそう信じている。

スキル【伝心】で感情も伝わるため、アイマーはこれを信じることとした。


しかし、アイマーが思うに、ナナの置かれた状況はなかなか前途多難だ。

戦う力も無いようだし、自力で魔族領を移動できるかどうかも怪しい。


身体ごと異世界へ転移する方法はアイマーでも見当がつかない上に、そもそも今のナナにどうにかできる規模の話でもない。

しばらくこの世界で暮らすことになるだろう。

むしろ帰れない可能性の方が高い。


少なくともナナが生き残るためには、この世界での拠点を作る必要がある。

まずは街に行くのが良いだろう。

アイマーはそのようにナナに提案し、共に魔王城を下ることにした。



   ◇


ponの小説を読んでくださってありがとうございます!

読んでいただけるだけでも嬉しくて、とっても励みになっています!


もし少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、

この下にある★★★★★を押して、応援してくれると本当に嬉しいです!

ブックマークやいいね、ご感想もお待ちしております。


また、SNSでのご紹介も大歓迎です!

よろしくお願いしまーす!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ