表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/76

村の身代わり

「おじちゃん、おばちゃん! れに、つよいおねえちゃんたちをつれてきたよ!」


ナナ達はレニの話を聞いた後、アバトで旅の準備を整え、レニを交互に抱っこしながら街道を進み、日が暮れる前にハンナ村に辿り着いた。


そして村に到着してすぐ、レニが声を張り上げて村中に呼びかける。


ハンナ村は東側の大山脈の雪解け水を源とする清流と、それによって運ばれた豊かな土壌を活かして、酒の材料となるハンナの実を栽培することで生計を立てている農村である。


青々とした芝生で覆われた地面に、丸太を組み合わせたようなログハウスが建ち並び、家々の間を縫うように川から引き込んだ水路が駆け巡っているその様子は、まるでヨーロッパのおとぎ話に出てきそうな、幻想的な雰囲気のある絶景だった。


だが、その素敵なはずの光景には今、人の姿が欠けている。

村全体がどこか冷たく張りつめたような空気感に包まれていて、レニの呼びかけにも応える様子が無い。


「ねえ! みんなぁ! おねがいだから、れにのいうこときいてよぉ!」


何度か呼びかけているうちに、レニの声が涙に震え始める。


ハンナ村までの道中でレニが語った話では、盗賊たちの襲撃後、レニが近所の大人達に頼ろうとしても、村の大人達は盗賊を警戒しているのか、家からほとんど出てこなかったようだ。

それはどうやら、現在でも継続しているようである。


ナナとミイア達は、レニの後ろに立って静かに様子を見守っている。

それは、『まずはれにがむらのみんなにおはなしするね』というレニの意見を尊重しての事だったが、必死のレニの呼びかけに応じない村の様子に、苛立ちとも焦りともつかない感情が4人を襲っていた。


その状況に耐えられず、最初にミイアが小声でナナに話しかける。


「ねえナナ、この村……すでに村人全員さらわれているということはありませんわよね?」


ミイアの言葉に、ナナは表情を険しくして、静かに首を横に振る。


「……ううん。みんな家の中でこっちの様子を伺ってるみたいだよ。

ここから見える範囲の家は全部、気配が窓際に集まってるもん」


するとミイアは不意を突かれたようにきょとんとして、ナナに再び問いかける。


「え? ここからでは何も見えませんが、ナナ、あなたなぜそんなことがわかりますの?」


「あ、そっか、言ってなかったよね。

うん、ニアンにも不思議がられたんだけど、私のスキル、ちょっと変わってるみたいで、集中すればけっこう遠くの生き物の気配がわかるの」


「そ、それは素晴らしいですわね!

……でも、ということはこれは、レニが一生懸命話しかけていることをわかっていて、あえて返事をしていない、ということですのね」


ミイアもナナ同様に、眉間にしわを寄せて村の家々を睨みつける。


「うん。こんな小さな子が、お兄ちゃんを助けるために必死で行動しているって言うのに……

事情はあるんだろうけど、ちょっとねぇ」


ナナは少し眉を寄せた。


ナナや、ナナの兄であるコウキが両親、そして祖父を亡くして、それでも懸命に生きようとしていた時、彼女たちの周囲の大人達は親身になって手を差し伸べてくれていた。


祖父の跡を継いでガラス細工職人となったコウキの工房の経営を、職人組合の組合長をはじめとする祖父の元仲間たちは懸命に支えたし、コウキだけでは目が届かないナナの生活面は、ナナの幼馴染の親達が心を配っていたのだ。


でも、それは近しい大人達だけだった。

両親や祖父母まで亡くした2人に対して、多くの大人達は関わらないという選択肢をとった。


その理由の最たるものは、無知だ。


2人の性格や経済状況、生き方を知らないが故に、恐れたのである。

保護者を失った2人が、貧困を凌ぐために悪さをするかもしれない。

万が一にも自分たちの子どもがこの2人と仲良くなってしまったら、悪の道に引きずり込まれるかもしれない。

そうでなくても、同情につけ込んで金をせびられる可能性がある……などなど。

本人達の懸命な努力や真摯な生き方を知る者達からすれば、それはあまりに無知で利己的で一方的な悪意であった。


それらはあまり表沙汰になることは無かったが、家の壁に落書きされたり、ポストに怪文書を投函されたりと、姿を隠した陰湿な嫌がらせがしばしば発生していた。


(あの人たちみたいな悪意があるわけじゃないんだろうけど、村中でレニちゃんを無視するなんて……それはもういじめだよね)


そんなナナを見て、一つ頷きを返したミイアが村の方へ向き直って大音声で告げる。


「あなたたち! 聞こえているんでしょう!

こんな小さな女の子に助けを呼ばせておきながら、自分たちは安全な場所に隠れて傍観しているだけですの?

これ以上立てこもる気なら、アバト領主の娘であるこのわたくし、ミイア・アバトの責任で、この村を燃やしますわよ!」


「ええー⁉ ミイア様! 燃やしちゃ本末転倒っすよぉ!」


思わぬミイアの発言に、慌てたアレンが背後からミイアを拘束する。


「ちょ、ちょっと急に抱き着かないで心の準備がまだ……ってちがいますわ!

離しなさいアレン! 詠唱の邪魔ですわ!」


「だから出てくるのを待たずに唱えちゃダメっすぅ!」


どたばたと暴れるミイアとアレンの様子を見て、毒気を抜かれたナナが少し苦笑する。

ちなみにリアムは、何を思ったのかミイアと村の間に立ち、ミイアに向けて盾を構えていた。

……おそらく、ミイアの暴走から村を守ろうとしているのだろう。

13歳にしてすでに苦労人の相が出ていそうな少年である。

レニは両手をバタバタと動かしながら、村とミイアを交互に見てあわあわしている。


しばらくしてミイアの脅し?が効いたのか、家々の扉が開いて、何人かの大人が姿を現し、ナナ達に歩み寄ってくる。

その表情はいずれも強い敵意に満ちていた。

ナナが彼らの視線を追ったところ、その敵意はナナ達というよりは、レニに対して向けられているように感じた。


そのうちの1人、かなり年配の男性――ナナは心の中で仮に長老と呼ぼうと決めた――が、強張った表情のまま、重々しく口を開いた。


「レニ……。お前は…なんてことをしてくれたんじゃ!」


「…え?」


その予想外の言葉にレニは泣きそうな表情になる。


ナナがすっとレニを抱き上げ、親の仇でも見るような視線をレニに向けている村人たちを睨みつけ、冷たい声を発する。


「私たちが来ることに何か問題でも?

私たちはレニを助けに来ただけで、対価を要求する気も、あなた方に危害を加える気もないですけど」


そう言ってナナは、敵意がない事を示すように、自分たちが武器を構えていないことを指し示す。

アレンはすでにミイアから離れており、リアムも盾を下げている。

ちなみにミイアの口が小さく何かを呟いているようだが、決して、それは決して炎魔法の詠唱ではないだろう。

ええ、違いますとも。

……たぶん。


ナナの冷ややかな怒気に声を詰まらせていた長老(仮)だったが、やがて短く吐き捨てるように言う。


「……助けに来ること自体がいかんのじゃ!」


長老(仮)の声に、ナナの腕の中でレニが震え、その顔色が一気に蒼白になっていく。

それを見たナナはアレンを呼んでレニを預け、リアムと一緒に声が聞こえないところまで離れるようにお願いした。


そして3人が十分に離れたことを確認してから、再度村人たちの方に向き直る。


その時、長老(仮)が困り果てたように言葉を漏らした。


「まったく……この非常時にさらなる厄介ごとを持ち込み――」


だが、その言葉は最後まで続けられることは無く、ミイアによって打ち消される。


「黙りなさい! あの子、レニは、たった1人で何度もこことアバトの間を歩いて、精一杯の金品を差し出して、さらわれたお兄さんと村の人たちを助けるように、冒険者ギルドで交渉していましたのよ!

満足に食事もとれていない痩せ細った身体でボロボロになりながら、それでも諦めずに、大人でも片道何時間もかかる距離を2回も往復して!

あなたたちは、4歳の女の子がそんなことをしなければならないと思うほどレニを追い詰めておいて、あろうことかあの子の命を懸けた努力を否定したのですわよ!

助けに来ること自体がダメですって?

でしたら、レニが頑張っている間、あなたたちは何をしていましたの?

たっぷり5日もありましたわよね?

レニ1人をアバトに向かわせて、こちらに大人がそんなに沢山いらしたのですから、さぞ立派な盗賊対策を立てていますわよね?

レニの努力を否定するのなら、あなたたちの立派な成果を示しなさい!」


ミイアは声を荒げて一気にまくしたてた。

その瞳には抑えきれない憤怒の炎が宿っている。

例え相手が年長者だとしても、守るべき子どもを否定するような、そんな理不尽な言葉を許すことなど、ミイアにはできなかったのだ。


「うっ……そ、それは……だな、その……わ、我々も脅されて、だな……家で隠れておるしかできんかったんじゃよ……」


長老(仮)は脅されていたことを理由に必死に弁解しようとする。


「あら? それはつまり、怯えて何もできなかった大人が、本当なら一番に子どもを守るべき存在であるはずの大人が、よりによって勇気を振り絞って行動した4歳の女の子の努力を、頭ごなしに否定したってことですわよね!

そんなの……そんなの腐ってますわ!

レニの村の人だから信じたいと思っていましたが、もう許せませんわ!

あなた達、大人なんでしょう!

恥を知りなさい!」


「う……」


ミイアの強い物言いに、何も言えなくなる長老(仮)。

他の村人たちも、それぞれに俯いて黙り込む。


しばらく沈黙が訪れた後、長老(仮)がなんとか言葉をひねり出す。


「と、とにかく、ここにあんたらがいるのはまずい。

悪いが、とにかくまずは家の中に入ってくれんか。話はそこでしよう」


そういって長老(仮)は1件の家を指さした。


どこまでも保身に走る長老(仮)になおも言いつのろうとするミイアの腕を引いてナナは静かに首を横に振る。


「そうしよう。詳しいことは中で聞くよ」


そうナナが答え、一行は長老(仮)が案内した家へと入った。



    ◇



「まずは、遅ればせながら自己紹介をさせていただきますじゃ。

わしはこのハンナ村の村長をやっております、ゼレットと申しますじゃ」


「まあ、これはご丁寧にありがとうございますわ。

先程も名乗りましたが、わたくしはミイア・アバト。アバト領主の娘ですわ。

魔王軍への対応で動きが取れないお父様に代わって、この地で起きている問題を解決するために参りましたの。

他の3人は、今は時間が惜しいので紹介を省きますが、わたくしの仲間ですわ」


ナナ達一行が連れてこられた建物は、村の集会場として利用されている建物ということだった。

内部には30畳ぐらいの広さの部屋があり、今はナナ達5人と、村の大人達20人ほどが、木製の椅子に腰かけて向かい合っている。

ナナ達の方は、疲弊して眠ってしまったレニをナナが抱いて座り、その横にミイア、アレンが並んで座っている。

リアムは警戒しているのか、ミイアの後ろに立って村人たちの様子を伺っている。


陰鬱な空気が漂う部屋の中で、長老(仮)改め、ゼレット村長とひとまず怒りをおさめたミイアが自己紹介を交わした。


「ほ、本当に領主様のお嬢様でございましたか。こ、これは大変な失礼を……」


慌ててその場にひれ伏そうとした村人たちをミイアは手をかざして止める。


「お待ちになって。そのままでいいですわ。こんな非常時に過度な礼節など不要ですわ」


そしてミイアはそのまま話を続ける。


「そんなことより早速本題に入りましょう。

ここまでのお話とあなた方の言動から、この村は現時点で盗賊に監視されているのではなく、再び盗賊が襲ってくることが宣告されていて、だけどそれがいつになるのか分からないから、盗賊の目にとまらないよう皆が家の中に隠れている状態。

そして他の村や町に助けを求めたら村ごと滅ぼすと言われているから、私たちがいることが目撃されるのはまずい、といった所かと思いますが、その認識は合っているかしら?」


ミイアはこれまでにレニから聞いた情報や、村人たちが家から出てきた時にサッと周囲を見回して、盗賊の姿が見えないことに安堵していた様子から、村の状況を推測し、村人たちの中央に座るゼレット村長に対して認識の確認を求めた。


「は、はい、ミイア様のおっしゃった通りですじゃ。

5日前に盗賊に村が襲われて、たまたまこのあたりにいた10人がさらわれてしまった。

その時に奴らが言ったのですじゃ。

また来るが、もしその時までに外に助けを求めたら村ごと滅ぼす……と」


「なるほど。それで、今この村は盗賊に監視されてはおりませんの?」


「ええ、よそ者に敏感な家畜たちが、ミイア様方以外には特に反応を示しておりませんので、おそらく今は近くに盗賊はおりません」


「なるほど、わかりましたわ。

ではもう一つ。

あなた方はレニの兄がさらわれたことも当然把握されていましたわよね?

レニには他に肉親がおらず、4歳の身で1人になったことも、当然ご存じでしたのよね?

ならばなぜこの5日間、レニはたった1人でアバトとハンナ村を往復して救援を願い出ていたのですか?

あなた方の方針ではアバトに救援を求めに向かうことを許可するはずはないですし、ですが事実としてレニは2度、アバトに来ていました。これはどういうことですの?」


「そ、それは……」


冷静に語るミイアの質問に、答えを言い淀むゼレット村長。

村人たちも再び視線を下げる。

そんな彼らに対して、ミイアは鋭く指摘する。


「あなた方もしかして……、レニの行動を知っていたのに、知らない振りをしたのではありませんわよね。

運よくレニが援軍を呼べたらラッキー。

もしレニの行動が盗賊にバレたとしても、天涯孤独になった子供が勝手にやらかしたことだから村としては感知していない、だから見逃せ、とでも言うつもりだったのかしら?」


その言葉に、村人たちは明らかに狼狽した。

それを無視してミイアは続ける。


「そして、実際にレニが連れて来たのは私たちのような子供4人。

援軍としては頼りなかったから無視を決め込んだ、というところかしら。

……ハンナ村は重要な作物を産出している、アバト領にとって重要な村です。

当然、領主から毎年十分な軍資金を支給しているはずです。

防壁を建て、番兵を雇うために必要な費用が足りなかったとは言わせませんわよ。

ですが見たところ、防壁も不十分ですし、防衛を担う者もおりません。

まさか、逃げだしたのですか?」


「い、いえ、あのお金は……村の会議で話し合って、今年は村の防壁の修繕と、農地を拡張するための防壁の延長に使わせてもらおうということになりまして……」


「まさか、兵を雇っていなかったと?」


「い、いえ、それは、その……」


「呆れましたわ。その大人たちの無謀な判断のあおりを受けて、レニは兄をさらわれたということですわね。

そしてあなた方は、そんな可哀そうなレニを村の身代わりとして利用した……」


そこでミイアは言葉を切り、ナナの腕の中で眠るレニに向かって手を伸ばし、その頬を撫でた。

本来であればぷっくりぷにぷにしているはずの幼い頬は、連日の無理と栄養失調のためにやつれ、皮膚がカサカサになっていた。

ハンナ村への道中、ナナが提供した正体不明の赤紫色の果物?によって、レニの栄養状態はだいぶ改善したようだったが、まだまだその蓄積されたダメージは抜けきっていない。


ミイアは思わず眉尻を下げ、憐憫の表情を浮かべる。

そしてレニの閉じられた瞳を濡らしている涙を指で拭うと、毅然とした視線を村人たちに向けた。


レニを労わるミイアの仕草を見ていた村人たちは、ようやく自分たちが犯してしまった罪に気付いた。

自分や自分の家族、そして村全体を守る為という大義名分の下に、最も弱く、一番に守ってやらなければならない幼子に、村の命運と、もしもの時の身代わりという重すぎる荷を無理やり背負わせたのだ。


「あぁ、あぁぁ……なんてことを……ミイア様のおっしゃる通りじゃ。

わしらは……わしは……レニになんという仕打ちをしてしもうたんじゃ……」


「そ、そうだ……俺なんかレニの両親にも散々世話になったってのに……わが身可愛さに……」


「俺だってこないだグランに助けられたばかりだったのに……レニに頼られた時に聞こえないフリを……」


「わたしも……」


「俺も……」


ゼレット村長の独白を皮切りに、次々に村人たちが後悔の念をこぼした。


「ようやく理解していただけたようですわね。

でもここで後悔にふけっていても、さらわれた者達は戻りませんわ。

悪いと思うのなら、その詫びは行動で示しなさい。

まずは、反旗を翻すためにも、敵の詳しい情報を聞かせていただけるかしら」


ミイアの言葉に、村人達は深く頷いた。

その瞳にはこれまでに無い、決意の光が宿っていた。


そしてそれぞれに知っていることを話し始める。

彼らの話によると、5日前に突然、盗賊が武器を持って押しかけてきたらしい。

その人数は18人。

村の人口は500人を超えるが、女子供や老人も多い。

レニの兄であるグランを含めた若い男衆が農具を武器に抵抗したもののあっさりと敗れ、村全体が服従したとのことだ。


「ですから、せっかく助けにいらしていただきましたが、村の男衆でも叶わなかった相手18人に対し、まだ歳若いミイア様方が4人では勝てるはずもございませんじゃ。

やはり……わしらの命に代えてもミイア様方の事は隠し通します故、次に奴らがやってきてから去るまで、どうかここで隠れていて欲しいのじゃ。

そして恥を忍んで申しますが、どうか奴らが去った後にアバトに戻り、援軍を連れてきて欲しいのですじゃ」


話しの最後で、ゼレット村長がそのように締めくくった。


「なるほど。農業で鍛えた屈強な村の若者たちを圧倒できる強者が少なくとも18人。

わたくしたちでは勝てない上に、見つかると村全体を危険にさらすことになるから、隠れていて欲しいということですわね。

でも、次の襲撃を待ってから救援を呼んだのでは、さらわれた者達の命は……ナナ、あなたはどう思いますの?」


話を聞き終えたミイアが情報を確認し、方針をナナに問う。

その声は深刻な色に満ちていた。


一方、問われたナナは眠るレニを優しく抱きながら、静かに、だがはっきりと答えた。


「うん、今日はとりあえず大人しくここで休もうかな。

みんなも疲れてるでしょ?

それにほら、何か行動を起こすにしても、もし私達が失敗した時に、村にこれ以上犠牲が出ないように考えておく必要もあるし」


そう言うナナの瞳はすでに覚悟を決めているようで、静かな炎が煌めいていた。

それを確認したミイアはナナの言いたいことを察する。


(なるほど……さすがナナ様、わたくしの救世主ですわ。

村の責任にならないようにあえて一度軟禁された上で脱出し、無関係の冒険者として盗賊退治をするおつもりですわね!

そう言うことならわたくしにできることは……)


そしてゼレット村長の方に向き直り、結論を告げる。


「わかりましたわ。では、わたくし達はここで休ませていただきますわね。

見張りは残しておいていただいて構いませんが、あなた方もご家族を守る必要があるでしょう?

無謀なことはいたしませんので、少数にしていただけると、わたくし達もゆっくりと休めますわ」


ミイアは自分達に抵抗の意志がない事を強調し、ゆっくり休むためという理由で見張りの数を少数にすることを依頼する。


ミイアの言葉を受けて、ゼレット村長は村人たちに指示し、ナナ達の寝床と、質素ではあるが十分な量の食事を用意した。

そして見張りを1人残して、村人たちは各々の家に帰って行った。



    ◇



ponの小説を読んでくださってありがとうございます!

読んでいただけるだけでも嬉しくて、とっても励みになっています!


もし少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、

この下にある★★★★★を押して、応援してくれると本当に嬉しいです!

ブックマークやいいね、ご感想もお待ちしております。


また、SNSでのご紹介も大歓迎です!

よろしくお願いしまーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ